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続編 人材育成

前回の記事お読みでない方は、こちらです。
前回は店長として、アルバイトの育成の一案を記事にしましたが、今回は社員育成についてです。僕の店長当時の店は研修店舗となってしまい、毎月毎月、社員が1ヶ月間の研修でやってきました。この間に、キッチンも、フロアも一人前に育てなければなりません。
育て方は、アルバイトと一緒でしょ?と思うかもしれませんが、社員とアルバイトでは、教え方が変わります。
社員は、アルバイトと違い、初日のモチベーションは高いとは限りません。なぜかというと、他社に拾ってもらえずに入社した人がいるからです。それに、面接及び採用をしたのは人事であって、自分が面接をしたわけではありません。だから、配属初日には、必ずこう聞きます。
「何社受けて、何社から採用通知もらったの?」
複数の採用の中から、うちを選んだのであれば、結構モチベーションは高いので、これはアルバイトに教育を担当させて、同じ手法で教育できます。問題は、うちだけしか採用してもらえなかった社員です。この場合は店長自ら教えるほかありません。結構大変です。

怒れば、ふてくされるし、甘やかすと図に乗るので、僕はこういった手法を取ってました。
1日目 終日掃除をさせます。
僕も一緒になって、掃除の道具、掃除の仕方、掃除をする箇所、掃除をする時間…徹底的に掃除をします。掃除をしながら、こんな話をします。
「社員は給与20万前後でしょ?」
「はい、そうです。」
「時給にしたら、いくら?」しばらく考えて
「1000円ちょっとですか。」
「まぁそうだね。うちの店のアルバイトは900円なんだ。あなたより安い時給で、仕事をしてもらっている。しかも作業能力はあなたより数段上」
「はぁ」
「今日、何でこんなに掃除ばっかりか分かる?」
「いえ」
「あなたが今日、1000円の時給分を稼ぐ作業は掃除しかないから。だって、レシピを覚えてるわけじゃないし、料理名も、レジの打ち方も、常連さんの顔だって知らないでしょ?それじゃ現場に入れられないよね」
「...」
「事務所にレシピのファイルがあるし、メニューブックには料理の写真も名前も価格も載ってる。ピークタイムは掃除できないから、それらを見て、頭に入れておくこと。もし、それが出来ないようなら、明日から来なくてもいいよ。」
「わかりました」
このやり取りをすることで、火がつく社員と、辞めていく社員、両方いましたが、9割以上は火が付きます。

2日目 キッチンの調理するポジションへ入れる
いつも通り、アルバイトに教育を担当させます。僕は時たま、「とんかつにつけるキャベツは何グラム?」や、「唐揚げの揚げ時間は何分?」と聞きます。答えられないと、事務所にレシピを確認に行かせます。事務所とキッチンの行き来が面倒なので、本人も覚えようと努力が見え始めます。

3日目 バックヤード(仕込みや洗い場)のポジションに入れます。
本人としては、昨日の復習も兼ねて、同じポジションを望むでしょうし、その方が、教育の観点からみれば効率が良いでしょう。でも、僕は、本人のやりたい思いを強くさせるために、飢えさせます。
「洗い場や仕込みは、実は一番難しいポジションなんだ。ゆっくり作業しようと思えば、誰にでもできる作業だけど、ここは、スピードが命。その上、丁寧さや正確さが問われる。だから優先順位を判断しながら作業しないと、みんなに迷惑がかかる」と、説明し、最初は自分が見本を見せて、後はやらせる。
もちろんここで「出来ない」のは当たり前だ。この3日目で感じてもらいたいのは、「優先順位」の判断です。
洗い場ならば、洗い場に同じ茶碗が沢山たまってきているということは、調理ポジションに提供するべき茶碗の数が少なくなっているということ。だから、それを優先的に洗わなければいけない。仕込みならば、在庫の量を見ながら、優先的に準備しなければならない食材から、仕込みをしなければならない。僕がやるべき仕事は、「次は何を仕込みしますか?」と聞かれると「在庫を確認しに行きなさい」と言うだけです。

4日目 おとといと同じポジションへ入れる
昨日一日,飢えさせたおかげで、本人も古巣へ戻った気分になり、やる気がみえる。相変わらず僕は、時々「これ何グラム?」などの質問をしていく。
これに答えられるようになってくれば、後はアルバイトに任せて、オペレーションの教育してもらう。

まとめ 
・人材育成するにあたって、社員もアルバイトも同じところは、初日に何をさせるかが重要。
・一度飢えさせて、欲求を高めさせると、早く覚える。
・意識の低い社員に関しては、論理攻め→突き放す→助ける→やる気を確認するを絶えず繰り返す。
・実際に教育しているのは、既存アルバイト。店長の役割は見本を示すことと、チェックである。


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