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夜【エッセイ】六〇〇字

早稲田EC「エッセイ教室」秋期講座、五回目(全八課題)のお題は、「夜」。
師匠は、カラオケ興(いや「狂」、かも💦)。ユーチューブを開いてお得意のミニコンサート。聴かせてくれたのが、『真夜中のギター』(千賀かほる)と、『夜と朝のあいだに』(ピーター)。(笑
これらの曲も懐かしいですが、私なら、『長い夜』(松山千春)、『圭子の夢は夜ひらく』(藤圭子)、『霧にむせぶ夜』(黒木憲)、『夢一夜』(南こうせつ)、『見上げてごらん夜の星を』(坂本九)。最近では、『夜空ノムコウ』(SMAP)でしょうか。
そんな抒情的なものではなく、ワタクシの「夜」は、こんな「ジョジョーー」的な話になりました。💦
            ※
 「寝られた?」。二週後に戻ると、母の第一声。「ん? ああ。最初の夜はサ、汽車のガシャンという音とかサ、汽笛がうるさくてサ。なかなか寝られなかったヨー」と、答える。
 小三のとき、旭川の北にある町、愛別にいた。夏休み、滝川にある母の実家に、遊びに行くことになる。親元を離れる、初体験。迎えの祖母と汽車に乗り、見送りの母の手を振る姿に、涙が出てきた。泣かないと、強がりを言っていたのに…。祖母は話しかけてくれるのだが、外ばかりを見て、ごまかしていた。
 実家は、母の弟夫婦と末の妹、三歳と一歳の従弟の六人家族。着いたのが夕方だったので、まもなく夕飯が始まる。だが、みんな話しかけてくれているのに、無口のまま。もらわれてきた猫のように。ご飯も喉に通らない。
 その夜。床に入っても、寝付けない。初めて経験する独りの寂しさと、実は、深刻な事情があった。年に何回か、蒲団に「地図」を描くことがあったのだ。母の企みで、夜尿症を治す訓練として預けたと、後に聞く。
 滝川は、函館本線と根室本線の分岐点。機関区がある。気が張っており、耳も過敏になり、しかも、夜…。機関車の入れ替えの、ガシャン・ガシャン、汽笛の、ポーーポーーの音が近くに聞こえる。が、その音ではなく、「地図」が浮かび、寝られなかったのだった。
 二週間は、幸い蒲団が物干しに掛けられずに済んだのだが、完治したのは、翌年になる。

(ふろく)

宮島ひできさんが、たまに披露する「少年時代の写真」を真似て💦

小学校5年のとき。三年連続で夏休みに遊びに来ていました。目が腫れぼったいですが、「地図」が心配で寝不足だったわけではありません。楽しくて夜更かしが祟ったのでしょう。実家の隣がクリーニング店で、そのお兄ちゃんが遊んでくれました。実家の長男と、一軒離れた伯母のとこの従弟と。

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