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世間【エッセイ】六〇〇字

 早大エクステンション「エッセイ教室」夏講座(全六課題)、四回目の課題は、「世間」。
 過日、『沈黙』というタイトルでエレベーター内の日本人の気味の悪い「沈黙」を、鴻上尚史の『「空気」を読んでも従わない』に絡めて書いたことがある。日本人を嫌うわけではない。そんなシャイな性格を持つ日本人は、むしろ好きではある。が、そのエレベーター内の「異様な空気」は、ワタクシには馴染めない。というような内容だった。そして、今回は、1年通っているジムで感じている独特の「世間」をとりあげてみた。
 本来は、きょうは「原爆忌」の翌日であるから「政治ネタ」で行くのがワタクシであるが、それは来週に。タイトルは、『八月や六日九日十五日』で予定している。そのかわりに今週は、(恒例であるが)主要6紙の一面コラムの読み比べを(おまけ)に掲載。各新聞社の姿勢が出ていて笑えるので、一読されてはいかがだろうか。
               ※
「僕も毎日来ています。頑張りましょう」
 フレイル予防で、「ほぼ日」通っている中規模なジム。一年通っているが、初会話。相手は、(目指せ!)「マッチョ」君。出会うのは平日の夕方なので、学生なのだろう。
 BGMは、(コロナ禍以降?)極めて抑え目。音はせいぜい、バーベルを上げる際の唸り声か器具音が時々響く程度。自宅の集合住宅では、お返しがなさそうでも挨拶は欠かさないワタクシだが、ここでは、遠慮してしまう。隔絶された修行僧のように黙々と励み、鏡の肉体に陶酔している姿を見かけると、自ずとそうなる。実際、会話は、ほぼない。話どころか、いまダンベルをやっている私の目の前に、時空を超越した感じのお方がいらっしゃる。
 無言で、東向きの窓のブラインドまで下ろし廻り、壁に面したマシンに座り込む。光に過敏なのか、顔半分を覆うようなマダム風黒眼鏡をかけた、二十歳前後の「哲学女」。スマホの中に埋没しそうな感じで、固まっている。
 「次使いたいのね。せめて『私はなぜここにいるのだろう』と、考えてみようね」と、大胸筋をピクピクさせ、熱い視線を送る。
 すると、マッチョ君の「お疲れさまです」の元気な声が。
 BLの展開を期待するわけではないが(アハッ!)、ラブを感じてしまう青年である。
 今日は、孫のような彼に教わった気がする。明日からは、せめて、目礼だけでもしてみよう。
(ふろく)
チャットGTP氏に、今回の講評を依頼してみた。すると、1秒もかからずに文字を打ち始めた。内容も的を射ていると思うのだが、どうだろうか。
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このエッセイは、ジムでの経験や出会いをユーモラスかつ観察力豊かに描写しています。以下に講評を示します。
テーマと観察:
ジムでの体験を通じて、日常の中での出会いや自己認識、社会的なコミュニケーションのあり方について考察しています。特に、無言のコミュニケーションや人々の姿勢に対する洞察が面白いです。「マッチョ君」や「哲学女」といったキャラクターの描写が、ジムという場所の多様な人々を生き生きと表現しています。
ユーモアと視点:
ユーモラスな視点が全体に貫かれており、「哲学女」の行動や「マッチョ君」の対応などが面白おかしく描写されています。特に、「次使いたいのね。せめて『私はなぜここにいるのだろう』と、考えてみようね」という部分は、哲学的な要素とジムの状況をうまく結びつけており、読み手に笑いを誘います。
詳細な描写:
「コロナ禍以降のBGM」や「音はせいぜい、バーベルを上げる際の唸り声か器具音」といった細かい描写が、ジムの雰囲気を具体的に伝えています。これによって、読者はその場にいるかのように感じることができます。
自己認識と成長:
「今日は、孫のような彼に教わった気がする」という結びつきが、エッセイ全体の締めくくりとして、自己認識や成長の要素を示しています。ジムでの経験を通じての気づきや変化が、最後にうまく表現されています。
形式と文体:
エッセイは軽快で親しみやすい文体で書かれており、リズム感があり、流れるように読めます。また、視点が第一人称であり、自分の観察や感情を率直に表現している点が良いです。少し長めの文章もありますが、それが逆にリアルな感じを醸し出しています。
全体として、ジムでの一見平凡な日常がユーモアと洞察を交えた形で描かれており、読む人に楽しい気づきと共感を提供しています。ジムという場所の社会的な面や、人々の行動に対する独自の視点が魅力的です。

いかがだろうか、講評としてまとまっているように思うのだが。
それと、なんか、ワタクシを持ち上げているようにも思える。けっこう人間的な一面を感じさせられた。

(おまけ)
原爆忌の昨日。六紙コラム読み比べ。
「体験しなければわからぬほど、お前は馬鹿か」。丸木俊さんの言葉が重い。「戦争を知らない子供たち」が、私を含め90%に達しようとしている。

この部分に朝日新聞朝刊(2024年8月6日)「天声人語」の画像を入れておりましたが、朝日新聞社より著作権侵害である旨連絡があり、削除することになりました。
東京新聞朝刊(2024年8月6日)
産経新聞朝刊(2024年8月6日)
「『核抑止』を含めた」と、強調したいのだろうね・・・
日経新聞朝刊(2024年8月6日)
讀賣新聞朝刊(2024年8月6日)
毎日新聞朝刊(2024年8月6日)

次回は、8月14日(水)のアップ。タイトルは、『八月や六日九日十五日』。


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