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他人の意見を鵜呑みにする、そんな議論をしていないか?

【ポイント】

  • 自分が考えたり経験したりしたことのない分野の成果物を見ても、その良し悪しは判断できない。そんなレビューは「ざる」である。

  • せっかくのレビューを「ざる」にしないためには始まりが肝心。いきなり手分けせず、全員で議論しすることで参加者の頭の中には思考ロジックが生まれ、それがレビュー能力につながる。

  • 特に、大きな仕事では納期が気になり、いきなり手分けしたくなる。これでは、関係者の間に相乗効果は生まれない。


私たち日本人は効率化がからだの芯に染みついているせいか、すぐに手分けしたがります。しかし、これが失敗の始まりなことに気付いている人はほとんどいません。
今回は「役割分担」に潜む落とし穴について考えます。

以前にも取り上げたテーマですが、改めて考えてみてください。
皆さんは、他人が作成した成果物をいきなり見せられて、それに気の利いたコメントができるでしょうか。

例えば「次回までに各人の担当分野で考えたことを、パワポのスライド3枚程度にまとめてくこと」として役割分担した場合、一週間後に他人が作ったスライドを見せられたメンバーたちは的確にコメントできるでしょうか。
答えはノーです。

皆さんもそうだと思いますが、自分が考えたり経験したりしたことのない分野で成果物を見せられても、その良し悪しは判断できません。成果物に補足したり、批評したり、議論を深めたりはできません。

その結果、この進め方では、全員が他のメンバーの意見を鵜呑みすることになります。

そもそも、他人の担当分野に意見をするには思考ロジックが必要です。
思考ロジックとは、考えを組み立てるための道筋や情報のつながりのことです。思考ロジックを描くことで着眼点が生まれ、考え方の軸が形成されます。これが思考の「枠組み」です。

人は未知のテーマについて考えるとき、自分なりの思考ロジックを頭に描きます。そして、新たな情報が加わるたび、その情報を思考ロジックに当てはめようとします。

こうすることでバラバラだった事象がシナプス的に結び付けられ、思考が広がるからです。これが、新たな価値につながります。
いきなり手分けしたのでは、これができません。思考ロジックを組み立てるチャンスがないのです。

議論で創造的な成果を生み出したいなら、まずは全員で議論し、その議論を通じて全員で全体像を共有してください。

  1. 情報を共有し、議論の土台をつくる。

  2. 各人が自分なりの思考ロジックを頭に描く。

  3. 断片的にせよ、参加者が自分の思考ロジックに基づいて意見を出し合い、戦わせる。

  4. 各人の思考ロジックは磨き上げられ、全員が腹落ちできる全体像が生まれる。

  5. 役割分担し、各人の担当領域を決める。

  6. 全体像の中で各人が担当領域をかたちにして持ち寄る。

  7. 持ち寄った情報を全体像に当てはめ、全体のバランスの中でコメントし、意見を戦わせる。


7が価値を生み出すことのできるレビューです。
テーマの規模が大きかったり対象物が複雑だったりすれば、1から5にはかなりの時間を要します。たった数時間の会議では到底けりがつきません。

会議が何度にも渡るとき、ポイントとなるのは、都度の会議の冒頭で行う「前回の振り返り」です。

これがなければ、毎回、同じような議論が繰り返され、その結果、参加者はみな疲弊してしまいます。「前回の振り」が毎回実施されていれば、議論は積み上がり、検討は深まります。繰返しの中で全体像も磨き上げられるはずです。

大きな仕事に直面したら、納期が気になり、いきなり役割分担したくなるのもわかりますが、それでは、関係者の間に相乗効果は生まれません。
平凡な組織は、いつまで経っても平凡なままです。


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