考えがまとまらない、そんなときはキーワードに着目しよう

構造化は、ビジネスの現場で非常に有用なツールです。
しかし、慣れていないと、どこから手を付ければいいかがわからない方も多いようです。そんなときは、どうすればいいでしょう。

私は、まずは「キーワードを拾い出してみる」ことをお勧めしています。
キーワードとは、物事を象徴的に表したり他の人に説明したりするときに欠かせない言葉、あるいは物事を成立させる上で欠かせない言葉です。注意していると、上司からのアドバイス、会議の席での発言、書籍や文献、顧客や市場関係者の発言などの中には多くのキーワードが潜んでいるものです。
キーワードは、構造化をする上での柱となる重要な存在です。

もし、キーワードを見つたいなら、いつも“注意深く”していなければなりません。“何となく”では、キーワードを拾い出すことはできません。キーワードは、以下のような視点から探してください。

 資料の中に頻出している
 それまでの方向性に変化をもたらした
 アイディアが浮かぶヒントになった
 特定の人物や物事が「重要だ」と認定する理由の一部である
 相手がこだわる理由の一部である
 対立あるいは共感する理由の一部である
 相手が質問した理由の一部である

「理由の一部である」とは、文章(センテンス)の中で「理由」を構成する言葉にキーワードが潜んでいるという意味です。
例えば、以下のような文章におけるキーワードは、「お客様」です。

「ルールを決めただけでは、行動が変わるどころか、みんな白けるだけだ」
「うまくやろうにも、お客様が無理を通そうとする限り、状況は変わりません」

キーワードを拾い出せたなら、次はそれらの関係性を整理しましょう。キーワードの因果関係や親子関係などを整理するのです。すると、何が上位概念であるか、どういう流れで理解するべきか、何を優先すべきかなどが見えてきます。
こうすることで、これまでは混沌としていた全体像がシンプルなイメージとして見えてくるはずです。

さて、以前にクリステンセンの著書「イノベーションのジレンマ」の話をしました。
この続編で「イノベーションの解」という書籍があるのですが、イノベーションの本質を理解する目的で、この本から私なりにキーワードを抽出したことがあります。理解を深めていただくために紹介しておきましょう。

抽出作業は以下の手順で行いました。

1. まずは本を一通り読み、ザクっと全体像をつかむ
2. 改めて最初から読み返し、都度、キーワードをメモする
3. メモされたキーワードを見直し、同義のものはひとつにまとめ不要なものを捨てる
  この作業は何らかの目的意識があったほうが好都合なので「分類」をしながら行う

これらの作業を通じて、以下のキーワードを抽出することができました。ちなみにこれらは「分類」というひと手間をかけたあとのものです。

ビジネスのポジショニング
・ 持続的イノベーション
・ ローエンド型破壊
・ 新市場型破壊
・ バリューチェーン上の十分ではない地点への特化

製品のアーキテクチャ
・ オーバーシューティング
・ 相互依存的アーキテクチャ
・ モジュール式アーキテクチャ

技量
・ 資源
・ 業務プロセス
・ 価値観
・ 既存企業の技量を引き継いだままでは破壊者にはなれない

差別化
・ 機能、性能
・ 価格
・ 使い勝手
・ カスタマイゼーション
・ 利便性

対処方法
・ 明け渡し
・ 成長主導型取り組み
・ 防衛型意欲
・ 自律型組織の組織化

イノベーションのための条件
・ 顧客が片付けたくてもうまく片付けられていない「用事」
・ モチベーションの非対称性
・ 既存企業にない技量

このように、書籍は読み直しができる分だけ抽出は楽です。会議の席で議論の中からキーワードを拾うような場合には、議事メモを取っておくと便利です。キーワードに気付いたら、それも議事メモにメモしておきましょう。

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