頭の中を構造化すれば判断力が身に付く(2/2)
【ポイント】
人の説明を聞いて「何かピンとこない」と感じるのは、説明内容に構造化が足りていないから。
構造化されている説明は、説明を受ける側の頭の中に説明者と同じ構造を生み出す。これを共感という。
前回は、他人の意見を鵜呑みにしないためには、自分なりの思考ロジックが必要だという話をしました。
その中で、構造化の3つのパターンを紹介しました。
ツリー型
マトリックス型
フロー型
これら3つのパターンを無意識に使いこなせるようになれば、皆さんのビジネススキルは格段にアップするはずです。
実は私もそうでした。
さて今回は、構造化とビジネススキルの関係をイメージしていただくべく、話を前に進めます。
皆さんは、他人の説明を聞いて「何かピンとこない」と感じたことがあるはずです。
それは、多くの場合、相手の説明が構造化されていないことが原因です。
逆に、構造化されている説明は、聞いている相手に「スカッ!」とした感覚を与えます。
頭の中を、説明者の頭の中と同じように構造化できたからです。
実はこの感覚がとても大切で、そこから先は会話がカッチリとかみ合うようになります。交渉ごとなどは相手との「共感」が大切なわけですが、その「共感」はこのような感覚から生まれるのです。
私の仕事はコンサルタントなわけですが、私自身、日々の仕事で構造化することの有用性を痛感しています。成果物レビューや会議の場はもちろん、ひとりで考えを巡らす際にも構造化は欠かせません。
自分のアイディアや周囲の意見の良し悪しを判断するときも効果的です。
「構造化」は、現代のビジネスマンが身に付けておくべき重要なスキルの1つなのです。
いつものように例を挙げて、理解を深めていただくことにしましょう。
営業マンと開発者のかみ合わない議論の話です。
その日、会議室では、営業マンたちが目の前の開発者たちに噛みついていました。
営業マンの話をかいつまむとこんな感じでした。
かつて、お客様の多くは最先端を期待していた。
ところが昨今の客層は最先端派とコストパフォーマンス派に二分されている。
それにも関わらず、開発者たちは最先端ばかり追い求める。これはプロダクトアウトだ。
その結果、当社にはヒット商品が生まれない。
開発者は、お客様のニーズの変化に向き合い、マーケットインを目指すべきだ。
最初のうちは両者で罵り合いが続いていましたが、私が全体像を概念化して共有したことが功を奏し、お互いを理解し合うことができました。
この詳細は、後日、こちらのブログで紹介します。
実はこのあと、彼らは市場の構造化に取り組みました。
使ったパターンは「マトリックス」です。
マトリックスの縦軸 = 使用目的(上が技術部門で、下が営業部門)
マトリックスの横軸 = 年齢層(左が若手で、右がベテラン)
このマトリックスを眺めながらの熱のこもった議論が始まったのは、言うまでもありません。
営業 「こうしてみると、ベテランは今の機能でさえ満足に使えていないなあ。私のお客様は 第一象限、つまり営業部門のベテランです」
開発 「技術部門の人には今でもスペック不足ですが… 営業さんにはこれ以上のスペックは 必要ないでしょうね…今のスペックで十分です」
営業 「若者なら、営業であってもさらに上の機能、性能を使いこなせると思う」
議論の結果、以下のことが決まりました。
マトリックスの各領域で、買い替え動機と平均的な買い替えサイクルを明らかにする。
情報収集を目的に、各領域に対して聞き取り調査を実施する。
上記の結果をもとに、新商品のターゲットセグメントとコンセプトを決める。
もうおわかりでしょう。
これが構造化の力なのです。
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