決断

[計画の技術] 決める(determine) ~決められない人の計画は雑然としていて伝わってこない~

私は計画のポイントを「ODISQ(オーディスク)」と表現します。

O  俯瞰する(overlook)
D  決める(determine)
I  想像する(imagine)
S  構造化する(structure)
Q 問い掛ける(query)

今回は「決める(determine)」を深堀します。

計画に着手すると、さまざまなケース(≒選択肢)を思い浮かぶのが普通です。最初のうちは戸惑うかもしれませんが、すぐに、それがあるからこそ計画の質が向上するのだということに気付くはずです。
しかし、思い浮かべたすべてのケースを想定したままでは計画になりません。もしすべてのケースに対処しようとすれば、能力や資源が分散してしまい、実現力の低下を招いてしまいます。ケースを絞り切れずに途方に暮れてしまう人は多く、それが時として計画作業の放棄につながってしまいます。

こんなときは決めるしかありません。いくつかの選択肢からコレと思うものに狙いを定めるのです。ところが、これが簡単ではありません。決定には責任とリスクが付きまとうからです。多くの計画者はなんとか決めずに先延ばししようとしますが、これが手遅れにつながってしまいます。

たとえば、製品開発プロジェクトでは、よくこんな会話が繰り広げられます。プロジェクト計画を立てているときの話です。

「設定変更とデータ収集の作業は何度繰り返しますか?」
プロマネ「結果が閾値の範囲に収まるまでです」
「それでは計画になりません。まずは何度繰り返すか決めてください」
プロマネ「でも、やってみないとわからないです。もし間違えていたらどうするのですか」
「そのときは計画変更すればいいです。想定が外れて遅れが発生したら、リカバリー策を練ることになります」

それでもプロマネは決めようとしません。
私はこう続けます。

「例えば2度繰り返すと決めたとします。そうすると、あなたは繰り返しが2度で収まるように工夫するはずです。事前に有識者から情報収集するとか、予備試験を組み込むとか。それが大事なのです。『終わったときが終わるとき』と流れに身を任せていたのでは、進歩はありません」
プロマネ「それは、その通りですね。わかりました」

プロマネの多くは、この言葉で目覚めます。この例であれば、繰り返す回数を決め、それを達成できるように行動し始めます。
優れた計画者は、計画の過程で意思を固めます。そして、決めた通りにものごとが進むように、念入りに計画を作り込み、確実に実行に移します。

とはいえ、決めることの大切さを理解しているあなたでさえ、どうしても決められないときはあります。このような場合は、決定を促すための情報が不足していて、計画するに相応しい状態にないのかもしれません。そんなときは、情報を手に入れるために行動を起こしましょう。このような行動をフィージビリティスタディ(実行可能性事前調査)と呼びます。

例えば、技術面が極めて不透明な状況下で特定の技術をあてにしするのは危険です。このような状況下での計画はリスクが高すぎます。そもそも技術の探求は研究開発として、製品開発とは区別しなければなりません。なぜなら、研究開発にプロジェクトマネジメントの方法論は馴染まないからです。
こんなときはフィージビリティスタディを企画しましょう。
フィージビリティスタディに着手するという判断も、大切な「決め」のひとつです。

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