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よりぬきしりんさん

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#読書の秋2022

ぽつん

ぽつん

私はいつも、生きているこの私の正体をつきとめる、尻尾をつかむ、そのために文章を書く。

鏡を見ても、おなかの辺りをつねってみても、これが私だとちっとも実感できない。第一、このポンコツの肉体など、私のタマシイが死んでも、しばらくは未練がましくここに残るではないか。

そんなもの、この私であってたまるものか。

だから、ときどき搾乳みたいに、私が出せることばを絞り出す。
それが私の核心かどうかわからな

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「若草物語」を読んで――寝てる暇はない

「若草物語」を読んで――寝てる暇はない

わたしがオルコット「若草物語」を大好きなのは誰にも内緒の話だが、これに限らず、好きなものを人に薦めることに、わたしは極端に自信がないのだ。
というより、そんな僭越なことをすれば、次に会ったときにどう転んでもろくな目に遭わない気がする。

「読んだよー、よかった!」となれば、偏愛ゆえ、どの部分がよかった、とか、どんな所がささった、とかを、きっとわたしは根掘り葉掘り訊いてしまうのだ。そのようなパンドラ

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紀尾井坂にぞ散る紅葉

紀尾井坂にぞ散る紅葉

今年もまた、急な坂を転がるように、寒が来た。

当地の寒さは、2枚から3枚、少し厚手にして、そろそろ4枚というふうにはゆかない。
ある朝突然2枚から4枚、明くる日にはコート、来週はステテコ、カイロという具合だ。

リモートワークの合間、コートを羽織って散歩をすると、あっちこっちに真っ赤な葉っぱが散っている。
急な坂を転がるように、ひといきに赤くなる。
急な坂を転がるように、ひといきに散り落ちる。

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