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デザイン思考をマーケティングと経営に活かすには

こんにちは、m.miyamoto(@masa_yco)です。株式会社toritokeの代表をやっています。このnoteでは、小さな会社の経営者や個人事業主の方に向けて、経営×マーケティング×デザインをテーマに発信しています。 

▼株式会社toritokeの主な事業
マーケティング戦略と実行支援、ブランディング戦略支援、デザイン・ホームページ制作、中小企業のDX推進、メディア運営、アパレルOEM、焼き菓子のEC事業

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今回はデザイン思考の重要性やマーケティングと経営に活かすために具体的な方法について書いていきます。

デザイン思考とマーケティングの共通点

デザイン思考とマーケティングには、共通する目的があります。それは、人々が求めるものを理解し、そのニーズに応えることです。そのため、デザイン思考をマーケティングに取り入れることで、商品やサービスの潜在ニーズや顧客も気づいていない潜在ニーズを深く理解することができ、それを基にマーケティング施策に役立てることができます。

デザイン思考とは

デザイン思考は、アイデアを生み出すための一連のプロセスで、問題を解決するために用いられます。以下の5つのプロセスで実施されます。

  1. 共感(Empathize)- 問題解決の対象者や状況について共感する

  2. 定義(Define)- 問題を明確に定義し、問題解決に必要な視点を絞り込む

  3. アイデアの発散(Ideate)- 多様なアイデアを出し、可能性を拡大する

  4. 具体化(Prototype)- アイデアを具体的な形に落とし込む

  5. 検証(Test)- 具体的な形に落とし込んだアイデアをテストし、改善を繰り返す


例えば以下のような活用シーンが考えられます。

  • ビジネスモデルの構築

    • 従来のビジネスモデルに捉われず、新しい視点からビジネスモデルを構築する

    • 例:AppleのiTunes。当初は音楽プレーヤーの販売に特化していたAppleが、iTunesを立ち上げたことで、音楽配信サービスとして新たな市場を開拓することに成功した

  • 商品やサービスの開発

    • 顧客ニーズに寄り添った商品・サービスを開発をする

    • 例:IDEOが開発したOral-Bの電動歯ブラシ、Braunの電気シェーバー。顧客ニーズを汲み取るために、インタビューや観察、アンケート調査などを行い、顧客が抱える課題を明確化。その上で、デザイン思考を活用して新たな商品・サービスを開発した

  • 顧客体験の向上

    • 顧客の立場に立った顧客体験を創造する

    • 例:ディズニーランド。アトラクションやショー、レストラン、ショップなど、全てが一つの物語に統合されており、清掃や、キャスト(スタッフ)の配慮など、細部にまでのこだわりが顧客の心に響くエンターテインメント体験を創り出している。

  • 問題解決

    • 問題の本質を理解し、ユーザーの視点から解決策を考えることができる。

    • 顧客の不満点や要望を分析し、それに対応した改善策を考える

小さな会社の経営者の悩ましい課題である、業務効率改善組織開発においても、デザイン思考は有効です。

業務効率改善においては、業務の現状分析や問題点の把握、課題の洗い出しを行い、それを可視化することでどこに問題があるかを明確にし根本的な改善に取り組むことができます。

組織開発においては、社員のやる気やモチベーションが低下していると感じた場合には、その背後にある問題を洗い出し、デザイン思考のプロセスを用いて解決策を見出すことができます。社員の声を聴くことや、職場の風土を考慮することが重要です。

いずれも考え方は同じで、ユーザー視点を取り入れたアイデアを生み出すことや、問題解決に向けたテスト社員の声を聴くなどあくまでも人を起点にして物事を見ていことが重要です。

5つのステップの中でもより重要なのが1つ目の共感(問題の発見)だと言えます。例えばリアルでは、店舗に訪れるお客さんをよく観察することでヒントを得ることができるでしょう。オンラインでは、そのテーマに対してどのような発言(キーワード)が多く含まれているか、などから得られることがあるかもしれません。yahoo知恵袋やサービスのヘルプ、QA、口コミなどを分析してみるのも一つの方法です。

マーケティング活動とは

マーケティング活動は、広告やプロモーションを行うことだと認知されがちですが、大きく戦略フェーズと実行フェーズに分けることができ、広告やプロモーションは実行フェーズに属します。

戦略フェーズ
市場のニーズや顧客の課題を分析し、企業の製品やサービスを設計する段階です。主な活動には、市場調査、顧客インタビュー、競合分析、プロトタイプの作成、マーケティング戦略の立案などが含まれます。企業が製品やサービスを開発する際に、顧客にとって必要とされる機能や特性をよりよく理解し、市場での競争優位性を確保するための戦略を策定します。

実行フェーズ
製品やサービスを市場に展開するためのプロモーションやセールスの段階です。主な活動には、広告、販促、セールスプロモーション、PR、デジタルマーケティングなどが含まれます。企業が製品やサービスを市場で成功させるために、消費者に商品を知ってもらい、購入してもらうためのプロモーションの実行をします。

デザイン思考がマーケティングに活かされる場面


デザイン思考をマーケティング活動で活かす場合、下図のように戦略フェーズではほとんど全て、実行フェーズではデザインや広告、顧客とのコミュニケーションにおいて有効的です。

ここまでくると整理している僕自身も、デザイン思考とマーケティング活動の違いがわからなくなってくるのですが、デザイン思考は、問題解決のために用いられるプロセスであり、マーケティング活動は、企業の商品やサービスを顧客に届けるための一連の活動を実行することが目的です。

つまり、デザイン思考はマーケティング活動において、商品やサービスの開発や顧客体験の向上問題解決に活用されることがありますが、その目的やアプローチは異なるのです。

デザイン思考をマーケティングと経営に活かすには

デザイン思考をマーケティングと経営に活かすポイントをよくお客さんから聞かれる項目としてまとめました。

Q.小さな会社でもデザイン思考を取り入れることはできるのでしょうか?

はい、できます。デザイン思考は、単にデザイナーやエンジニアが持つスキルではなく、組織全体で取り入れることができる方法論です。小さな会社であっても、顧客のニーズを深く理解し、その上で価値提供を考えることが重要です。

また、プロトタイプでテストを行い、改善を繰り返すことで、より良い製品やサービスを開発することができます。経営にデザイン思考を取り入れることで、業務効率改善や社員のモチベーション維持、創造力を高めることができ、組織の成長につながる可能性があります。

Q.デザイン思考をマーケティングに活かすにあたって、どのようなトレーニングや研修がありますか?

今では書籍やオンライン上で学べる機会がたくさんあります。例えば、オンラインでは以下のようなサービスで学習できます。

ちなみに僕は、GLOBIS学び放題とschooをよく見ています。

書籍ではマンガで解説されているこちらの本がわかりやすかったです。

リアルの場での研修も多くの会社が実施しているため検索してみてください。

日々できること

毎日できることとして、その日に仕事で起きた問題について深く考えることでトレーニングできます。例えば、クライアントの要望に対応できないという問題が起きたとして、具体的に考えてみます。

①問題の本質を洗い出す
■クライアントの要望に対応できない理由
技術的な制限:機能やデザインが、技術的な制限によって実現できない。
予算の制限:予算の制限によって実現できない。
時間の制限:制限された時間内に実現できない
コミュニケーション不足:不十分なコミュニケーションによって正確に理解できなかった。
要求仕様の不明確さ:不明確な要求仕様によって実現できない

②問題解決のために、アイデア出しを行う
できれば、チーム内で解決するのが望ましいですが、小さな会社の経営者は一人で担う範囲も多いため、cahtGPTを相手にディスカッションを行うものいいでしょう。
問題の解決策として以下のようなことが考えられます。

  • 技術不足に対する解決策のアイデア

    • 新しい技術やツールを学習するための時間を確保する。

    • 専門家のアドバイスを求める。

    • 解決できる外部と協業する

  • 予算不足に対する解決策のアイデア

    • 予算範囲内でできることを明確にする。

    • 代替案を提案することで予算範囲内で解決する。

    • 必要なものをリストアップして、優先度を設けて予算配分を決める。

  • 時間不足に対する解決策のアイデア

    • プロセスを短縮するために、ツールやプラットフォームを活用する。

    • クライアントとのコミュニケーションを密にすることで、迅速な決定を促進する。

    • チームメンバーのスケジュール調整を行い、タスクを分担して並列作業を行う。

  • コミュニケーション不足に対する解決策のアイデア

    • 定期的な報告会やMTGの設定

    • メールやチャットツールなどでの連絡を頻繁に行う

    • 想定する結果や進捗状況を明確に伝える

    • クライアントのフィードバックに迅速に対応する

    • コミュニケーションの取り方や方法を共有する学習・研修を受ける

    • クライアントの期待値を把握するために、要件定義書を共有する

  • 要求仕様の不明確さに対する解決策のアイデア

    • ヒアリングを繰り返し、クライアントのニーズをより深く理解する

    • 要件定義書やプロジェクトマニュアルの作成して、クライアントと共通の認識を共有する

    • クライアントのイメージを確認するために、迅速にプロトタイプを共有する

    • クライアントが抱える問題点や目標を明確にし、その解決策に向けた共同作業を行う

    • クライアントにヒアリングシートを提供して、細かいニーズを整理する

    • 過去の類似案件の成功事例や失敗事例を共有する

このように問題に対して考えられる解決策を洗い出します。その後は、解決策の実現性や優先度を検討して、実行改善を繰り返して精度を高めていきます。よくあるケースとしては、解決策を実行したものの最初だけ活用していたが気がつくと実施されなくなっていた…というケースです。

現実的に習慣化できるかどうかも検討しましょう。

経営に活かすための壁

実際にデザイン思考を経営に活かすには、いくつもの壁があります。例えば以下のようなものです。

  • 経営層への理解

  • 組織文化の変革

  • 財務計画と照らし合わせたプラン

  • ROIの可視化

  • 実践までのハードルが高さ

  • プロセスの継続が難しい

これらはある程度の規模のある企業やクライアントにて実施する場合の問題ですが、小さな会社の場合、フットワークも軽いためデザイン思考を経営に取り入れるのは比較的容易ではないでしょうか。

ここまで書いて言うのもアレなのですが、具体例がないとなかなかわかりづらいですね。現在、弊社では焼き菓子事業を開発中でして、最初からデザイン思考を取り入れて設計しています。具体的に何をしたのかは後日書きたいと思います。興味ある方はフォローお願いします。

Twitterもやってます。小さな会社の経営やマーケティングをメインとして、たまに趣味の山歩きのことを発信しています。

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