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鉱石の玉手箱 古崎真帆

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少し前に、別のブログで公開していた古崎真帆名義の詩篇です。当時、小さな鉱石を集めていたので、それぞれの石に名前を付けるように詩を書いていました。第7巻でとりあえず完結しました。
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記事一覧

鉱石の玉手箱(7) 古崎真帆

ツインクォーツ(タントリック)背中合わせに立つために
天使の羽は小さな虹に姿を変えている

離れる必要がないから一緒にいるの
ひとつにならなくても自分を見つけられるから
それぞれの記憶を育てながら生きていくの

そっくりでいながらまるで違っているから
ソウルメイトでいられるんだよ・・・

モスアゲート森に行こう

枯葉の積もった柔らかな径を
ふわりふわりと踏みしめて
湿った空気を胸

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鉱石の玉手箱(6) 古崎真帆

クラック水晶時雨れて久しい草叢に立ち
まぶたを打ち震わせている旅人よ

みぞれ交じりの風が
張り詰めた空気の中では
ほのかに甘く暖かいことに気付く頃

煌めきながら天よりもたらされる恵みは
あなたの息を透き通る柱に変える

ブルーフローライト未来都市?
情報のつまったチップの山?
つい口にしたくなる透明な小箱
飲み込んでしまったら
長い時間を掛けて溶けていくのだろうか

夜中にほのかに光る体

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鉱石の玉手箱(5) 古崎真帆

オニキス(黒縞瑪瑙)その中に
乳白色の甘い記憶を
幾重にも抱え込んでいながら
輝きを強くはね返す「黒」であり続ける

オニキスを素肌に付ける時
その「黒」は
いつも誰かに いつも何かに 
守られていることを思い出させてくれる

それが内側からなのか外側からなのかは/わからないけれど・・・

ルチルシトリン 未研磨子ども達のはしゃぐ声
真夏の天気雨
乾杯のスパークリングワイン
湖面を渡るさざ波

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鉱石の玉手箱(4) 古崎真帆

琥珀とろりとろりと 眠たい午後は
琥珀の中の虫のように
肢体を伸ばし
甘い香に閉じこもって

生まれる前にみた夢の続きを
思い出せそうな気がする

黒曜石鏡面の奥を覗いていると
波が湧き出て広がって見えるのは

引き寄せられているから?/押し返されているから?

一つ眼なのは真実を見極めるためなのだが
実は裏側に眠る瞳を隠している

毛糸(ラン)水晶遠い国へと旅立つ鳥が
走り抜ける水面から 

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鉱石の玉手箱(3) 古崎真帆

チャロアイト美しい毛並をうねらせて
紫色のライオンが
道のまんなかに眠っている

腹を大地に預け
ふくよかな呼吸にたてがみを揺らして
道の先にある豊穣の時を
夢見ている

しばしここに憩おう
目覚めの時を待ち 共に歩もう
深く閉ざされた瞳に
再び金色の光が差し込むとき

私の重荷もまた
新たな価値を帯びるであろうから

ネガティブ水晶両剣の精巧な切っ先をのびやかに見せて
水泡のきらめきを身に

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鉱石の玉手箱(2) 古崎真帆

アホーイト入り水晶

人に伝えなければならないことは
どうしても隠し通せない

内側からこみ上げてくる
美しいものへの賛美の衝動

それが本物でも贋物でも
見た者の実感が決めたらいい

必要なとき
それは自ら光を放つのだから

カテドラル水晶聖堂の窓は
朝日を映し 夕日を映して輝く

幾重の塔は
雲に磨かれ 雨に洗われて立ち続ける

内部に深い慈しみと悲しみの母の心を抱いて

マーカサイト

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鉱石の玉手箱(1) 古崎真帆

ピンクフローライト例えば色になる前の色
言葉になる前の言葉

無ではなくて存在の確かさを
試みに神聖と名付けよう

ひとつの遊びとして

金ルチル
ここに宝が眠っているよと教えてくれるのだが
霧が立ち込めていてたどり着けない

それでもそこにあるというだけで
幸せな気分になれるから不思議

シルバーオブシディアン
雲は闇を作り出すものなのだけれど
漆黒の闇の中では
輝きさへ湛えるものなのか

たっ

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整理中

以前、自分のHPで公開していた詩を、こちらに移植しようと思っています。

こうやって空箱ばかり作ってどうするんだろう。

冬休みに少しはいじれるかな。家のことがあってやっぱり難しいかな。