鉱石の玉手箱(1) 古崎真帆

ピンクフローライト

例えば色になる前の色
言葉になる前の言葉

無ではなくて存在の確かさを
試みに神聖と名付けよう

ひとつの遊びとして

金ルチル


ここに宝が眠っているよと教えてくれるのだが
霧が立ち込めていてたどり着けない

それでもそこにあるというだけで
幸せな気分になれるから不思議

シルバーオブシディアン


雲は闇を作り出すものなのだけれど
漆黒の闇の中では
輝きさへ湛えるものなのか

たった今生まれた星々のように

ファントム(両剣)


何と何を結ぶのか
どこへ向かっているのか 

幾重にも屋根を重ねて
核となる私の意志を守護しながら
パスポートのように
 進む方向を指し示す 

目的地は
自分で決めなさい

ピクチャージャスパー


私の記憶の中に
大きな砂漠があって 

砂漠を越えたところには
海原が広がっているのだけれど
私の立っているところには
水の気配も生き物の息吹もない

そして海の話を聞いても
想像もつかないままに
放浪の旅を終える時
現世の幻を垣間見たのだ 

そして今も
渇きしままに・・・