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ヌーノが受け継ぐエディの炎!

EXTREME が帰ってくる!ゴリラと共に!!

ご承知の通り、ゴリラのジャケットに悪いアルバムはない。緑、オレンジ、水色と多彩なゴリラを用意した TALISMAN の "Humanimal" が後世に語り継がれるべきハードロックの大名盤であることは言うまでもないだろう。あと何があるかのかは知らん。

前作の "Saudades de Rock" が13年ぶりのアルバムだったんだけど、それから僕たちは実に15年待たされたことになる。TOOL や GN'R どころの騒ぎではない。たしかに、焦らしプレイはある一定の焦らしまでは快楽を著しく高めますが、そこを超えると怒りしか産みません。「男の子なのにオッパイも感じちゃうんだ…恥ずかしい…ねぇ…どうしたいの?」じゃないんよ。真顔で 「ピュッピュ。ピュッピュしたいに決まっとるやろが!ぶっ殺すぞ!」 となります。

いやね、"Saudades de Rock" までは、あの後世に語り継がれるべき大名盤 "Schizophonic" をはじめ、ヌーノがわりとコンスタントに音源をリリースし続けてくれていたからまだ良かった。この15年、ホントにゲスト参加の音源ばっかりよ?日本に届くのは、完全に仕上がったヌーノの裸体写真ばかり。それはそれで尊いものではありますが、残念ながら射精には至りません。焦らしプレイはある一定の焦らしまでは快楽を著しく高めますが、そこを超えると怒りしか産まないのです。

だから、5年くらいの出る出る詐欺を乗り越えて、こうして新曲が届いたことがホントにうれしいんだよね。それにしても、この新曲 "Rise"、良すぎないですか?!

ヌーノのアグレッシブな音色や現代的なリフワークには覇気と意気込みと15年の進化を感じるし、ゲイリーのカメレオンの歌唱や中毒性の高いメロディには EXTREME の EXTREME たる所以が詰まっている。過小評価されがちだけど、引き出しが多くて面白いボーカリストだよ、ゲイリーは。"Van Halen Ⅲ" の立役者だったしね。何より、2人のというかパットも含めたバンド全体のケミストリーが異常。それに、ヘア・メタルの生き残りで今もこれだけ "絵" になる人たちがどれだけいるか。

だからまず僕がピュッピュしたのは、ゲイリーとヌーノの組んず解れつだった。これはピュッピュせざるを得ないよね。完全に僕の It's (A Monster) が Get the Fuck Out してしまった。これだけで白ごはん10杯はイケる。いやらしすぎるでしょ!世界中の EXTREME ファンがポルノグラフィティ的薄い本を書きはじめているにちがいない。

でも、僕のピュッピュはとまらない。賢者モードに浸る間も無く、ヌーノのギターソロで僕の It's (A Monster) が再度、瞬く間に火を吹いた!

「エディやん!!!!!!!」

エディ・ヴァン・ヘイレンは亡くなる前に、ヌーノを自宅に招いたり、サウンドチェックでいつも EXTREME の曲を弾いていた。それはまあもちろん、ヌーノのしゅきしゅきビームを受け続けて絆された部分もあるんだろうけど、それ以上にギタリストとしてヌーノを認めていたし、おそらく一番かわいがっていたんだよね。だからこそ、エディが亡くなった時、ヌーノの衝撃は相当なものだっただろう。

実際、この新作 "Six" を出すにあたってヌーノはこう言っている。

「エディ・ヴァン・ヘイレンが亡くなったとき、俺は本当に衝撃を受けたんだ…」

うん…わかるよ。僕たちもそうだったけど…君は特にね…

「俺は次の (ギターの) 王座につくつもりはない。でも、彼が亡くなってギターのパッションを存続させる責任を感じたんだ。だから、このアルバムではたくさんの "炎" を聴くことができるんだ」

射精ソムリエなどと豪語し誇らしげに浮かれている自分を恥じたいね。泣けるよ。ホントに。カッコいいよ。1stアルバムのジャケットの中の超絶芋ダサい EXTREME はもうどこにもいない。

で、"Rise" のギターソロ、これはもう完全にエディ・ヴァン・ヘイレンへ捧げる素晴らしきオマージュだよね。エディのトレードマークである、"ハミングバード・ピッキング" から独特のアーミングへつなげるペンタトニック芸術の再来は、エディのすべてを知り尽くしたヌーノだからこそ可能となった。そこから徐々にヌーノの味が出てきて、エディの "Cathedral" とヌーノの "Bumblebee" が融合したかのような空前絶後超絶怒涛のギター・ギャラクシーへとつながっていく。

こんなの、エディが好きだった人ならみんなわかるよ。伝わるよ。伝わりすぎるよ…君はエディの "炎" を完璧に受け継いでいるよ。ギターが火を吹いているよ。まさに "On Fire"。
ありがとう…ありがとう…

この曲のテーマについて、ゲイリーはこう語っている。

「アグレッシブな曲だよな。名声の栄枯盛衰を描いた訓話なんだ。人は名声に誘惑されるものだ。そして一旦頂点に立つと、人々は君を引き裂き、壊すだろう。それが獣の性だ」

「EXTREME には、常に情熱がある。他のバンドと競争しているわけではなくて、いつも自分たちを超えるために努力しているんだ。そのための情熱さ。このアルバムにはそんな瞬間がある」

なるほど。だからゴリラなんだね。そうだよね。世界は名声や地位や権力を盾に生きる空っぽのブタゴリラばっかりだよ。ちょっと機嫌を損ねると、ウンコを投げて威嚇するようなね。でもね、名声を得ても浮世の性に我関せずで、ただ求道を続ける人だっている。それが、エディであり、ヌーノであり、EXTREME なんだよね。ほらね、やっぱり、僕は情熱で生きている人たちが好きなんだ。最後に、ヌーノの言葉を置いておこう。

「真の EXTREME ファンは、"予想外を期待する" ことを知っている。今こそ、古き良きロック・アルバムが必要な気がするんだ。"Six" は確かにモダンな音だけど、ヘッドフォンをして最初から最後まで旅に出ることができる。昔の名作みたいにね。つまりこれは、EXTREME 2.0 みたいなものなんだ」


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