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【岩石マニア】石垣島巨石めぐり vol.3|by 鈴木邦彦@石垣島|屋良部大石(ヤラブウフイシ)& キーストーン

【石垣島巨石めぐり】をご覧いただきありがとうございます!ギャグ漫画家兼 クライマー兼 岩石マニア の鈴木邦彦と申します。

このコラムでは、石垣島の知られざる魅力【巨石スポット】をご紹介してまいります。
毎回2ヶ所の巨石・巨岩の情報と、大まかな位置情報を記載します。

島の大地のアート、巨石・巨岩・奇岩の世界を一緒にのぞいてみませんか?

▼過去記事

(ちなみに岩と石の区別には明確な定義はないですが、一説では地面から生えているものを岩、地面に接している・あるいは浮いているものを石と呼ぶようです。この記事のタイトルは巨石めぐりですが、岩もめぐります。文中ではどちらも用います。)


石垣島はとにかく凝灰岩が多い!

今回は石垣島の凝灰岩(ぎょうかいがん)をピックアップしてまいります。石垣島の岩石は花崗岩と凝灰岩のツートップと言っても過言ではありません!

まず、凝灰岩は火山灰からできています。火山灰が堆積してできた砕屑性の堆積岩です。

石垣島に凝灰岩ができたのは約3000万年前と言われます。
とにかく島の広い範囲に分布しています。野底半島、星野、川平、崎枝という広範囲です。この凝灰岩からなる地層を「野底層」と呼びます。
参考:東北大学機関リポジトリ・石垣島、西表島の地質

於茂登岳を挟んで、ちょうど島の東側と西側にある形です。

この図で見ると一見少なそうに見えますが‥笑
岩石として地表に存在している数が多いんです。

多種多様な凝灰岩!

於茂登岳と並んで島のシンボルとされている野底岳(のそこだけ、通称・野底マーペー)や、観光客に大人気のスポット屋良部岳(やらぶだけ)、また雄大な景観を誇る御神崎(うがんざき)などは全て凝灰岩です。

石垣島最大の岩峰・野底マーペー

また、マニアックな話になってしまいますが、エリアによって凝灰岩の質は若干違っています。崎枝などの【島の西側】には緑色の凝灰岩・グリーンタフが多いです。(凝灰岩を英語でタフと言います。)

これは、海底火山の噴火による火山灰が、火山活動による熱水で変質を受けたものです。

熱水変質作用により火山灰の有色鉱物(おもに黒雲母・カクセン石・輝石など)が、緑泥石という緑色の鉱物に変わってしまい、それらが含まれた凝灰岩は緑色をしているのだそうです。

うす緑色の御神崎・ブナリツブルイシ

対して野底マーペーや星野あたりの【島の東側】の凝灰岩は赤色をしているものが多いです。これは岩に含まれる​​鉄化合物が酸化しているため、赤くなっているものと思われます。

石垣島巨石めぐりVol.1で紹介した見晴らし岩は赤みを帯びた凝灰岩

近隣の畑にも赤土が多いです。余談ですが赤土が多いところではパイン栽培がさかんだそうです。

そんなこんなで例によって前置きが長くなってしまいましたが、石垣島の凝灰岩の巨石スポットを紹介してまいります。

屋良部大石(ヤラブウフイシ)

崎枝・屋良部崎近くの海岸海岸線にぽつんと転がるひときわ大きな美しい巨石。大きく潮が引いた時のみ、岩の全体像が出現します。

まわりには凝灰岩の岩盤や岩塔が並び、石垣島では他に見られないような荒々しい景観です。島の新たな景勝地やジオツーリズムの候補地としてピックアップされるべきスポットだと思います!

ヤラブウフイシを登る筆者

スッパリと90度に切れたフェイスは海をにらみつけるように直立しており、「登れるものなら登ってみろ。」と言わんばかりです。

周辺の荒々しい景観!石垣島にこんな場所があるなんて!

ボルダリングの対象としては その見た目通り厳しく、一番やさしいと思われるラインのみ筆者によって登られていますが、まだ未登の箇所も多く残されています。
なにせ大きく潮が引いた時しか下地が出現しないのでトライしにいくタイミングも難しい‥。しかし見栄えの良さは石垣島ボルダーの中でもピカイチだと思います!

位置情報:

※干潮時にしか向かえません。すべらない靴が必要です。熱中症対策も必須です。

キーストーン

新石垣空港から玉取崎へ向かう途中。伊野田集落を過ぎたあたりの左手に、ドーンと目立つ巨岩があるのをご存知でしょうか。

道路からもよく見えます。

この巨岩も凝灰岩の塊です。近くで見ると大きなまん丸の二つの岩が並び立っていて、まるでこのあたりの守護神のように堂々と海や道路をを見下ろしています。

とにかく迫力満点!野底マーペーに勝るとも劣らない荘厳な姿です。ぜひ、近くをお通りの際は一度車を降りてゆっくり眺めてみてください。

そしてこれだけの巨岩、登りたくなるのがクライマーってもんです。離島などの辺境の巨岩ばかり登っている クライミング界の有名人「辺境クライマーけんじり」さんと一緒に筆者も登らせていただきました。

素晴らしい景観とスケール感!

位置はちょうど手打ち麺どころ「鍵」さんの真後ろにあたります。
鍵さんの店主も岩の名称をご存知ではなかったため、けんじりさんが鍵さんの店名にちなんで「キーストーン」と名付けました。

(クライミング界では初登者が岩に名前をつけていいルール)

とにかく目立つ巨石なので、古来から何かしらの呼び名があった可能性も高いです。もし正式名称をご存知の方がいらっしゃいましたら、ご一報いただけますとありがたいです。

岩へのアクセスにあたりましては、鍵さんが敷地を通過することを快く承諾してくださいました。この場を借りて深くお礼申し上げます。
(近くへ見にいく際は鍵さんの敷地内を通過するため、必ずご挨拶をお願いいたします。)

手打ち麺どころ「鍵」、きしめんがほんっっとに美味しいですので、キーストーンを見学する際はぜひこちらでランチもどうぞ!

位置情報:グーグルマップにも「キーストーン」で登録済

まとめ

今回は凝灰岩の魅力を熱弁しつつ、「屋良部大石(ヤラブウフイシ)」と、「キーストーン」についてご紹介させていただきました。
いかがでしたでしょうか。

かなりディープな内容かと自覚しておりますが‥
また次回も、島の巨石スポットをいろいろご紹介できればと思います。
拙文にお付き合いいただき、ありがとうございました。


▼「石垣島巨石めぐり」記事集です!


この記事を書いた人

鈴木邦彦
ギャグ漫画家/クライマー
日本最南のギャグ漫画家として活動。
また、ボルダリングジム&ガイド「TOP OUT」運営。
石垣島のボルダリングエリアの新規開拓や、山や滝へのトレッキングガイドも行う。

■連載中
八重山日報「アフロくん」
月刊やいま「まじむん日記」
月刊まーるマガジン「マーロくん」
フリーファン「くにくにのぐだぐだ」など。
4コマ漫画がメイン。

経歴
国民体育大会スポーツクライミング競技 出場多数。
野底マーペーを崖側から登頂。
野底ボルダー最難ルート「ティンガーラ」初登。
2023年 40歳にして沖縄県総体スポーツクライミング競技 男子総合準優勝。
スポーツクライミングにおいて日本代表選手を含む多くの選手の指導経験を持つ。
座右の銘は「下には下がいる」。

Instagram:@topout.guide


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