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【欧州レポート】2021年以降の欧州が目指すブロックチェーン技術の方向性とは?

ブロックチェーンに関連する情報は毎日のように新しくアップデートされていきます。

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今回は前回に引き続き欧州議会が進めるHorizon2020のプロジェクトに関する話を紹介します。

前回の記事ではプログラム全体の方向性に関する話を書いてきましたが、方向性を具体的にしていく中で、特にプロジェクトの良し悪しを精査する際に必要になるのが評価基準の部分です。

まずは、イノベーション創出を目的としたプログラム分野での評価に関して。

FET(Future and Emerging Technologies)と呼ばれる新領域の新しい技術に対しては資金調達から実証実験、実装など様々な評価基準をフェーズ毎に検討していく事が必要になります。

プロジェクト自体の評価分類としては、

・60%がプロジェクト自体のエクセレンス

・20%がプロジェクトによってもたらされるインパクト

・残りの20%が実際に実装する際の有用性を加味した基準で評価を行なっていきます。

これはプロジェクトの採択段階によって評価の分類が異なっていくため、実際に社会にイノベーションを提供する事を目指すフェーズに移った場合は、よりインパクトを重要視した評価基準を用いることになります。

一方で中小企業を対象にしたアクセラレーションプログラムでは、主にファイナンスを中心としたプログラムの設計を行い、ビジネスをサポートする事を目的として評価設計がされています。

いこちらは資金サポートのデューデリジェンスに当たって、

・調達金額とそのストラクチャー

・今後の合計資金調達計画

・株式分割およびマイルストーンに関して

などファイナンスよりの基準を用いてサポートを行います。どちらも新技術をマーケットに送り出すというスキームを前提に組んではいますが、評価基準など様々な点を考慮した上で、プロジェクトに対する支援を行います。

イノベーション領域のケースでは、バイオ分野でinspheroというプロジェクトが採択され実際に研究段階から商業ベースまでのサポートが行われています。特に新技術の分野で、実際に販売ベースに乗せるまでに大きなコストを伴うため、プログラムがサポートする意義は非常に大きい部分があります。

アクセラレーション分野ではVR分野のソリューションプロジェクトが採択され、シリーズA、Bと資金調達が行われています。ここでは、AirbusやAudi含めた大手企業とのコラボレーションも実現しています。

政府の支援の後押しによって、プロジェクトが大きく伸長する事例もあるためプログラム自体がスタートアップの可能性を広げていくという側面も期待できます。一方で、既存の法制度などが影響している場合は欧州で実施する事が難しいという事例もあるらしく、欧州で生まれたプロジェクトが他の国で実証実験をスタートする(話の中ではオーストラリアでスタートしたプロジェクトもある)ケースもあるという事です。

期間毎に採択プロジェクトは変化していくという事で、現在はブロックチェーン関連での社会的インパクトプロジェクトの募集が行われています。この分野は後ほどのブログでUNESCOのカンファレンスのレポートもお伝えしますが、現在非常に注目されている領域です。

一方で、技術が未成熟な部分もあるため、政府や国、国際機関などの支援はより重要になってきます。Horizon2020のプロジェクトに関しても、赤十字やUNICEFなどの国際機関との共同プロジェクトは採択の優先順位として高い評価がされるという事で、ファイナンス戦略を考える際にも社会的インパクトをいかに評価していくのかというのは、2021年以降の欧州の動きとして一つの指標になりそうです。

次回のブログでは、場所を変えてパリのユネスコで行われたカンファレンスの話に移ります。




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