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Afterコロナのイベント業界がどう変化していくのか、少し考察してみました。

私、テレワークとなって早一ヵ月が経とうとしています。ご多分にもれず、運動不足→腹がとんでもない事になっています。

そんな生活の中で、徐々にinputが増えてきました。なので、現状思う「Afterコロナにおけるイベント業界の在り方」を、広告会社でプランナーをしている人間なりに綴ってみます。正直これからも世界は変化していっていますし、僕の思考もそれに伴って変化していくと思っていますので、あくまで現状のoutputとして。

はじめに

ご存じの通り、現在のイベント業界は一言で言ってしまうと悲惨です。
おそらく潮目は2月に発表された東京マラソンの一般参加中止だったと思います。あの時、業界内での空気が「これは本当にまずい、我が事だ」という風に切り替わった事を覚えてます。

そこから規模を問わず、様々なイベントが中止もしくは延期となりました。それはもちろん全世界規模で。

例えば(ほんの一例ですが)、先端テクノロジーの祭典 SXSWの中止、世界最大の音楽フェス コーチェラ延期、最も権威のある広告祭 カンヌライオンズ延期、そして東京オリンピック・パラリンピックの延期、などは発表される度に僕の中の深刻度を増幅させていきました。実際キャンセル対応とかいろいろ大変でした…。

ただ、悲惨と書きましたが、もちろん我々は次に進まなければならないわけで、そして既にイベント業界には変化の波がきていたりもしてます。
それは希望だと思ってますし、一方で乗り遅れてしまうと致命傷になりえる、それぐらいの大きな波だと個人的には思ってます。

今僕のように、早く外に出たい、ショッピングしたい、美味しいレストランに行きたい、という人はたくさんいるはずです。そんなリアル欲は、マグマのようにぐつぐつと溜まっているはずで、それはコロナがおさまってきたら、とたんに噴火して人々はリアルを求める、そんな気がしてます。

とはいえリアル礼讃をするわけでは無く、リモートやデジタル化といったコロナによっては変化した世界は決して元通りにはならないと思ってます。不可逆。イベント業界におけるそんな変化を、いくつかのトピックを挙げて考察します。


①オンラインイベント

withコロナの世界においては、当然その間企業や興行主はオンラインにリソースを集中します。よってこれからますます市場はオンラインに適合。イベント管理やチケット販売をしているPeatixでは、これまで全体の約2%程度だったオンラインイベントが現在では当然のごとく大半を占めているそうです。

もちろん顧客や観客(視聴者)も、オンラインに強制的に順応していっており、そして一度味わったオンラインイベントの利便性は忘れません。

これまでオンラインイベントというと、ただ動画を流しているだけだったり、ちょっとニッチ感があったりという感じでしたが今それが変わってきています。
変化のキーワードは、「大規模」「相互」「スピード」あたりかと。個人的に興味深いと思ったオンラインイベントをいくつか列挙します。

『NEWWORLD 2020』:ホットリンク社主催のウェビナーは4,000人が応募し連日1,000件に近いクチコミが (https://marketingnative.jp/er07/)。この規模はBeforeコロナでは考えられません。視聴者との相互コミュニケーションもあります。ライブ配信ってやっぱり視聴してる時にほんのり緊張感があって、それが良いんですよね。

『ASTRONOMICAL』:世界的ラッパー トラヴィス・スコットがオンラインゲーム「Fortnite」でライブを実施。同時視聴者数が脅威の1,230万人。これは新作アルバムのプロモーションの一環で、またこのイベント終了直後にオリジナル商品の販売DMを送っていたりしていてビジネスにもしっかりなっているなあという印象。このイベントは本当に未来を感じました。トラヴィス格好良い。※画像内にいる巨人がトラヴィス

『BLOCK.FESTIVAL』:GW中の5/5にm-floなどが出演するオンライン音楽フェス「BLOCK.FESTIVAL」が開催予定。そもそもオンラインのみの音楽フェスって大規模なものはこれまでほとんど無くって、m-floクラスが出演するなんて期待してしまう。何よりもGW中に開催するというこのスピード感。主催者の方々すごいです。

ほかにも、オンライン展示会が開催されたりスポーツも一部無観客試合をオンライン配信しているケースもあったり、etc...。

間違いなくこの流れはAfterコロナにおいてもあるなあと。リアルとの住み分けが今後されていくんだろうなと。やっぱり、場所に依存しないところやWEBゆえに比較的低コスト&省準備というところが「大規模」「相互」「スピード」という変化を産み出していますね。
近いところでの課題は課金のハードルをいかに越えるかと思ってます。(徳力さんも仰っていますが  https://note.com/tokuriki/n/ne01a8fef3874)
個人的には今後の慣れで解決されていく気はしています。


②オフラインイベント

オンラインの台頭は疑う余地が無い事ですが、一方でオフラインイベントもしっかりと在り続けると思ってます。その臨場感、一体感はリアルなオンラインイベントにまだ分があるかと。

今後起こりうる変化としては、おそらくオンラインとの「ハイブリッド」が増えるだろうと。理由としては、
①人々はオンラインイベントに順応していくので需要が発生する
②感染症などのコンティンジェンシー発生時のリスク分散として
③これから一般化される5Gが技術面で後押し

などが挙げられます。
フジロックとかはYoutube Liveを既にやってますが、今後は5Gによってより体験濃度を上げる事が可能になったりとか有料配信とかも出てくるのかなとか注目してます。
また、オフラインイベント産業で大きいマーケットとなっている展示会においても、オンライン化は一部進んでいくと思われます。


③安心、安全への配慮

この未曾有の厄災によって、人々の中の安全の優先度、安心を求める意識は高くならざるを得ません。

多くのイベント運営では、これまで緊急時の対策やシュミレーションとして感染症は実施していないのが実情です。コンティンジェンシープランは大体火事や地震への対策にとどまっています。
そこに感染症対策への準備、運営体制への反映をしなくてはならなくなります。これにより下記の負担が発生する事は間違いないでしょう。

・コストが増加
・準備工数も増加
・関係者、来場者に消毒&検温などの実施が一般化

もちろんオンラインイベントにおいても、オフラインに比して少ないとはいえ一定の現場作業はあるため、この負担はオン・オフ両方に関係してきます。

少し話は変わりますが、保険もこれを機に変わるかもしれません。現状の興行中止保険は感染症は適用外です。そのため今のイベント中止は=主催者がすべて費用を被っている事になっています。今後は感染症も対象となる保険商品が出るかもですね。 


④イベント業の再編

2月26日、安倍総理から「イベントの中止、延期又は規模縮小等の対応を要請する」とのメッセージがありました。これ以降ほぼすべてのオンラインでのイベント・展示会が中止または延期に。

現状大手のイベント会社で倒産という情報はありませんが、非常に苦しい状況という事は日々に耳に入ってきています。中小規模もしくはフリーランスの方々においては、キャッシュフローが数ヵ月ストップする事が致命的になる事が容易に想像できます。そしてその中小規模&フリーランスの方々が今のイベント業界を支えています。どうにかして避けたいですが、これからばたばた倒産情報が出てくるかもしれません。

他方でリモート配信業やデジタル演出分野にシフトする企業や、それ専業の業者がどんどん登場してきて、これまでの「イベント業=オフラインイベントの職人集団」というイメージが再編されると思っています。

また、それにともなってイベント会場も、これまで通りの需要があるかはわからなくなってくるかと。前述の通りにオンラインイベントが伸長してくると、大人数キャパの箱は不要になってくるので、そうなってくるとイベント会場も別の利用方法や商品設計を模索せざるを得なくなってきます。


⑤スポンサーシップマーケティング

今日の商業イベントの重要な要素であり、大きなマーケットを占めているのがスポンサーシップになりますが、これもAfterコロナでは変わります。

コロナによって、どうしても費用を出す側はスポンサーシップマーケティングをリスクと捉えてしまいます。こんなにもあっけなくイベントが中止になってしまう事を体験してしまったのですから、これはしょうがない事かと。

つまりは、そのリスク意識を超える価値あるメリットを、主催者側は提示しなくてはならないですし、もっと具体的に言うと従来もっとも多く行われている「会場にロゴや企業名を掲出しますよ」のような旧態依然としたスポンサーメリットの価値が下がってしまうでしょうね。
具体的な考えはまだ無いのですが、例えば、イベント当日のみならず、恒常的に実施されるようなアクティベーションが増えていくのではと思ってます。


⑥イベントのサブスクリプション

オンラインイベントの伸長に紐づいて、イベントのサブスクマーケットが伸びていくのではと思ってます。

この市場はBeforeコロナからありましたが、オンライン化した世の中においてはよりフィットしていく事になるでしょう。

例えば米国発の「Peloton」はエクササイズ機器の販売とともにオンライン動画サービスのサブスクをしており、同じクラスを受講している人同士とつながることができるコミュニティサービスなどがついています。これは既に凄まじい勢いで伸びており、現在200万人以上の会員数がいるとの事。今後も衰退する理由がありません。

また教育の分野の伸びも考えられます。現在国内のほとんどの学校が休校となっており、その復活はいつになるかわかりません。そんな中多くの学生はオンライン勉強をしているでしょう。そんな彼らに対して、塾やセミナーなどのオンラインサービスは受容され易いでしょうし、例えば音楽教室やダンス教室なども自宅から受講する子どもたちがこれからたくさん出てきてもおかしくありません。

最後に(場所の共有→時間の共有)

イベントってこれまでは、場所を共有する事が最も大きな特徴であり、強みでした。同一の場所で行われるイベントの臨場感&一体感はオンラインイベントはおろか他のメディアでは実現ができないものでした。唯一無二。

しかしながら、これまでに述べたようにオンライン化は不可逆な事です。そこで思うのは、これからのイベントは「場所の共有」から「時間の共有」という考えに軸が変化するのではと。もちろんオンラインもオフラインも関係なく。

そしてそれは、Twitterに代表されるSNSがここまで生活に根付いた今だからこそ活きてくるのではないかと。皆さんも経験があると思いますが、イベントに参加しながらのTwitter投稿や閲覧は、そのイベントの体験をブーストさせてくれます。
この「時間の共有」という考え方によって、イベント業界はどのようになっていくのか、これからどんな未体験イベントが登場してくるのか、今後が気になるところです。
さっ、企画しなくては。


今回は以上です。長々となりました。

これからもマーケティング、スポーツ、イベントなどについて書いていきますので、よければTwitterから色々みなさんのご意見や知見を交換させてください。

Twitterアカウント:https://twitter.com/complanner0619


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