いつの間にか「あたしこのパイ嫌いなのよね」って言う大人になっていたこと…
「あたしこのパイ嫌いなのよね」。
ジブリアニメ「魔女の宅急便」での印象的なシーンのひとつです。
ゴールデンウィークの休暇中、こちらの記事をネットで見つけてから改めて「あたしこのパイ嫌いなのよね」の言葉について考えてみました。
お届け物の依頼先で届けるはずだった料理を薪のオーブンで素敵なおばあちゃんと作る経験をしたキキ。
雨の中を一生懸命パイが濡れないように抱えて届けた先でお届け先の女の子から言われた衝撃的な一言が「あたしこのパイ嫌いなのよね」でした。
子どもの頃はこのシーンは観るのが嫌で、ビデオを早送りしてしていた思い出があります。
せっかくキキとおばあちゃんが作って一生懸命届けたパイに対して「嫌いなのよね」(バタンとドアを閉める)…このシーンを観た後は気持ちがモヤモヤしていましたね。
今、大人になって観てみると…
この「あたしこのパイ嫌いなのよね」の言葉の前をちゃんと聞くと
「だから、いらないって言ったのよ…」 とお届け先の女の子はキキに言っていました。
…女の子はおばあちゃんには事前に「いらない」と伝えていたんですね。
それでも、パイを送ったおばあちゃんなのですが、今思うと私も大学生のときに同じようなことがあったなぁと思い出しました。
大学生のとき、私は親元を離れて一人暮らしをしていたのですが、定期的に母からの小包が届いていました。
中身はレトルト食品やふりかけ、畑で採れた野菜…そして私が子どもの頃に好きだったお菓子が入っていたのです。
子どもの頃はお煎餅をよく私は食べていたのですが、やはり好みは変わるもので、大学生のときには特に進んで食べようとは思っていませんでした。
母は「Marikoはこれが好きだったから」と言って、「入れなくてもいい!」といくら言っても必ず小包にはお煎餅が入っていて、結局自分は食べずに人にあげたり賞味期限を切らしてしまって捨ててしまったり‥今思えば、「魔女の宅急便」のシーンと一緒ですね。
小包に入れる野菜を収穫したり、私の好きなお菓子をスーパーで探したりなど、手間も時間もかけて母は送ってくれていたものでした。
両親や祖父母に対して「ありがた迷惑」だなぁ、と思ったこと、口に出して愚痴のように言っていたことは私にもあったと思います。
なので、今回読んだネットの記事にもあるように、お届け先の女の子の気持ちも分かるというか、自分もそう思うことはあるので批判はできないですね。
子どもの頃は大嫌いだった「魔女の宅急便」のお届け先の女の子に、自分もいつの間にかなっていました。
ですが、「魔女の宅急便」の話の中では、配達してきたキキが実はおばあちゃんと一緒に薪オーブンで苦労してパイを作ったという裏話があることをお届け先の女の子は知るはずもありません。
断ったはずのパイが、配達の人がずぶ濡れになりながら届いたら…
逆に配達の人に申し訳ないという気持ちになって、おばあちゃんの悪口?を気を遣って言ったのかもしれない、とも考えられます。
人それぞれに事情はあるし、その時の言葉、態度だけで「善い」「悪い」は決められません。
そして、ひとつひとつの自分が受け取ることができているものやことは、誰かの手間や時間がかけられたものだから、大切にしたいと自分への反省も込めて改めて思いました。
子どもの頃に観た印象的なワンシーン。
大人になったら見方が変わるものですね。
子どものころ「嫌だな」と思っていた大人になっていたことに自分でもちょっぴり反省しました。
「魔女の宅急便」、何度観ても新しい気づきがある大好きな作品です。
…この後、アマゾンプライムで実写版「魔女の宅急便」を観たのですが、こちらは色んな意味で衝撃が強すぎたので、また別のnoteに書こうと思います。
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