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ごきげん福岡

今週、1泊2日で福岡市内に行ってきた。
福岡市内、赤坂エリアに友人たちが暮らしたりシェアリビングしているコミュニティがあり、最近その新規メンバーとして正式に迎えてもらった。
今回の来訪はその挨拶と諸々の所用のためである。

そのコミュニティは、なんといったらいいだろう。
家族ではないみんなの実家、という雰囲気があり、「ただいま」と言いたくなる不思議なアットホーム感のある場所だ。
一般的なシェアハウスとは趣の異なる、住んだり住まなかったりの「メンバー各位のイドコロのひとつ」というか。良い意味で変わっている。

はじめて福岡に遊びに行った2019年からの付き合いになるので、もう4年。
京都時代からの友人の紹介で訪れた当時は、天神にあった。
昨年から赤坂に引越し、以来福岡に行く際はよく泊めさせてもらっている。

赤坂は、2021年に福岡で初めて個展をしたエリアでもあり、このコミュニティに出入りすることで赤坂との縁も少しずつできてきた。

この2日間は楽しい出来事が続き、好きな場所で、好きな人たちと、流れる時のままに、ごきげんに過ごした。

1日目。
大島からフェリーに乗り込むと、島で仲良しになったママさんの一人に遭遇、デッキシートに相席して神湊港に着くまでおしゃべりに花を咲かす。たまたま、博多方面まで所用でドライブされるとのことで、「乗っていきます?」と親切にお声がけくださり、お言葉に甘えて同乗させてもらうことに。

子育てや教育について独自の思想を持っておられ、日本の教育がいかにこの国際社会の中でも遅れているか、子どもたちにとって真に必要な学びや指導者とはなんぞや、などなど率直かつ深い議論ができた。
日本の教育がいまだに知識偏重型から脱却できていない教育現場の実情や、ならえ右の強制的な指導によって、才能・感性豊かな子どもたちの芽を摘んでしまうことはあってはならないのにな、といった問題意識も共有。

特殊能力というか、なんでもご自身で作ってしまわれるクリエイティビティをお持ちの方で、その日もお手製の素敵なチュニックを着ておられた。今度洋裁を習いに行かせてもらえることになり、楽しみが増えていく。

彼女のような面白い方が大島に移住されたことが素晴らしいし、波長の合う方と出会えたことが嬉しい。私が移住してから気がつけば1年と少し。その間にも、地域事業で独立された方や、作家さんや、整骨院さんなど、多種多様な方々がこの大島に移住している。(あるいは多拠点だったり。)
なんとなく不思議な現象であり、必然のような気配もある。神守る島としての、新たな陣営が引き寄せられているような…..というのはあくまで私の妄想だけれど。

なんとそのまま赤坂まで送ってくださり、せっかくなのでお昼ご飯にお誘いした。ちょうどその日のランチは、例のコミュニティメンバーのひとりSさんと予定していたので、一緒に食べることになった。

黒田屋さんという老舗のちゃんぽん屋さんで、皿うどんもすごく美味しい。
何度も来ているが、いつ来ても地域の常連さんで混み合っている。たいてい、お昼時に地域の常連さんで賑わっているお店というのは期待値が高いものだ。この日もお店の前に列ができていた。

美味しい昼食に一同大満足し、ママさんとは大島での再会を楽しみに別れ、Sさんと食後の喫茶に出かけた。

赤坂に来る時は必ず訪れる大好きなお店、珈琲花坂さん。
雑踏のオアシスと呼びたくなるそのお店は、テナントビルの最上階に静かに佇んでいる。植物たちが入り口で優しく迎えてくれ、帰り際にはマスターが見送ってくださる。

マスターの美しく流れるような所作で珈琲が淹れられる様子を見ていると、あたかも現代の茶室に迷い込んだかのような、うっとりとした心地になる。
そのひとときのために、いつも決まってカウンター席に座る。

Sさんと、ジブリ最新作「君たちはどう生きるか」の感想を言い合った。
ネタバレになるのでここでは詳細は割愛するけれど、その会話から派生した内容はどれも人生を俯瞰していろんな側面を互いに認識し合えるようなものとなった。「人生は回収されるか解らない伏線だらけだし、いつかされるものも、死ぬまでされないものもきっとあるよね」、つまり、モヤモヤはそのまま抱えて生きていけばいいじゃない、と二人でウンウン頷いた。
宇宙に還りたくなるときもあるよね、なんて話をしていたらマスターから「なんでも宇宙やん(笑)」とつっこまれた。ははは。よく宇宙宇宙言ってるらしい。そう、つまるところ、なんでも宇宙に帰するのだ。
この日着て行った自身のオリジナルブランドの新作Tシャツ(手刷り)も好評で嬉しかった。今作の感想でよく「これ土偶?」と訊かれる。
自分でもよく解らない。しかし、古代であり、かつ未来でもある。と言えるデザインだ。

夕食後もコミュニティのメンバーと近況について話し合ったり、議論したり楽しく過ごした。みんなから依頼を受けたアートワークのための採寸などをして一夜は過ぎ、福岡に拠点ができたことにほくほくしながら、ぐっすりと眠りについた。

***

2日目。
午前は予約していた整体のため、西新に向かう。
昨年、西新で個展をした際にも見に来てくださり、いちど整体を受けに行ったこともある、ロジウラサロンととのえさん。
店長さんは、どう表現していいのか解らないけれど、対峙するとどうも宇宙人フレンドとの邂逅みたいな心境になってしまうというか......つまりとても興味深い方だ。(そしてまたしても宇宙だ笑)
ゴッドハンドの持ち主であり、目の前の小宇宙である身体と交信しながら(骨や筋肉たちと対話しながら)歪んだ部分をほぐしてくださる。

前回、ひどい捻挫の後遺症で歩きにくくなったのを治してくださり、あの時はもうまさに、タマシイカエレリ……然とした、背中に羽が生えたような軽やかさを得たのだった。
今回も、施術後に身体が軽くなったのを感じた。

ルンルンと西新を後にして赤坂に戻る。
道すがら、コミュニティの拠点近くにあるお気に入りの書店、ブックスキューブリックさんに立ち寄った。
決して広くはないスペースの中で、毎回読みたい本と出会える、キュレーションの利いた本屋さんだ。常設の書棚と、入り口右手のコーナーにはアートや文化に特化した鮮度の高い本たちがずらり。
レジ前には美味しいパンも売っている。
今回も、本当に素晴らしい絵本に出会った。心のポケットに大切にしまっておきたいので、作品名は伏せておくことにする。
そのほか書籍1冊、ポストカード2枚、パン2個を購入。

赤坂で荷造りをして、大島に戻る前に所用をすまそうと最適ルートを確認。
愛用している腕時計の電池交換だ。大島では時計屋さんや修理屋さんがないので、割と重要なミッションである。
折角なので珈琲屋さんの新規開拓もしたいなと、前から行ってみたかったお店を調べ、六本松へ向かった。

降りたバス停の近くに時計屋さんがあり、優しそうなおじいさんにさっそく腕時計の電池交換をお願いした。ずいぶん古くからあるお店のようだが、清掃が行き届いており、ショーウィンドーに飾られた時計や宝石もピカピカだった。きちんと手入れされているのが伝わり、お店やお仕事を大事にされているんだなぁと思った。こういうお店、好きだなぁ。

そのまま炎天下の道路を極力影伝いに歩き、何度か角を曲がると、行ってみたかった珈琲屋さんに到着した。
花待ち雨珈琲さん。ほまちあめこーひー。ああ、なんてかわいらしい響き……。

以前京都のある焙煎珈琲屋さんで手にした雑誌の特集ページで見つけて以来、気になっていた。暑かったので、アイスラテをいただいたのだが、これがもう…..たまらなく美味しかった。お豆の味がしっかりとして、それでいてミルクと幸せそうに絡み合っている、ああ、幸福。。。
外装も内装も和やかな気分にさせてくれるもので、幸いその時間帯はゆったりとマスターともお話しができた。いろんな国のお豆ちゃんたちが、マスターが描かれた素敵なイラストに変身していたり、オリジナルグッズも置いてあったりと、愛がそこかしこに咲いているお店だ。好きだ。ぜひまた来たい。

地下鉄七隈線が博多駅まで開通したことで六本松駅から直行できて便利になった。博多でJRに乗り換え、東郷下車、さぁここからの西鉄バスが問題だ。
なぜなら、運転が非常にスローだからだ。今回も遅延し、あと1分というところで大島行きのフェリーに間に合わなかった。次の便までは約2時間…….。
……………………..。
しかし、これしきのことで、これまでの「ごきげん」を奪わせはしまい。
気持ちを切り替えて、バッグから小説を取り出し読み耽った。

結局最終便の19:00に乗船したが、デッキには私以外だれもおらず、潮風に吹かれながらただ一人、もう日も沈み、だんだんと淡く藍色に染まりゆく海を眺めていた。

うむ、これもまたよし。きっと神様が贈ってくださった景色なのだろう。
その一瞬一瞬の美しさに感謝して、帰路についたのだった。

P.S.(敬語)
本当はどのお店も、人気店でこれ以上混むとファンとしては困ってしまうので名前を伏せようかとも考えましたが、ひっそりとやっているこのnoteでならばその心配もなかろう、と記載しました。
愛のある皆さまへ届きますように。


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