見出し画像

頬がゆるんだ、正午のバス。


いつも通り仕事をしにカフェに向かう
土曜、正午のバス。


東京とは違って30~60分に1本しかないバスにやっと乗り込んだ私。

その日はとても暖かく、
稀に見るいいお天気だった。


私が乗ったバス停から3~4つ進んだバス停から
小さくて白髪混じりの可愛らしいご夫婦が「ヨイショ」と言いながら
私の前の席に前後で座った。

私の前におばあちゃん。
そしてその前の席におじいちゃんが座った。


ゆっくりと揺られ、

バスの移り変わる風景に、何度も指を指しながら
一生懸命に話すおばあちゃん。

「銀杏並木が綺麗ね」
「お空が青くて空気が澄んでいるわね」
「あそこの近くにお友達が住んでいてね…」
「あれは何かしら。今度行きましょう」

そんなおばあちゃんの話をニコニコとしながら
穏やかな相槌を打つおじいちゃん。



きっといつもの光景なんだろう。

無邪気なおばあちゃん。可愛らしいな〜。



どんな出会いだったのかな。

おばあちゃんがゾッコンだったのかな?
実は初めはおじいちゃんの猛アタックだったのかも!
当時主流のお見合い結婚だったけれど、
その結果最高のパートナーと巡り会えたのかも。


可愛いカップルの様子を後ろから眺めながら
私はそんな妄想をして楽しんだ。


世の中、世界一愛している人と結ばれることは
本当に奇跡のようで
実はそんなに居ないんじゃないか、

と思うことも増えてきていた私。


好きな人と心から愛する人と、ずっと一緒にいること。
楽しいことも、幸せなことも、苦悩も全て共に経験すること。


それがなんて素敵で尊いことなのか、
目の前で体現している小さな白髪混じりのカップル。



いつか私も、
そんな人ができるだろうか。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?