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エピローグ 部下に手を出す信用できない上司のその後

1~5話 6〜10話 11~15話 16~20話 21話 22話 23話 24話 25話
26話  27話 28話 29話 30話 31話 エピローグ(完)

花金。

駅前の本屋。

写真週刊誌。

グラビアアイドル。

「カチョー!」

「うわっ、なんだよいきなりビビらせんなよ!」

高校生。

少年バスケの元教え子。

「グラビア立ち読みとか、おっさんみてー」

「うるせーな。十分オッサンだよ、ほっとけ」

「せめてネットで読めよー?」

「通りかかりにちょっと目に付いてパラパラッと見てただけだろ」

「へー、そーゆーのが好み?」

「あ? いやー、この表紙の子が知り合いに激似でさ! いや、マジで似てて驚きのあまり震えたわ……」

「顔は別にフツーじゃん」

「どこが!? かわいいだろ!」

「まあ、胸はでけーな」

「お前、見るな!」

「なんでだよ! 売りもんじゃん!」

「そーだけども!」

「母さんにチクってやろー。エロ週刊誌見てニヤけてたって」

「ニヤけてねえし! オイ、余計な事言うなよ。狭いムラ社会なんだから変な噂広まったらどーすんだよ? つか、翔太、お前部活は?」

「テスト前だよ。コーチは? 仕事サボり?」

「あのネー、うちの会社のお仕事は夕方までなのよ。お母さんもソウデショ」

「カチョーなのに?」

「今日はノー残業デー」

スーパー。

「あら、コーチ! お仕事帰り?」

「アー、ドモース」

少年バスケの保護者。

「やだァ、スーツなんて姿初めて見た。お疲れ様ですー」

「アー、ツカレサマスー」

総菜売り場。

「ちょっとヤダァ、コーチ! そんな出来合いのもんばっかり食べてたら体によくないわよー」

「まあ、独り者だと仕方ないわよねー」

鶏のから揚げ。

二割引き。

「コーチ、再婚する気ないの?」

「あー、ないですねー」

「実は翔太くんママとイイ感じとかー?」

「そうよお互いバツイチ同士。ぴったりじゃない!」

「いやー、仕事の部下ですしねー」

部下に手を出す上司は信用できない。

「東京にイイヒトいるとかー?」

「あー、それもナイですネー」

地方転勤。

二年目。

男やもめ。
 
「じゃ、コーチ。また来週よろしくお願いしますー」

「コーチ、おかず作って持ってくわー」

「ヨシャシャース」

有料のレジ袋。

缶ビール。

夕焼け。

カラス。

とんぼ。

「あ。週刊誌買うの忘れたじゃねーか!」

グラビアアイドル。

夜長。

独り寝。

「ん?」

外階段のアパート。

「あ? え、どした、なんで?」

ドアの前。

「会社は?」

「半休取りました」

「いつから待ってたんだよ」

「一時間くらい前。だって今日、課長んとこノー残業デーだし、遅くはないかなって」

「ラインしろよ」

「サプライズ!」

「あのねー、若くてかわいい娘サンがそんなとこで座って待ってるとか危ないからマジヤメテ」

「もう若くないから大丈夫ですよ」

かつての、となりの課の部下。

「つーかさ、来たらダメだって言ってんでしょーが。交通費だって安かないんだし、その分貯金しなさいよ」

遠距離恋愛中。たぶん。

「だって大ニュースが」

「大ニュース?」

「内々ですが、こっそり羽切室長が教えてくれて」

「何を」

「次の辞令で本社に戻れます!」

「あー」

「しかも堂道次長!」

「……知ってら。今朝、内示のメール来てた」

「えええー!?」

「俺も腐っても管理職なんだよ」

「いつ付けですか?」

「来月」

「早速今日から引っ越し準備ですね!」

「あいにくお任せパックだ」

「横浜のマンション、賃貸にしちゃってるのどうします?」

「あー、それなー」

「……うち、来ますか?」

「住むにはさすがに狭くね? 糸チャン家のワンルーム」

そっくりのグラビアアイドル。

年下の、恋人。

Fin.


続編 部下に手を出す信用できない上司のその後 に続きます


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