佐久間マリ
堂道夏至は、うるさい、こわい、人相悪い、理不尽、横暴、社内イチの嫌われ者。同じ部署の玉響糸はイヤすぎてすれ違う時に息を止めるほど。しかし糸は偶然堂道の意外な一面を見つけてしまって……。 昨日の敵は今日の好きな人!?悪役俺様嫌われアラフォー上司(バツイチ)はヒーローになれるか!?
絶望カップル、黎のひとりごと 「ゆるやかな絶望しかないけど」のスピンオフです
幼馴染の黎とわたし。月に一度、黎の家にご飯を作りに行くそれだけの関係。もう期待も希望もないけれど…。【全6話】
1~5話 6〜10話 11~15話 16~20話 21話 22話 23話 24話 25話 26話 27話 28話 29話 30話 31話 エピローグ(完) プロローグ 玉響 糸、二十六歳。 最近、人生悟ったこと。 その一、食わず嫌いはよくない。 食べ物の好き嫌いだけに限らず、世の中には知らないだけで実はすごくおいしかったという例がたくさんある。 だから、何事においてもとりあえず挑戦してみること。 その二、人を見かけで判断してはいけない。 中身を知ってみれば
拙作、チョコレイト・ラブがコミカライズされることになりました。 ありがたいことです。 使ってるケータイで時代がわかります。 当時はスマホが一部のアップル好きの人しか持っていないシロモノだった。「ボタンがないのにどうすんのー?」とかアンチなことを言っていたな。 十年、それなりに酸いも甘いもさらに経験して、チョコラブは今は絶対書けない内容だ。まだまだピュアよのう、十年前の私。 十年後の私は、どんなものを書いているのかな……。 エブリスタさんに色々小説ございま
「大反対」あらため新タイトルです。 漢字三文字で『大〇〇』としたかったけど、タイトルとしての座りが非常に悪かったので。 ようやく書く気になって来た。 執筆意欲としては『わくわくするほどではないけど、義務と思ってパソコンに向かえばそれなりに書き続けられそうなレベル』まできました。 幸せな楽しい話を書きたいけど、書けば書くほど少しビターな話になりそうな気がします。 せめて、短く、テンポよく書きたいです。 プロローグ的な本編です↓ 私がベランダで育てているパセリを見て、彼は
朝、出勤すると社内チャットで野木からメッセージが届いていた。 ファイルが添付されていて、件名は予想通り、『あすなろ会案』とされている。 驚いたのは、その送信時刻だった。 「は? 2時12分って頭おかしくない!?」 仕事の合間にたまたまこのメッセージを送ったのがこの時刻だったのか、この資料を作っていたからのその時刻だったのか。後者ではないことを祈る。 希愛は仕事が忙しいことを理由にあすなろ会に関する一切に消極的な姿勢を貫いているが、野木の属する営業部もけして暇な部署ではな
御宿かわせみを一日一冊ペースで読んでる。現在10巻。東吾にイライラするけど、世間の感想はどうなんだろう。東吾、痛い目見ろ!源さんか長崎帰りのお医者さん推し。
昼休み、社食から出た所で同期の竹田由美と並んで歩いていると、エレベーターからこれまた同期の野木が降りてきた。 「お、野木。おつかれー」 「ああ、おーっス」 「まったねー」 挨拶と社交辞令は隣の由美に任せて、希愛(のあ)は知らん顔ですれ違う。 すれ違ってしばらくしてから由美が「あ」と思い出したような声を出した。 「今年の『あすなろ』の幹事、希愛と野木だよって言うの忘れてた」 「げっ、うそ、マジ!?」 「うん、今年度のあすなろ会の経費計上されてたから、思い出
物を書くときに音楽がないと乗らないタイプです。 つねに、私的主題歌があって、それぞれのシーンにも私的サウンドトラックがある。 アーティストの歌う唄をエンドレスリピートすることもあれば、ドラマや映画のOSTにお世話になることもしばしば。オリジナルサウンドトラックはそもそもが物語により効果をもたらすために創られた楽曲ばかりなのだから創作のBGMにするには最適であるのもうなずける。 私の中で、十年来の『クライマックスに走り出すときの曲』というのがある。キャメロン・ディアス
去年の一月、取引先の人に「五円を一年間貯めて、次の年の初詣のお賽銭にするといいらしい」と聞いた。 某Jのメンズがテレビで言っていたとその方は教えてくれた。 人から頂いたご縁を回す、という意味合いらしい。 私は一年間とにかく五円集めに夢中になった。 お会計の下一桁が7円なら2円の端数を出して、5円のお釣りをゲットした。(もとから500円玉貯金が習慣の私はお釣りで500円をもらうことにも命を賭けている) キャッシュレス決済中心で、お財布を開かない日も少なくないなか、
堂道三部作を終えて(note掲載は二部まで)、堂道ファン代表のKazunanoさんがインタビューしてくださいました。 まぁ、特に何の得にもならない内容ですみません……。 堂道好きの方には少しは暇つぶしになるかなと思います。 Kazunanoさん、膨大な量の編集ありがとうございました!
ここ数日、江戸から離れられない。 江戸の物語を貪り読んで我がストーリーを構成するかけらを探しているが、まだ執筆モードにはならない。 隻腕の元剣士が吉原帰りの深夜に、街中で慰み者にされかけてた遊女を助ける。 仕方なく家に連れ帰り、乳母か下働きの老婆に見つかって…的な(夜中に帰らないとか、そんなとこに遊女おらんやろとか、いろいろ時代的な錯誤はスルーして下され)。 二割くらいはイメージとか冒頭のシーンとか、最初の一文くらいまでは頭の中で出来たけど、脳内の言語モードが時
横断歩道の信号待ちで、電車の席の向かい側で、いつも男を品定めしている。 「なんでそのスマホカバーなの」 「その髪の毛、イケてると思ってる?」 「微妙に色があってない」 相手の男性からすれば、ほんっとうに余計なお世話だし、お前一体何様である。 答えは、趣味で恋愛小説書いてるオバハンですが、なにか。 現実に存在しないようなスパダリを夢見て自分で書いてそれに萌えてるキモいオバハンですが、なにか。 こちとら毎日一分一秒がネタさがしなわけでして、それがこんなふうになるわ
こんなことしてもらえる作品になったんだな、堂道よ。 お前、愛されてるよ! 日頃より堂道広報大使のkazunano様がPR動画を作ってくださいました。 日々、不眠不休で、堂道の普及に多大なる貢献をしてくださってます!ありがとうございます! 堂道の怒鳴り声、ガニ股、眉間の皺。 リアルにゴミ箱を蹴る堂道を拝める日がいつかきますように。
一つ話を書き終えて、インプット期に入っております。 ツタヤにコミックレンタルしに行きましたら、異世界の『こ』の棚に「後宮」から始まる異世界コミックが五種類くらいあった……。少し前は『転生』と『悪役令嬢』だったなぁ。 流行物を書けるか書けないかというのが、商業作家になれるかなれないかのボーダーラインだと思いました。 書けない私はなれません。 今まで好きなことを好きなように書いてきたけれど、守破離じゃないけど、やっぱり理論的なことも学んだ方がいいのかと思って参加して
会社のほど近く、オフィス街のこんなところにあったのかと思う場所に、一軒だけ存在していた。 確かに、いかにもな外装ではないし、装飾も抑えられてはいるが、看板には「REST」と「STAY」の値段が書いてあるし、意外にも部屋は半分以上埋まっていた。 ラブホテルならではの、部屋選びから事前精算まで、堂道は戸惑いも躊躇いもなく済ませた。 動作のたびにガコガコ鳴るようなエレベーターに乗り込む。定員二名かと思うくらい狭い。 糸の手前に立つ堂道は、薄暗い、さっきまでいたオフィスと同じ
濃い目の口紅をぐるりと乱暴に塗りつけて、ジャケットを脱ぐ。 薄手のブラウスに、今日はあえて目立つ色の下着を透けさせてある。 胸元のボタンを一つ分多く開けながら女性トイレから出ると、急いで階段に通じる重い鉄の扉を体で押し開けた。 池手内が、しらじらしく糸の後を追って離席しようとしていたのが見えていた。 ここで同じエレベーターに乗り合ってしまうのはどうしても避けたい。 「やばいやばい、早く早く」 五階分の階段を、ヒールを鳴らして駆け下りる。 資料室のフロアに着き、上
糸は、いつかのリバーサイドにいた。 手すりにもたれて暗い川を見ながら、買ってきた缶チューハイを一人で開ける。 酒が苦い。 息を吐いた傍から川風がさらって行く。 したためた辞表をくしゃと握りつぶした。 「玉響さんが辞表を出すのは勝手だけど、キミが辞めたところで、ボクが写真公表しないって約束にならないよ」と池手内に先手を打たれている。 堂道への腹いせには違いなかった。 しかし、写真を撮られたのは現実で、糸には確かに気の緩みがあった。 それにまんまと足元をすくわれた