【エッセイ】ヨッチ
今までにも何回か私のエッセイで登場している父、よっちゃの話である。
最近では私と姉のあやの間でヨッチと呼ばれているので、今回からヨッチと呼ぶことにする。
今回のエッセイでは、ヨッチの愛すべきキャラクターに焦点を当てたいと思う。
ヨッチ
なるほど。ふんわりしているのですね。
ほう、ふんわりだ。
これはパッケージに”ふんわり”と書いてある商品を見、食したヨッチの感想である。
このようにヨッチは機械のように素早く情報を読み取り、登録するのだ。
基本的な説明はここまでにして、いくつかのエピソードを語っていこうと思う。
~猫の空(くう)とヨッチ編~
これは以前私と同居していた頃の話だ。
猫の空(くう)は完全家猫で、外に出たことがないのだが、ある日私が帰宅すると驚くべき光景があった。
家の前にボーッとたたずむヨッチと、ボーッとした顔でヨッチに抱きかかえられながら外を見ている空がいるではないか。
私
えっ!!!ヨッチと空!?え!?なんで!!!あせあせあせ!!!
ヨッチ
いや、外見てたから、出たいのかなと思って。
私
!!!!!
この時のヨッチの思考回路はこうだろう。
空が窓から外を見ている→空はいつも家にいて外に出たことがない→外に出たいはず
いくつかの情報が重なり、空は外に出たいのだと登録したヨッチは、おもむろに空を抱え、外に出たのであろう。
~フッ素(私のフランス人旦那)とヨッチ編~
今年の3月、ヨッチは股関節の手術のため入院した。
股関節に金属が入り、ヨッチは更にサイボーグに近づいたのだ。
約2週間ほどの入院を終え、私とフッ素はヨッチを世田谷の病院まで車で迎えに行った。
(ヨッチとフッ素と声に出して読むとラップのようで気持ちがいい)
少し痩せたヨッチが元気よく病院から出てきた。
ヨッチは杖をつきながらスタスタと歩いて駐車場まで向かい、車に乗り込んだ。
ヨッチ
ロマンくん!(フッ素の名前)
今日はよろしくね!
じゃあ早速行きましょう!
運転するのはフッ素なのに、いきなりヨッチが主導権を握る。
フッ素は予め自宅までのルートをナビに登録しておいたようだ。
フッ素
じゃあ出発します!(日本語ちょーペラペラ)
ヨッチ
ダメ!そこは左に行ってください!
フッ素
で、でも…ナビでは…!!!
ヨッチ
いいの!左です!
フッ素
は、はい…!
ヨッチ
次、しばらくみちなりに進んで、右!
go rightです!!
フッ素
ナ、ナビと違う…!!
ヨッチ
ナビ消してください!
フッ素
(><)
はい!
ヨッチは自分が機械なので他の機械とは喧嘩してしまうようだ。
その後、ヨッチは道中で外国人を見つける度、
「あ!似たような人が居た!!!!」
とフッ素に向かって差別ともとれる発言を繰り返した。
しかし、フッ素はかなりのいじられキャラなため、こういう発言は嫌がるどころか寧ろ自分が話題の中心にあがることを喜ぶタイプなのである。
ヨッチは機械的なところはあるが、不思議と空気は読めるので、他人が傷つきそうなことは言わないように登録されているのだ。
そこで私も一緒になってフッ素をいじる。
私
あ!また似たような人がいたよ!!
ヨッチ
あれは違います。恐らく北ヨーロッパでしょう。
私
!!!!(意外と厳密!!!)
そう、ヨッチは全て鵜呑みにすると思いきや、意外に鋭く、あなどれないのだ。
~フッ素とヨッチ編2~
以前まで私と同居していたヨッチは、現在はあやと同居してる。
ヨッチ
ロマンってあいつ、麦茶好きだよな…。
あや
え!?
ただあるから飲んでるだけじゃなくて!?
(実家ではいつも手作りの麦茶が冷蔵庫の中に常備されている)
ヨッチ
いいや!あいつは麦茶が好きなんだよ!
あや
そうなのかな!?あせあせ
ヨッチ
あいつ、フランス人なのに麦茶ほんとうに好きでさ!
麦茶があると、すぐ飲んじゃう!!
あや
あせあせあせ
ヨッチの思考回路。
フランス人は麦茶を飲まない→フッ素がいつも家に来た時に麦茶を飲む→フランス人なのに麦茶が好き
~番外編~
私の心の声
フッ素が本当に麦茶好きなのか確認してみなきゃ…!!!←使命感
冷蔵庫の中にいろんな種類の飲み物を仕掛けておこう…。水に麦茶にビールにジュースっと……!
あ、帰ってきた!!!
フッ素
ただいま〜!はぁ疲れた。
|˙꒳˙)ノ|Юガチャ(冷蔵庫を開ける)
カップに麦茶を注ぐ。
私
!!!!!
(でもこれだけじゃわからない…)
その後フッ素、夕飯食べ終わり。
フッ素
さて、ゲームゲーム。
|˙꒳˙)ノ|Юガチャ(冷蔵庫を開ける)
いいちこの麦茶割りを作る。
私
(もう、これは!!!!)
私
あ、あのさぁ!!!
もしかして、麦茶好きなの!?
フッ素
え!?
私
冷蔵庫にたくさん飲み物あったのに、わざわざ麦茶を選んで、更に今麦茶割りを飲んでるわけだけど…!!
フッ素
!!!!確かに!麦茶好きなのかも!!
恐るべきヨッチ…。
浅はかに見えて意外に鋭い…。それがヨッチなのである…。
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