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猫好きの人にお勧め~『空飛び猫』(アーシュラ・K.ル・グウィン著、村上春樹訳)~

買った時に一度読んだきりの本を、読み返してみました。

↑文庫版


驚いたのは、内容をほぼ何も覚えていなかったこと。新鮮な気持ちで読めたのは良いですが、記憶力の衰えに、老いるショックを感じました。


大都会で生まれた4匹の子猫が、生まれ持った翼(彼らの母は持っていない)を活かし、環境の良い自然豊かな土地に移り住む話です。けれども自然の中で生きることは、決して容易くなく……。


子猫たちが選んだ道は、妥当かなと思います。自分たちの力だけで生きようと、突っ張ることも大事だけど、疲れてしまったら、頼ることも大事。


結構おかしいのは、子猫たちが翼を持っていることに腹を立てている野鳥たちの会話。不公平だ、世の中間違っている、我慢できないなどなど。言い分はもっともなのですが。


S.D.シンドラーの挿絵が、可愛いというより、結構リアル寄りな猫なのが、かえって良いです。もちろん、翼の生えた猫なんていないわけですが。もちろん、春樹さんの自然な訳もグッド。


難点は、文庫本だとやや読みにくいことです。絵本なので、紙も普通より厚みのある良い紙を使っているため、読むために開き続けているのに、普通の文庫本より手の力を使います。そういう意味で、単行本の方がお勧めです。ただし単行本の方は絶版なので、古本しかありませんが。


↑もっと安い古本も、探せばあると思います。


『ゲド戦記』を書いたル・グウィンの別の作品を読みたい方、村上春樹のファンの方、そして猫好きの方にお勧めです。


見出し画像には、「みんなのフォトギャラリー」から、可愛い猫ちゃんのイラストをお借りいたしました。



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