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主人公は中二病の子猫~『素晴らしいアレキサンダーと、空飛び猫たち』(アーシュラ・K・ル・グウィン著、村上春樹訳)~

「空飛び猫」シリーズ第3弾です。

↑文庫版


今作では空飛び猫五きょうだいは脇役で、主人公は普通の子猫アレキサンダーです。

「普通の」といっても、物語の始まりの時点でやけに自信たっぷりのアレキサンダーは、ある意味普通ではありません。でもいわゆる中二病と思えば、普通かな? 世間の厳しさに触れて、自信を喪失するところも、中二病とも言えます。


でもアレキサンダーは、やはり「素晴らしい」猫です。自分を助けてくれた空飛び猫の末っ子のジェーンに、素敵な恩返しをするのですから。


心に残ったのは、春樹さんの「訳注」の一部。

猫はこのように「ちょっと具合が悪いな」「そんな話は今、聞きたくないな」というようなときに、べつのことに集中しているふりをします。僕はそれを「猫化」と名付けていて、家庭内でも、仕事関係でも、ときどき実行したりします。これは人間に関してもなかなか役に立ちますので、みなさんもいちど試してみてください。

p.53~54

言われるまでもなく、これって多かれ少なかれ多くの人がやることな気がします。でもやりすぎると、やはり問題を引き起こすんですよね。人は猫ではないので。


シリーズ第4弾も、近いうちに読もうと思います。


見出し画像には、「みんなのフォトギャラリー」からアレキサンダー似の猫ちゃんの写真をお借りしました。




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