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ダンゴムシ
2021年9月16日 19:24
かつおぶしをくわえた猫は、騒々しい町並みの影を縫うように駆けていった。目指すは海である。「・・・ありがとうな、猫さん」かつおぶしは一言そういったきり、家を飛び出してからしゃべらなくなった。しかし、猫はそんなかつおぶしに気をつかえるほど、心の余裕はなくなっていた。なぜなら、かつおぶしをかじりながら走るということが想像以上にきついことだということを、猫は数分の間でひしひしと感じていたから
2021年9月15日 22:31
「当然のことだが、わたしを削っていくと、段々とすり減りへっていくのだよ」そうかつおぶしが言った。「芳しい香りと共に、わたしはだんだんと細くなっていくんだ」「かつおぶしさん、どうかしたんですか?」彼の隣に座っていた猫が尋ねた。「なんだか、声が弱気になっているようだけど?」「猫のあんたも、わたしみたいに細くなっていけばわかるさね。わたしみたいに寿命を可視化できるようになったら、猫でも犬