第四の叫び-嘘つき-

中学生になり、僕はいくつかの「生きがい」を見つけた。

そのうちの一つが音楽である。
(これはおそろく他の多くの中学生と同じだろう)

でも、もらっていたお小遣いではとてもCDを買うことができず、その代わりに親付き添いのもと、親名義でCDをレンタルすることをした。

親の付き添い行くのは抵抗があったが、好きなCDを聞けることの喜びのほうが勝っていた。

ある日のこと。

いつも以上に、僕は借りたいCDがなかなか見つからず(何枚以内、と制限をかけられていたこともあり)、時間がかかってしまった。

僕は嫌な予感がしたので、母にお願いをした。

「お父さんには、○○(←僕の名前)が遅かったとは言わないでね」
と。

念のため、

「僕のせいを強調したら、しつこく嫌味を言われるから、お願い」

と、丁寧にお願いを付け加えた。

母は、

「うん、わかった」

と二つ返事で答えてくれた。

家に帰った。

母は父に向って、開口一番こういった。

「○○が遅いのよ・・・」

びっくりした。

あれだけ念を押していたのに。
約束したのに。
責められることがわかっていたから、そのことを言わないでくれっていったのに・・・

案の定、父は、

「そうだろう。どうせしょーもないやつでもレンタルしてきたんだろう!」

・・・僕は傷ついた。

父がそんな嫌な言い方をするのは目に見えている。
僕のほうがよっぽどわかっている。

なのに、なぜ。

-なんであれだけ誓った約束を破るの?-

嘘つき。
嘘つき。
嘘つき。

「嘘をついてはいけません」
「約束は守りなさい」

口うるさく言ってきた当人たちが、いつも裏切っている。

信用できない。

大人ではなく、親というものが。


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