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【同性愛】 また、ひっそりと失恋した話


同性に恋した場合のあるある、
それは「ひっそりと失恋を繰り返すこと」だと
個人的に思います。



高校生のとき、片想いで終わった話はこちらから


今回は、社会人になってからの実際の話を書いてみようと思います。


数年越しに(一方的に)失恋した話

 私が「好き」という気持ちを抱いていた相手は、会社の同期。
同期が何十人といるなかで、入社後の研修初日の自己紹介から、なにかと互いに共通点が多いのが印象的でした。

共通点が多いと言うことは、無意識的であれ、必然であれ、今まで生きてきたなかで同じような選択を取る傾向にあるということ。ましてや、こんなに数え切れないほどの職業や企業があるなかで、同じ会社を選んで入社してくるだなんて、どこか互いにリンクした価値観があるからこそ、出会ったんだろうなぁ、なんて当時はぼんやりと考えていました。


その子とは、研修ではあまり話す機会がなかったけれど、研修後の部署配属が同じになったり、同じプロジェクトのメンバーになったりして、話す機会はどんどんと増えていきました。

話していて楽しいし、お互いにふざけて笑うことも多い。
ふと話題に上がった話でも「それ、知ってる!」ということが多かったり、趣向が似ていたりなにかと共感が多く、それでいて全く違う部分も多くあるから刺激がある。

似ているところも、全く違うところも尊敬し合える、そんな感じでした。

仕事中にはあまり話せないから、せめて通勤路で一緒にならないかと、密かにその子の姿を探すのが日々の楽しみで。その子の後ろ姿を見つけたときは、グレーな鉛色の空の下で、カラフルな傘を見つけたようなそんなトキメキがありました。




 私自身は社会人になってから上京したこともあり、新入社員として毎日がとても不安な日々で。ずっと気を張っていて、ストレスの発散方法も見つけられず、不安定な心。会社から帰ったのも束の間、もう数時間後には迫り来る朝に、体力的にも精神的にも参っていた部分が大いにありました。

そんなとき、思い切ってその子に弱い胸の内をありのままに語ってみると、「実は私も同じようなことを考えていた!」と、まるで二人で手を取り合うように共感の嵐が始まって。

それからというものの、会社で毎日顔を合わせるのに、平日も週末も関係なく、ほぼ毎日LINEでやりとりをするように。それこそ、おはようからおやすみまで四六時中LINEでやりとりをしていました。お互い18時の定時で上がれるときは、会社の近くで待ち合わせて二人で一緒に駅まで帰るようになったり、さっきまで会社で会っていたのに、帰宅後には電話で今日あったことや些細なことまで全てお互いに話すようになったりしていました。


私がどんな話をしても、どんなに弱音をこぼしてみても、どんな理想を語っても、ちゃんと受け入れて、その上で応援してくれて、そして最後にはいつも勇気づけてくれる。私自身もその子の考え方や話すこと、姿勢が大好きで尊敬していました。


その子の全てに心救われていた私が、「好き」という気持ちを抱くのは時間の問題で。さらに、その気持ちに拍車をかけたのは、その子が私に対してとても好意的だった(と思うけど、もしかしたら自意識過剰だったのかも)から。


私が外回りで会社にいない日には「いなくて寂しかった〜」とLINEをくれたり、仕事が終わる頃に「今日このあと空いてる?」とほぼ毎日のようにお茶をしたりご飯を食べたり散歩をしたり。仕事が休みの週末にも「○○に行ってみない?」と遊びの誘いがくる。


仕事が終わるのが遅かったときは、どちらかの家でご飯を食べてから帰ったり、泊まってからまた一緒に仕事に行ったりと、本当に仲が良くて、少しでも多くの時間を出来るだけ一緒に過ごしていたいと思う、そんな関係でした。



これはもしかして、「好き」という気持ちを打ち明けてみても、拒絶されることはないのでは……? と期待しながら伺いながら、相手も自分と同じ気持ちであってほしいと願いつつも、同じ職場だからこそ、もしも拒絶されてしまったときに逃げ場がない現実にいつも引き戻されて。


それでも、いっそのこと気がついてくれたら……という微かな願いも込めつつ、自分でも恥ずかしくなるほど、明らかに「好き」という意味を込めた思い切った発言を何度もして、その都度その子の反応を伺っていました。



ただ、拒む感じではないけれど、受け入れる感じでもない。


また、私は2人きりで会いたいと思っていて、その子もきっと同じ気持ちだろうと思っていた遊びの予定などでも、他の子を呼んだりすることから、これはたぶん私と同じ気持ちではないんだろうな、ということを察していた部分があって。



だから、私は密かに「好き」という気持ちを抱きながら、表面上ではただの仲良しな同期という関係性を保つことを選びました。それでも会社に行けば毎日ほぼ顔は見れるし、ランチ時間や終業後には会って話せるから。


ただ、そんなふうに一見割り切れたように思えても、やっぱり当たり前だけれど、私はその子を最優先にして少しでも多くの時間を一緒にいたいと願う一方で、その子からしたら私は他の同期や友だちと同じ位置づけ。他の同期よりもちょっとだけ仲が良いといったぐらいで、それ以上でもそれ以下でもない。私は毎週末でもその子と会いたい一緒に時間を過ごしたいと思う一方で、相手は他の同期や友だちとの予定を優先させることも多い。

相手の反応や言動でそのことを実感する度に、沈んでしまう私の心。


ときには「結婚」や「子ども」「社内の未婚男性」といった話題を、私以外の同期と熱心に話している場面に遭遇して「あぁ、やっぱりそうだよね、私だけだよね」と一人で落ち込んで。


あぁいった話題が出たとき、ポツンと心に穴が開くような感覚はしんどい。



 その後もその子とは、休日には日用品を一緒に買いに行ったり、お互いにご飯を作って食べたり、二人だけでやり取りする社内の書類には励ましメモを必ず添えたり……と、まるで学生のように、小さいけれど、少しでも会社でのしんどい日々が楽しい思い出になるように、お互いに支え合っていました。

私が仕事で早朝に起きなければならないときには、必ずモーニングコールをしてくれたり、外回りで終電近くに帰った後にも電話で話を聞いてくれたり。


交通系ICカードの履歴も、遡ればその子と会うために行った駅の名前ばかり。


でもそんな日々から少し時間が経って、ついに見てしまった、その子の右手薬指に輝くシンプルな指輪と、知ってしまった相手男性の存在。

「あぁ……」

と思わず目を瞑りたくなる感情。


こうしてまた私は、何度目かすら分からない、心に密かに灯していた「好き」という灯火に対して自分で息を吹きかけて消しました。


いざ目の前にすると
「おめでとう」としか言えなかった。


色々と説明をしなくていい、理解しやすい幸せを。
みんなから見て、分かりやすい幸せを。
安定した幸せを、どうか掴んで、お幸せに。


という気持ちでした。それは本当にそう。
だってとても素敵な人だから、幸せになってほしい。





いままでに、同性の子から「あなたが、男性だったら良かったのに」と言われたことが何度かあって。こういうとき、いつもその一言を思い出してしまう。

あなたが相手男性に出会ったタイミングは、私と出会ったよりもずっと後だった。出会う時期に早いも遅いもないけれど、もしも、私たちが "普通" の男女だったら、いつも恋愛を意識してもらえて、「好き」という気持ちを込めた私の言動も、もっと真剣に捉えてもらえたのかな。


同じ職場で、同じ部署の、さらには同期という立場で、いやでも毎日顔を合わせなければならない小さなコミュニティで、もしも嫌悪されたら、と考えたら何も行動できなかった。

仮に私が思いを打ち明けても、たぶん、あなたは嫌悪しなかったと思う。
でも、噂話が好きな社内の人たちから、私のせいで、あなたまでもが何かを言われてしまったらと考えたら、思いを打ち明けらるのも迷惑になってしまうんじゃないかと思って、何も打ち明けられなかった。


私がもしも男性だったら、なんてことも頭によぎってしまうけれど、私は女性として生まれて、女性として貴方に出会って、それでいて女性のあなたが好きだったから仕方ないよね、と思います。


青いまま枯れていく
あなたを好きなままで消えていく
私みたいと手に取って
奥にあった想いと一緒に握りつぶしたの
大丈夫 大丈夫

back number『ハッピーエンド』歌詞から一部引用


勇気を出して想いを伝えたとしても、伝えないと決意して傍にいる選択をしたとしても、もしかしたら、どちらでも結末は一緒だったのかも知れません。


私は一体、どうしたかったんだろう。どうすれば良かったんだろう。どうすれば可能になっただったのだろう。

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