滋賀高島のホタル
高島の水先人
夏の蒸しっとした朝9:30曇天、街中に流れる綺麗な水路の脇に車を停めた。
ここは滋賀高島の針江地区。
Tさんが企画した「高島サーキュラー修学旅行」に参加していた。針江の川端(湧水を日常生活に利用する仕組み)の見学や新しい地元の先端農業の見学などをした。
これはその日の思考日記である。
現地コーディネーターを務めた一人が梨花さん(仮名)だった。
梨花さんは針江のある新旭町から少し南の地域出身で地元のまちづくりに関わる珍しい方だ。
ここ高島のまちづくりは容易ではない。何せ5町1村が合併したとても広い地域で、面白い取り組みは市内にあるものの全体として繋がってこない。
結果、忖度なく言ってしまうと、地味な滋賀の地味な田舎という印象に成り下がってしまう。
そんな状況で梨花さんは、高島全体をめぐることができるまちのもう一つの案内所をこの新旭町につくろうとしている。
この新しいまちの拠点構想にはいくつもの仕掛けがあるが、「自分でつくる旅のしおり&地図」は面白い。
高島全体の主な観光地が掲載されているが余白が大きく、自分達でルートを決め地図を埋めていく。最後に白紙の表紙に自らの手でシルクスクリーン印刷を施し、旅の思い出を仕上げる。
移動中の車の中で、梨花さんは新しいまちづくりの構想についてこんなことを言っていた。
たくさんの意味を感じる素敵な言葉で印象に残っている。
ものごとは中庸な意見や人が多いにも関わらず、極端な意見や人の方が表出しやすかったりする今の世の中だ。
梨花さんの地に足のついたよりリアルな視点が言葉の節々から伝わってくるような気がした。
ホタル
ホタルには点滅のリズムが揃う同期現象が観測される。
この同期現象は複雑で解明されいない部分が多々あるが、以下の特徴がある。
梨花さんの話を聞いて、そして梨花さんの存在を考えて、このホタルの話と妙にシンクロしたのだ。
梨花さんは目立つ光ではないが、少し遠くを見るホタルなのではないかと。そして高島というまちに貢献していくのではないかと。
一つ一つは小さな光。ふつうに目立つことのない一つ一つの光の集まりに地域や人々の名前をつけるならば、そこにまた異なった見方ができるかもしれない。
地方の明かりは都市の明るさにかき消されてしまうかもしれない。
けれど、梨花さんのようなちょっと遠くを見ている光があることで、綺麗にシンクロする大きな光にできるかも知れない。
地域の光が少しでも遠くに届くといいな。
ホタルといえばこの針江のある新旭の印象だ、と梨花さんは言っていた。
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