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高齢者向け施設・住まいにおけるサービス提供の在り方 (2)囲い込み等への対応 〜介護分野の今後の施策の方向性④〜

「我が国の財政運営の進むべき方向」(財政制度等審議会)

令和6年5月21日付けで財政制度等審議会・財政制度分科会が取りまとめた、「我が国の財政運営の進むべき方向」(建議)の中から、
今後の介護分野の施策の方向性についての情報をご紹介していきます。

この記事は、「我が国の財政運営の進むべき方向」から要点を抽出し、
主に箇条書きで要点を記載したものです。
記事の中で解説は行っていません。

今回のテーマ

今回は、建議の「3 介護」の
高齢者向け施設・住まいにおけるサービス提供の在り方」の中の
利用者に対する囲い込み等への対応」になります。


1  介護給付の適正化に向けての基本方針

(1)  介護給付の適正化に向けての基本方針

中長期的に増大する介護需要に応えられる体制を構築していく

(2)  現状の問題点

  • 85 歳以上人口の増加(1人当たり介護給付費が急増する年代)

  • 現役世代(支え手)の減少

(3)  介護給付の適正化に向けた3つの視点

  • 保険給付の効率的な提供 ← 今回のテーマはこの中の1つです。

  • 保険給付範囲の在り方の見直し

  • 高齢化・人口減少下での負担の公平化


高齢者向け施設・住まいにおけるサービス提供の在り方

(1)  利用者に対する囲い込み等への対応

1)介護サービスの提供状況

有料老人ホームやサ高住の提供事業者の介護サービスの提供形態には
2通りある。

  • 包括報酬方式・・・自ら介護サービスを提供する

  • 出来高払い方式・・・関連法人が外付けで介護サービスを提供する

以下、この2つの表現を用いて記載していきます。

2)提供方法ごとの運営状況

2つの提供方法では、運営状況に下の傾向がある。

  • 包括報酬方式・・・約7割の施設は併設・隣接の介護事業所がない

  • 出来高払い方式・・・約8割を超える施設で介護事業所が併設・隣接している。その運営主体の多くは「関連法人」となっている


財政制度等審議会・財政制度分科会「我が国の財政運営の進むべき方向」参考資料より

3)提供方法による収益の状況

2つの提供方式を比較すると、
包括報酬方式よりも出来高払い方式(外付けでの介護サービスの提供)の方が
より多くの報酬を得ることが可能
となっている。

4)提供方法の違いによる現状の問題点

有料老人ホームやサ高住での介護サービスの
2つの提供方法の違いによる現状の問題点は下になります。

出来高払い(外付けで介護サービスを提供する)方式について

  • 包括報酬方式より、出来高払い方式の方が家賃等の利用者負担額が安い傾向にある

  • 出来高払い方式では、安い入居者負担で利用者を囲い込み、関連法人による外付けサービスを活用した介護報酬で利益を上げるビジネスモデルが成立している可能性がある。


5)利用者に対する囲い込み等への対応への提言

出来高払い方式の介護報酬の仕組みの見直しを図るべき

区分支給限度基準額→特定施設入居者生活介護(一般型)の報酬を利用上限へ

有料老人ホームやサ高住における利用者の囲い込みの問題に対しては、
訪問介護の同一建物減算といった個別の対応策にとどまらず、
外付けで介護サービスを活用する場合(出来高払い方式)も、
区分支給限度基準額ではなく、特定施設入居者生活介護(一般型)の報酬を利用上限とする形で介護報酬の仕組みを見直すべきである。

財政制度等審議会・財政制度分科会「我が国の財政運営の進むべき方向」より




3  事務所主催のセミナーの予定

(1)noteのマガジン

関連記事をマガジンにしてまとめています。

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「我が国の財政運営の進むべき方向」の内容をさらに掘り下げて、
解説をしていく予定です。
顧問先様への個別のご案内と、事務所ホームページのお知らせからのご案内を予定しています。


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