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失恋のあと ※詩

何回も何十回も身体に染み付いた記憶が読み戻ってくることに慣れてきた頃、
私は失恋した。

恋していた頃のあの時の気持ちはもう思い出せない。美化さえ出来ない。

愛し合っていたのに、しだいに価値観のズレでお互い傷つけて、そして何も会話が生まれなくなって
私たちは他人よりもよそよそしくなったよね。

パートナーならなんでも話せて、なんでも分かってくれると思った。
価値観の違いは話し合いで乗り越えて、
人生の苦慮(くりょ)も分かちあって、
多分それが人生の伴侶(はんりょ)のかたちなんだろうと勝手に思ってたよ。
でもあなたは私の理想じゃなかった。

終わらせるのは一瞬で、でも踏ん切りがつかなかった。独りにまた戻るのが怖かった。
それでもこの重苦しい空気のまま、人生を歩みたくなかった。

でもあなたを捨てた時、最高に軽くなってしまった。
あなたの私物も思い出も何もかも。

また来世で付き合うことになったとしても、こうなる運命だったのかもしれない。

またもう一度誰かと恋をする?
またもう一度その人に期待を裏切られると思ってしまうのかな。
他人は自分の思い通りにいかないと知りつつも、そしてまた都合よくその事実を忘れて。

[完]

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