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[ノンフィクション掌編小説]二度寝攻防記

昨日というか、今朝。早朝まで昨晩は起きていた。

記事を仕上げて投稿して、日記を書いて……、寝たのは6時近かったかもしれない。

朝、7時に目覚ましが鳴って起きた。2時間未満の睡眠だけど、ここまではいい。

今日はゴミ出し日だからだ。

起きようとして布団をめくると、刺すような空気の冷たさが優しく体をなでる。一瞬にして体温が奪われてしまった。反射的に布団をかぶって体を縮こませる。

寒い。

寒いときのお布団の魔力は凄まじい。人肌の温もりをもって物理的にも精神的にもすべてを受け入れて優しく包んでくれる。こんなものに抗えるすべての人が立派だ。抗っていた昨日までの自分もすごい。

ちらりとゴミ箱をいちべつして、まだ捨てるほどゴミが無いからいいかと言い訳を作った。

寝不足で疲れているときというのは意志の力がまったく働かない。そんな体調も手伝って言い訳を後押ししたのだろう。

私はお布団に白旗をあげて二度寝することに決めた。

そう、寝不足と寒さとお布団の暖かさに起きるのを諦めた。

なのにどうしてだろう。

ガタガタ震えながら体が温まるのを待って、ようやく寝れるとまどろんだ途端にまた目覚ましが鳴った。

8時のアラームだ。最近はいつも9時に起きていたのを1時間早めていた。

なんて失策だろう。

せっかく寒さと眠気に決別するための二度寝が訪れるところだったのに、昨日までの自分にこうも邪魔されるとは思ってもいなかった。

ついさっき昨日までの自分をすごいと褒めた気がするが、あれはきっと気の迷いだ。私の睡眠をこんなに邪魔してくる相手を褒めるなどもってのほかではないか。

睡眠は尊いものだ。眠るときは誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなければダメなんだ。

それを邪魔してくる相手なら、たとえ昨日までの自分であっても敵だろう。そうに違いない。

人生において最も大事なのは自分で自分の行動を決めることだ。やるかやらないか、いつも目の前にはこの2択しかない。

大事なのはやりたいかやりたくないかだ。

そう、今の私には睡眠が足りない。二度寝をしたいのだ。

絶対に二度寝すると決意してアラームを止めた。もうこの後に設定してあるアラームはない。健やかなる眠りにどっぷりと浸れるハズだ。

覚醒してしまった意識に無理矢理蓋をした。

しかしまどろみすらやってくる前に、ぴこんぴこんとスマホの通知が耳を打つ。

バイデンが、トランプがとアメリカ大統領選挙の速報を伝える通知だ。

そういえば今日は開票作業をしているんだったか。アメリカのみならず世界中が注目するニュースだ。ニュースサイトも速報をバンバン打つだろう。

マナーモードでも振動で起きる。サイレントにして電話がかかってきたのに気付けなくするわけにもいかない。

詰んだ。

こうして私は二度寝に失敗したのだった。

眠い。

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