立山奇譚(短編小説)
世界中で新型コロナが流行って、みんなが巣ごもり生活をしていた頃の話だ。もちろん、当時の流行語でもあった三密を避けて、室内でもマスクをしての話だが、いつもの仲間が集まって、「デカメロン」ごっこをしたことがある。「デカメロン」というのは14世紀のイタリアの作家、ジョヴァンニ・ボッカッチョの小説で、当時、フィレンツェでペストが蔓延した時に、上流階級の人々が森の館に避難して、毎日交代で面白い話を披露するという物語。以下に紹介するのは、その時の仲間の一人だった、紀平歩美さんが披露した