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ひきこもりの日々に

世間では、「緊急事態宣言」とか「都市封鎖」とかいう、おどろおどろしい言葉が飛び交っていて、まさに開戦直前の日本はこうだったんじゃないかと思わせます。それもこれも、現在、世界を覆い尽くしている、恐ろしい新型コロナウイルスのせいです。今この時も、ウイルスとの戦いの最前線で奮闘している医療関係者の皆様には改めて感謝と激励のエールを送りたいと思います。

後方支援をする私たち一般市民としては、一斉に「ひきこもる」、つまり自宅待機をすることが一番なんですが、経済との兼ね合いもあって、政治家にはなかなか難しい判断を求められます。私のように、もう10年近くも退職老人をしている人間には、「ひきこもり」が日常なので、外出禁止になっても一向に平気ですが、働き盛りの方々や子供、若い人たちにとっては大変でしょう。

話が突然変わります。私は若い頃にボッカッチヨの「デカメロン」をエロ小説として読んだんですが、(「千夜一夜物語」と同じですね。ちなみに、「デカメロン」は「十日物語」という意味です。)最近、この「デカメロン」がカミュの「ペスト」と並んで読まれているそうです。というのも、この小説は、14世紀にフィレンツエでペストが流行して、市民の三分の一とか半数とかが死んだ時、郊外に逃れた男女10人が10日間、暇つぶしと疫病の恐怖を忘れるために、互いに語り合った物語をまとめたという説話集だからです。

YouTubeのような映像も悪くありませんが、互いに物語しあって暗い夜を共に過ごすというのは良いですね。もしそんな相手がいなくても、こんな心の鬱屈する暗い時期には、好きな小説やエッセーを読んだり、知人や好ましい書き手のネット投稿を読んだりして過ごすのはとても良いことだと思います。

なんだか、言い訳みたいな変な前書きになってしまいましたね。ここで言いたかったのは、ただ、昨年、素人作家である私が書いて、一部の友人にだけ公開した、短編歴史小説「伝蔵」を、これからnoteに連載しますという、単なる告知のはずだったんですが、気恥ずかしさのせいでしょうか、長々と書いてしまいました。最後に、「伝蔵」の紹介を簡単にしておきましょう。これは、江戸時代の朝鮮通信使を襲ったある事件を描いた歴史小説です。横書きの小説というと水村美苗さんの傑作がありますが、あれは横書きにする必然があった。歴史時代小説を横書きで読むのは違和感があると思います。面白くなければ、作者の私のせいではなく、横書きなのが悪いと思ってください。(違うか。)なお、短編ではありますが、一度に掲載するのはやはり無理なので、何回かに分けて連載します。このコロナ騒ぎがいつまで続くかわかりませんが、退屈しのぎと気晴らしに、お楽しみください。

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