見出し画像

イスラムとビーチリゾート〜トレンガヌの事件から外国人の振る舞いを考える

先日、トレンガヌ(マレー半島東海岸)で、「外国人が半裸でバイクに乗っていた」ことが話題に。州政府は「個人を特定して厳しく罰する」としており、かなり厳しい反応です。

”クアラ・トレンガヌの市街地で、外国人観光客と思われる二人組が半裸の状態でバイクに乗る姿がカメラに収められました。

Sinar Harian(注:マレー語ニュースサイト)の報道によると、男性ライダーは短パン、後ろに乗っている女性は下着しか身に着けていないようです。通行人が撮影した写真がソーシャルメディアで拡散されています。

彼らの服装は、ラマダン月間に断食を行うイスラム教徒への配慮を欠いたものである、との意見が多く聞かれました。

トレンガヌ州の観光・文化・デジタル技術担当のAriffin Deraman
氏は「当局はこの問題を深刻に受け止めており、このような事件防止のために厳しい措置を取る予定である」と述べました。

また、Dakwah and Syariah Implementation Committee部門(注:イスラム教シャリア法実行委員会)が、今回が初めてか、前にもあったのか、調査する予定であると付け加えました。”

world of buzz

いまはイスラム教の断食期間、ラマダン中なんですよね。「水さえ口にできない禁欲状態」なイスラム教徒の前で、半裸でウロウロしてした外国人という図式です。

トレンガヌってどこ?

トレンガヌ州はマレー半島の東側。マレーシア屈指の美しい海とレダン島・プルヘンティアン島などの離島群が人気で、3月〜11月のシーズンには国内外から多くの観光客が訪れます。

事件が起きたクアラ・トレンガヌは州都で、離島への船が出る出港地。

wikipedia

だから下着というより水着姿、とも考えられますね。東海岸はちょうどシーズンに入りたて、4月1日からマレーシア国境が解放された直後でもあります。

マレー系95%以上の州

多民族のマレーシアでは「インド寺院と中華寺院が隣り同士、その向かいにモスクがある」といった具合で、各人種・宗教がモザイクのように入り混じり、けれど干渉し合わず暮らしています。

ところが、今回事件があったトレンガヌは「マレー系住民が95%以上」という単一民族に近い州で、イスラム色がかなり強いエリアです。

少し古いデータですが、トレンガヌ州の人口調査から。イスラム教が96.9%と圧倒的です。

2010年マレーシア政府発表データ

宗教上、女性は肌や髪の毛を覆う習慣があり、水着姿で街をウロウロするのは御法度なワケです。しかもラマダン中というタイミングの悪さです。

このカップルが無知だったのか?これくらいは大丈夫とタカをくくったのか?真相はわかりません。

でも訪れる国の文化をリサーチするのは基本中の基本じゃないかなぁ、と私は思います。特に宗教絡みのことは、下手すると国際問題にも発展しかねませんから。

マレーシア人の意外な反応も

上記記事へのコメント欄には、マレーシア人から賛否両論、意外な反応、政府やイスラムへの批判も一部ありました。宗教と観光収入、地元民もジレンマを抱えているのかもしれません。

・地元の文化を尊重するのは常識でしょ?
・トレンガヌにはもっと「リラックス」が必要
・トレンガヌはイスラムの伝統ある州だから、欧米の文化は許されない
・観光客は「カスタマー」で収入を得たかったら我慢すべき
・彼ら(欧米人)はどこでも我が物顔、リスペクトが無い
・彼らはムスリムじゃないんだから、放っておけば?
・調査して、その後ハラスメントするんでしょ?
・下着姿はダメなのに、児童婚はOKなんだ?

お隣インドネシアの水着NGな島

実はお隣インドネシアにも、似た様な場所があります。そこではビーチにこんなバナーが掲げられていました。

TΟ TOURIST  PLEASE DRESS PROPERLY IN PUBLIC AREA THANK YOU

旅行者の皆さんへ
公共エリアではきちんと服を着てください
ありがとうございます

きっと、水着姿のままでウロウロする外国人が目に余ったのでしょう。美しい海が売り物のこの島、観光は大事な収入源だけれど、自分たちの暮らしを荒らされたくないという断固とした決意表明にもとれました。

実際、私たちが滞在したAirbnbでも、ホストから「保守的なムスリム住民が暮らす小さな村なので、肌の露出は控えてください」と言われました。

シュノーケルへ出かける際も、ちょこっと近所へ買い物に行くにも、ひざ下の生足が出ていると「サロン(腰巻)巻いてね〜」と注意され、到着時の空港内でもミニワンピを着用していた女性が同じくサロンを促されてました。

↓かなり前ですが、こちらのブログに書いてます


それぞれの立場からの別視点

けれど、この手の話題が上がるたび、南インドの旅で「不自由」を感じた、12歳の時の娘の発言を思い出します。

・理解はできるけど、その国の価値観を旅行者へ押し付けるのは違くない?
・互いの文化を尊重し合うのなら、非ムスリムが足出すのは自由でしょ?
・逆にムスリムが欧米のビーチへ行ったら、ビキニで泳ぐの?

可愛い子には「不自由な旅」を〜子連れ南インド(Part③)

今も同じ考えか分からないけど「それぞれの立場からの、別視点」を、当時の娘が提示してくれたんですよね。

確かに一理あるし、どちらも正解なんだろうなぁ…と。

この時の出来事は、私がコーチング・心理学へと導かれた原点にもなっています。


そんなわけで、トレンガヌの事件から、ムスリムとビーチリゾートについて考察してみました。みなさんは、どう考えますか?

南インドの旅は「旅x子育て」マガジン内で無料で読めます。Part①〜③まであるので、よかったらどうぞ↓



[BEYOND MALAYSIAのサポート]

マレーシア🇲🇾ペナンのインター校に入学する際のサポート全般を行っています。

「オンライン相談」では、各校が求める英語力・カリキュラムや学習内容・表立っては書きづらい裏事情や留学に向けてのマインドセットなど、詳しくお伝えしています。まずはメールでご希望をお伺いし、お答えできるご相談内容の場合のみ有料相談へ進んでいただく形です。ご利用後1ヶ月間は、メールでのフォローアップ付きです。


「ペナン移住トータルサポート」では、受験から入学・そしてペナン生活のセットアップまでをワンストップでお手伝いしています。

🏡住まいの情報も詳しくご提供中です


🌎過去記事はこちらの目次サイトからどうぞ

 
📖ワンコインの定期購読マガジン
多様性のマレーシア🇲🇾ペナン島から「マルチリンガル教育」「グローバル視点の生き方」「子どもの好奇心・主体性・思考力」をキーワードにお届けするマガジン。ペナン在住10年の移住留学コンサル・海外子育てコーチとして、子育てTipsやマレーシア生活での気づきをシェアしています。

[MCSマザーズコーチングスクール]

MCSは、子どもの将来の土台となる重要な4つの要素「自分で考える力」「自己肯定感」「折れない心」「思いやりの気持ち」を育てることを目的とした、お母さん(お父さん)のためのコミュニケーションプログラムです。
良好な親子関係を築きたい方のために、MCS認定講師資格を持つ長塚かおりが講座を開講しています。お問合せは▶︎こちらからどうぞ

ここから先は

0字
このマガジンは週1回程度の記事を更新予定です。まとめて読むならマガジン購入がお得です。

多様性のマレーシア🇲🇾ペナン島から「マルチリンガル教育」「グローバル視点の生き方」「子どもの好奇心・主体性・思考力」をキーワードにお届けする…

読んで下さってありがとうございます。スキ♡や、シェア、サポートなどにいつも励まされています!