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LGBTで言うなら

我々は戸籍上婚姻関係にある夫婦です。
もちろん愛も健在だし、日に日に愛が深まっていくことを感じます。
しかし我々はジャンルで言えばLGBT側に属しています。

学のこと

戸籍上は女性名ですが、虐待父から名付けられたその名前を聞くたびに嫌な気持ちになるので通称名の学で生活しています。
年齢30歳。
身長166cm。
戸籍上女性。
XX染色体で乳腺が発達しており子宮と卵巣と膣があります。
しかし月経前症候群の治療として薬で月経を止めています。

サピオロマンティックのパンセクシュアルですが性欲に対する嫌悪とトラウマが強いので性行為が嫌いです。
最近は性的なコンテンツもほとんどダメになりました。
BLや百合が好きですがエロはNG。

性自認は流動し続けてますが少なくとも自身を女性だとは思っていません。
Xジェンダーなのかトランスジェンダーなのかはなんとも言えないところ。
ジェンダークィアとかノンバイナリーとか色んな名称あるけどよくわからん。

一人称は迷子です。
ベースは『私』ですが『僕』や『俺』に憧れがあり、しかし結局口から出てくるのは『ワイ』か『まなぶさん』です。
これには理由があり、中学生の頃性自認が女性ではないことに気付き『僕』と一人称を変えたところ母親から「女なのに僕は変だからやめなさい」と叱られそれがトラウマになってます。
マナくんは「好きに呼んでいいんだよ」と宥めてくれますがトラウマに引っ張られて上手くいかない。

ファッションはその日の気分で男装も女装もします。
小花柄のロングスカートが好きでレディースファッションならほぼそれですが、ジーパンにシャツみたいなオーソドックスな服装もします。
原宿系ファッションの女児服に憧れが強くて、けどサイズ的に自分では着れないので男児服を着ることもあります。
あえてクッソダサい小中学生男子コーディネートを好んでしてます。
エスニックファッションも好きなのでタイダイやサルエルも夏は身につけます。
昔から重ね着が大好きなので冬の方がファッションをより楽しめて好きです。

ここしばらくはマナくんのブラジャーをカップ外して着けてますが、ベースはナベシャツです。
今のカップ数はわかりませんが以前はGカップでした。
夏は谷間と胸の下に必ずあせもができるので嫌です。
パンツは男性用の前閉じタイプのボクサーパンツです。
月経を止めているので一年中コレ。
通気性が良くておへそまでカバーされるのでとても快適。

髪型はしばらく坊主でした。
今は伸びてきたのでちょっと伸ばそうかなと思ってます。
放っておくとアフロみたいになる天パなので時期を見て切ります。
成人式で振り袖を着たのでそのために伸ばさせられてましたがそれ以降はずっとショートです。
実家を出てから坊主にしましたが、自分の中では坊主が一番しっくりきて気に入ってます。

お化粧はしません。
かなり敏感肌で、敏感肌用の化粧品を使ってもお肌が荒れるので洗顔だけです。
一度葬儀屋に就職した時化粧を強制されて上司と化粧品買いに行きましたが一式揃えて3万超えで財布はカツカツ、夏場は汗でドロドロなのに汗を拭くこともできない、目や鼻が痒くても搔けない、そもそも敏感肌用なのに顔が真っ赤になって痒くなり、というところでバカバカしくなって仕事も化粧も辞めました。
学生時代演劇部で衣裳やメイクを担当していたのでドーランメイクはできるんですが日常用のお化粧はサッパリわかりません。
高校生の時友人に勧められて二重になる糊貼って登校したらめちゃめちゃバカにされました。二度とやらない。

夏になると迷うのはムダ毛を剃るか剃らないかというところ。
この体は女の割に毛深くて放っておいたらすね毛も腕毛も脇毛もかなり立派に育ちます。
一度前述の友人にすね毛を見せたら「男性ホルモン打ってるの?」と言われました。
男性的でワイルドでカッコいいと思う反面、女装する時に困ります。
夏は暑くて露出が増えるので毎年悩みます。

今までの人生で友人は女性が多かったです。
男性の友人からはことごとく犯されて関係が破綻したので今では男友達はいません。
男女の友情ってありえないんだなと身を持って知りました。

マナのこと

戸籍上男性ですが、それは1歳の頃女性から男性に変更されました。
その名残で戸籍名は女性名を無理矢理男性名にした、男性名としては一般的ではない名前です。
なので幼い頃から呼びやすくした『マナ』と呼ばれています。
年齢25歳。
身長156cm。
XY染色体で精巣は片方だけ機能してますが尿道の中に膣があります。
外性器も作られたものなので見た目には女性のクリトリスのようです。
射精はできますが精子はほとんど動かず、受精するための機能はありません。

そもそも彼は800g未満の超低体重児として29週で生まれ、出生後数ヶ月をNICUで過ごしました。
取り上げた産科の医師に女と診断され出生届は女性名の女の子として提出、受理されましたが、3ヶ月ほどした頃違和感を感じた別な医師が調べたところXY染色体であることが判明し、尿道下裂と鼠径ヘルニアのせいでパッと見わからなかったものの小さな精巣を発見し、両親に「女性ホルモンを投与して女として育てるか、男性器を作って男として育てるか」の選択を迫りました。
親は男性として育てることを選択し、かなり高度な手術を何度も受け小学校入学前までに男性としての体を整えられました。
その影響か小学校低学年の頃思春期早発症を発症し、極端に身長が伸びて体のあちこちにダメージを受けたため成長ホルモンを抑制するホルモン治療を行われました。
その結果高校を卒業した時点で身長が146cmでそれ以上伸びず、その後骨延長手術を受けて現在は156cmです。

性分化疾患当事者はシスジェンダーのヘテロセクシャルが多いと聞きますが、マナくんの性自認はXで性的指向はパンセクシュアルです。
人を男女で区別しておらず、好きになった相手が好き、と思っているのでそれが同性でも気にしません。
BLも百合も楽しめます。

幼い頃からかわいいものが好きで、お人形を気に入っていたそうです。
しかし小学校入学後女子からいじめられ、男子の友だちもできず、内向的な性格に輪をかけて母親から虐待を受け、ほとんど自分自身の心の中で遊んでいたそうです。
中学以降思春期特有の男子の下世話な話についていけず、女子の方が話しやすかったそうです。
4人元カノがいますが、全てネット恋愛で彼は一方的に振り回されていたそうです。

彼もまた性嫌悪があり、自身の性欲がとても煩わしく思っていたそうです。
10代の頃は人並みに性欲を感じたそうですが、それと同時に体がそのように反応してしまうことに強い嫌悪感を覚え、今でもそのリビドーを無くしたいと思っているそうです。
また、男性不妊であることが発覚していよいよ夫婦の営みをする必要性がなくなり、よほどのことがなければそれらは致しません。

以前は身も心も母親に支配され身に纏うものすら与えられたものでしたが、学と出会ってからはファッションに興味が湧き、彼もまた男装も女装もします。
背が低く丸っこい体型と丸っこい輪郭でマスクをしてれば女性に見えるので、去年は髪を伸ばしてフェミニンなファッションを楽しみました。
今年は髪を切ったのでマニッシュな雰囲気です。

前述の通り外性器の形が歪で、尿道の中に空間があるためそこに尿が溜まり排尿後に尿漏れしてしまいます。
その対策として女性用尿とりパッドを使い、パッドを固定するために女性物のショーツを履いています。
男性用尿とりパッドでは外性器を包めないからです。
ついでにショーツに着いてきたブラを去年は着用していました。
ブラを身に着けるとなんだかしっくり来たそうです。

脚のムダ毛がかなり濃いので去年はこまめに剃ってましたが今年は男性っぽさを出したいようなのでどうするかは未定です。
ただ、骨延長手術で伸ばしただけあり脚はスラッと長くて細く、カモシカのような美脚です。

髪型は大阪にいた頃は定期的に母親に散髪に連れて行かれ強制スポーツ刈りでした。
本人はその髪型をサッパリしたとは感じてもしっくり来たとは感じていなかったそうです。
宮城に来てからブリーチをかけてみたり、坊主にしてみたり、かなり伸ばしてみたりと色々やってみて、ロングヘアはしっくり来たと感じたそうです。
40cmほど伸ばしてポニーテールやハーフアップ、ツーサイドアップなどヘアアレンジも楽しみました。
学と違いマナくんはサラサラストレートで毛量も薄いのでアレンジしやすい髪質です。
今はバッサリ切ったけれど、また伸ばすそうです。

女性的な感性をしており男性特有のホモソーシャルな雰囲気が苦手で、友人は女性が多いです。
しかし虐待のトラウマから母と同世代の女性に苦手意識を感じています。
母親から「お父さんのようなダメな男になるな」と言われ、父親から「お母さんのような女とは結婚するな」と言われ、男でいることも女になることも恐怖を感じて育った結果無性、または中性を自認しています。

性的マイノリティと解離性障害

と、まぁ長々と書きましたが、結局は互いに解離性障害なので人格は老若男女いるし、人格ごとにセクシャリティも違うし、主人格に絞って言えばそうだけど他にも色んな感覚の子がいるので別に気にしていません。
男装してても女装してても普通にお出かけするし、その時のファッションに合わせて入るトイレも決めます。
なにより結婚してるので性的指向は特に関係ありません。身も蓋もないけど。
互いに世の中のイケメンや美人に鼻の下伸ばしても、生涯のパートナーであることは疑いようがないので日々愛し愛されながら生きてます。
夫婦円満の秘訣は『ほんの些細なことでも報連相を怠らないこと』『感謝の気持ちと愛情表現はこまめに言葉にすること』『スキンシップは照れずにやること』です。

余談ですが、以前仙台市でやってるLGBT理解促進の集いみたいな会に参加しましたが、我々は単純なトランスジェンダーとかじゃないので説明が大変だし理解も得られにくいしかえって孤独感が増えました……。
そして解離性同一性障害を診断されてる時点で性同一性障害の診断要項には当てはまらないので医師からの診断は降りません。
なので性別適合手術も受けられません。
けど我々の精神科主治医はそのことをわざわざ大学病院のジェンダー科の医師に確認取ってきてくれたらしいのでその気持ちが嬉しい……。

自分が自分らしく生活できるための生き方を模索中です。

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