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Deeper Learning San Diego 2023カンファレンスでハイテックハイへ!

この記事はこんな方向けに書いています:
・アメリカの探究学習やPBLがどうなっているのか知りたい
・サンディエゴのハイテックハイの雰囲気について知りたい
・アメリカの教育カンファレンスを追体験したい

ハーバード教育大学院で一年間生徒主体の学びについて研究しようと決め、Deeper Learningに関わるイベントには欠かさず参加するようにしてきた私ですが、今回ついに留学中一度は行ってみたかった、サンディエゴのハイテックハイに潜入することができました!

ハイテックハイとはサンディエゴにある、プロジェクト学習に特化したチャーター・スクールで、日本でもMost Likely to Succeedというドキュメンタリー映画の自主上映会が行われたことでご存知な教育関係者の方も多いのではないかと思います。

今回私が潜入することができたきっかけは、秋にボストンで行われたDeeper Learningカンファレンスの本丸がハイテックハイ主導で、ボストンでの主催をサポートしていたリンダ・ネイサン先生がワークショップを担当するとのことで共同ファシリーテーターとして参加させてもらうことができました。


↓ボストンのカンファレンスの様子はこちらから


結論からいうと、本丸サンディエゴでのカンファレンスは盛り上がり方も格別で、十年間の歴史を積み重ねるとこのようにコミュニティが広がるのだなと思った会でした。
特に思い出深かった三点について紹介していきたいと思います。


ハイテックハイの造りは学校ではない


初日から早速、ハイテックハイツアーに参加しました。
残念ながらカンファレンスの週はハイテックハイの学校自体はお休みになるので授業は見学できないのですが、このツアーでは現役の学生さんが大人向けに説明してくれます。
この一年間学校訪問をさせてもらう度に思いますが、アメリカで自主性を重じている校風の学校の生徒は、どこも本当に生き生きと自分の学校について語ってくれるのがとても印象的です。


あの有名な受付へ!
廊下を歩いてみて衝撃!
どこもかしこも生徒の作品が飾られています。
ドキュメンタリー映画で有名な巨大仕掛け時計まで。


ハイテックハイは現在16もの校舎があるのですが、元祖ハイテックハイに入ると、やはり私たちが知っている学校とは全然違うことが分かります。
それはなぜかというと、天井が異様に高い。そしてすべてガラス張り。
聞いてみるとこの建物は元々米軍の敷地で、天井が高いのは軍用車両などを管理していたからとのことでした。
ハイテックハイの周りには今でも軍の敷地が多く残っていて、サンディエゴ国際飛行場のすぐ隣でもあります。
既存の建物を活用することで今の形になったと思うのですが、良い意味で「学校」という枠組みを壊す構造になっているのだなと感じました。


比べて、私たちがワークショップで使っていた小学校の建物は、「学校」として建てたことを感じる構造でした。
特に色々な座る場所が用意されていることが、私にとっても心地よい空間だなと思わせてくれる要因だったように思います。


吹き抜けがあって、一階のスペースにはソファがたくさんあります。
廊下にこういう椅子があると便利ですよね。後ろは教室です。
階段の下のこのスペースもお気に入り。大人も座っていました。
クロージングがあったアリーナも二階はソファ席が用意されていました。


学んだことはすぐに実践していく驚異的なリンダ・ネイサン先生


サンディエゴのDeeper Learningカンファレンスは、ボストンより長く、三日間にかけて行われました。

一日目
午前:ハイテックハイ学生ツアー(任意参加)
午後:オープニング、ミニワークショップ
夕方:マリオットホテルでビュッフェ

二日目
朝食&一日ワークショップ

三日目
午前:朝食、ミニワークショップ、クロージング
お昼には解散

オープニングはアメリカらしくフェス。


十年もの歴史の積み重ねということで規模も大きく、芝生でのオープニングは開放的、そしてワークショップの数も無数!
ワークショップのファシリテーターも最近「子どもの誇りに灯をともす」が日本語に翻訳されたロン・バーガーさんやペンシルベニア教育大学院のザカリー・ハーマン教授など豪華で、オープニングにはハイテックハイ創立者のラリー・ローゼンストックもふらっと立ち寄られていました。

そして私は大体の教育者と知り合いなリンダ・ネイサン先生と一緒に「Co-Opting Classroom Constraints」というワークショップを担当させてもらいました。日本語に訳すと「教室の制約を逆手に取る」という感じでしょうか。
私がリンダ・ネイサン先生の授業でも行なった、チームビルディングのゲームからワークショップを始めます。
大人も何事も全力なのが、アメリカの教育者の特徴!


ゲームの中で、色々な役割や雰囲気によって結果が異なるか検証します。


そしてリンダ・ネイサン先生が素晴らしい教育者であることを表しているのが、新しいことの吸収と応用が本当に早いこと!
数週間前に受けた、変容ワークショップで実践したアクティビティを、早速今回のワークショップで試していました。
アクティビティの引き出しは持っていれば持っているだけ色々な経験値が溜まると思うので、私も恐れずに試したいと思った経験でした。



サンディエゴにはお花がたくさん咲いていたので、自分で摘んで捧げました。
最後は紙飛行機にメッセージを添えて、振り返りをしました。


↓リンダ・ネイサン先生のブログに、ワークショップの振り返りを掲載してもらいました!


日本人がいると嬉しいし、日本ももっと貢献できる


最後にボストンのときに比べて、とても嬉しかったこと!
それはサンディエゴでは日本人とお会いできたことです!!

Deeper Learningについては好きで学んでいますが、基本的にはアメリカの教育者とアメリカの教育制度について話し合っているので、「う〜ん、日本では少し違う気がする」と思うこともしばしば。
そんな中、今回は新渡戸文化小学校から先生が四名参加されていてお話することができ、夜の振り返り会にも混ぜていただきました。
皆さん本当に学び熱心で、こんな先生に学べるなんて幸せだ…!
似たような背景を分かち合える仲間がいることがすごく心強くて、このことだけでもカンファレンスに参加して良かったと思えました。


ワークショップでもご一緒できて嬉しかったです!


そしてもう一人、日本の学校に通ったことがあるハイテックハイの生徒さんから、ハイテックハイのプロジェクト学習がどう運営されているのかお話を伺うことができました。
高校生なのですが先生の視点を持っているような素晴らしい生徒さんで、気がついたら二時間ほど質問攻めにしていました…ずっと丁寧に答えていただいてありがとうございました。
カンファレンス一学びが多い会話だったのではないかと思うので、会話の内容を認知科学の授業のnoteとstand.fmに記録しました。
良かったらどちらもチェックしてみてください。



そして今回も思ったのが、日本の探究学習や色々な取り組みを、もっと世界にも知ってもらいたいなということです。
今、世界で良い教育の事例というと日本の名前はあまり挙がらず、主にフィンランドやシンガポールばかり。
そして日本が世界的に何で認知されているかというと、主に食べ物やアニメなのだなと教育大学院では感じました。

でもこの一年間Deeper Learningを研究していて感じたのは、Deeper Learningを導入するにあたってアメリカと日本で直面している問題には少し違いがあり、日本が30年もの間少しずつ取り組んでいる問題は、日本と同じように速いペースで工業化が進んだ他のアジアの国にとっても参考になる部分があるのではないかということです。
もちろん他のアジアの国からも学べることがたくさんあると思うので、このネットワークを築いて、日本からも色々な素晴らしい取り組みを発信したいと思ったのでした。
ご協力いただける方は声をかけていただけると、大変喜びます。


最後はお知らせです!
まずカンファレンスでも大変お世話になったリンダ・ネイサン先生の「学校デザインワークショップ」の授業について、同級生の名城政秀さんと6/15夜にオンラインイベントを開催します。
録画も残るそうなので、学校をつくることに興味がある方、色々な分野から幅広く参加をお待ちしています!


そしてここまで三回連続でお届けしてきた認知科学の授業変容ワークショップ、Deeper Learningカンファレンスでのワークショップの内容を組み合わせたDeeper Learningのオンラインワークショップも開催予定です。
教育関係者の方には割引もあるので、必要な方はお声かけください。


最後は一推しのパブリック・ナレーティブのワークショップです!
自分の物語を語る力はやりたいことを見つけたい人にも、やりたいことがあるけど仲間を探している人、どちらにもとても役に立ちます。
教育関係者向けの割引はありますが、教育関係者に限らず幅広い方が物語を語れるととても豊かな社会になるのではないかと思うので、ピンと来た方はぜひぜひご参加ください。


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