DXを組織的に創発するシステム思考法
システム思考法による製品・サービス企画の進め方
DXはデジタル技術の知見とビジネス・ノウハウを融合することにより実現できる。そのためには顧客などのステークホルダーや社内の部門間連携が必須である。これをスムーズに進めていくには情報共有やアイディアを組織的に創発するためのアプローチを確立し、浸透させることが重要だ。
デジタル技術を活用した革新的な製品・サービスの企画を行うには、まず、顧客、競合他社、協業会社など、自社を取り巻く産業・社会構造を俯瞰し、真の顧客と真の要求を突き止めることが第一歩になる。
その世界の全体構造は複雑であり、経営層から見える世界、事業部門から見える世界、技術者から見える世界は異なる。これらを統合し、共通認識を持つには暗黙知をベースにしたコミュニケーションでは難しい。言葉の解釈も、それぞれの人の経験や学びにより異なる。
この複雑な構造を持った世界の課題全体(システム)を可視化する手法が「システム思考法」である。
システム思考法による製品・サービス企画のステップ
システム思考法をDX企画に関わるメンバー全員が理解し、システム全体を可視化することにより、錯綜することなく、複数のステークホルダー※の利害関係や課題を共有することができる。また、顧客の真の要求が何か、その解決策が何かを議論することができる。
システム思考法では、定められた書式の図表を使って、段階的に製品・サービスの企画を進めていく。
システム思考法による製品・サービスの企画は、大きく以下の3つのステップに分けて進める。
STEP1: ステークホルダー分析
STEP2: 要求分析
STEP3: 要件定義
システム思考法では、「STEP1:ステークホルダー分析」により、ステークホルダー間でどのような価値を交換するかを俯瞰的に捉え、「STEP2:要求分析」により、ステークホルダーの個々の真の要求を明らかにし、最後に「STEP3:要件定義」で、それに応える製品・サービスの機能、実現手段に関する案を出し合って比較検討し、企画を最終化する。
このような手順を踏むことにより、目的と手段を分離し、既成概念に囚われたり、従来のやり方に左右されたりせずに、ゼロベースで製品・サービスの企画を検討することが容易になる。
それでは各ステップについて説明する。
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