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英語ペラペラになりたい!でも人前で英語を話すのは不安...なんで?どうすればいい??

「人前で英語を話すことを恥ずかしく感じたことはありませんか?」

私は人前で英語を話すのが大嫌いでした[過去形ではなく、今もあまり好きではありません...イギリス大学院卒(しかも専攻は英語教授法...)、元高校英語教員、元外語専門学校教員と英語めっちゃ好きそうな経歴ですが、英語を人前で話すの好きじゃないです]。日本語でも人前で話すのが苦手です(でも、お酒を飲むと、めっちゃ喋ります)。

小学生の時、学芸会で緊張しすぎて頭が真っ白になるので、観客ではなくジャガイモが舞台の前に座っていると思うようにしていました(これは母の助言ですが、意外と役立ちました)。

日本の大学院でプレゼンする時も緊張で頭が真っ白になり、プレゼン後に自分の出来の悪さが悔しくて情けなくてシクシク泣いたのを覚えています。

イギリスの大学院でのプレゼンなんて、日本語でも緊張するのに、ましてや英語でプレゼンだったので、前日から緊張で吐きそうになるので、不安を抑えるために薬(変な薬ではなく、市販されている薬です笑)を服用することもありました。

ちなみに、こんなんがあります。ご参考までに(笑)

私の経験と同じように、日本語であっても人前で話すことに不安を感じる方は多いと思いますが、外国語である英語を人前で話す時には不安をもっと感じる方も多いと思います。

今回は人前で英語を話すのが不安で苦手な方に向けて、「不安の原因」「不安が英語習得に与える影響」「不安の緩和法」について私の経験を織り交ぜながら書きたいと思います。

1.不安の原因

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人前で英語を話すときに起こる不安は「コミュニケーション不安」に起因するもの、「言語不安」に起因するもの、「異文化に対する不安」に起因するものが深く絡み合っています。

「コミュニケーション不安」

日本語でであれ英語でであれ、人前で話すことに不安を感じることを「コミュニケーション不安」と言います。

日本人はコミュニケーション不安が強いと言われています。

コミュニケーション不安の原因として、

1.「人前で話す状況で嫌な経験をしたことがあり、人前で話す度にその嫌な経験が思い起こされる。」

2.「話し方、表情、身振りなどの対人関係を円滑にするスキル(ソーシャルスキル)が欠けている。」

3.「失敗してはいけないと思っている。」

が挙げられます。コミュニケーション不安が強いと人前で話すパフォーマンスは下がると言われています。パフォーマンスが下がるとオーディエンスの反応が悪くなり、コミュニケーション不安がさらに高まります...というように、どんどん負のスパイラルに陥っていきます。

これは、まさに私の経験に当てはまります。

自分のスキル不足(練習不足)と失敗したくないというプレッシャーによりプレゼンで失敗する

もう失敗したくないと不安になる

次のプレゼンで前回の失敗経験の記憶が呼び起こされ、さらに不安になる

プレゼン失敗

「言語不安」

外国語でコミュニケーションをとる時に感じる不安を「言語不安」と言います。

人は自由に操れない言語で話すときに自尊心が脅かされると言われています。特にそこそこ知性に自信を持っている大人は、母語ではスムーズに話せるにもかかわらず、まだ発展途上の外国語で話すときは母語のようにうまく話せないために屈辱的に感じやすいようです。

私の場合、「今、英語じゃなくて日本語でやったら、もっと面白いこと言えるのに!」というように本来の自分を英語では開示できずに屈辱的に?感じたことがありました(日本語で話したとしても大して面白くありませんが、英語で話したらもっと面白くありません)。

「異文化に対する不安」

外国人の前で英語で話すことに不安を感じる場合は「異文化に対する不安」によるものです。

人は自分と似ている部分が多い人に安心し、反対に自分と異なる部分が多い人(異文化の人)に不安を感じます。文化的差異[言語の違い、容姿の違い、非言語コミュニケーション(表情・視線・身振り・相手との距離の取り方など)の違い、価値観の違い、習慣の違いなど]が大きければ大きいほど不安になるのです。

日本は異文化に触れることが少ない環境のため、特に日本人は異文化に対して違和感を感じやすいと言われています。その違和感が異文化に対する不安へと変換されます。

私自身も特に東アジア以外の出身者(欧米人など)と英語で話す時は、その人のことを深く知るまで妙に緊張していました。逆に、日本人を含む東アジア出身者(中国人、台湾人、韓国人など)と英語で話す時はあまり緊張することはありませんでした。

これは、日本人とその他の東アジア出身者は文化的差異が比較的小さく(日本人と東アジア出身者は、服装や化粧の仕方は少し違えど見た目は似てることが多いし、英語の間違え方や発音の仕方も何となく似てるから共感を持ちやすいし、お箸も使えるし...)、逆に日本人と東アジア以外の出身者は文化的差異が大きいことが起因しているからだと考えられます。

2. 不安が英語習得に与える影響

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不安などのネガティブな感情が言語習得の妨げとなると言われています(これを「情意フィルター仮説」と言います)。

ネガティブな感情がフィルターとして働いてしまうことで、リーディングやリスニングで得た情報のインプットや処理の容量を少なくしてしまいます(不安を持つことで、見たり聞いたりした英語の理解度を下げてしまいます)。

また、ネガティブな感情は、ライティングやスピーキングなどのアウトプットにもフィルターとして働くことで悪影響を及ぼし、上手く書いたり話したりできなくしてしまいます。

(しかし、リーディングやライティングはリスニングやスピーキングに比べ、不安感は低くなるようです。←進行中ではなく時間的余裕があるため)

英語は習得後に使うのではく、使いながら習得するものです。自由に操れない英語を使うと「間違えるのが恥ずかしい」などと不安に感じやすく(言語不安)、その不安が壁となり言語習得の妨げになりますが、使わないと上達しない... 不安を抱えながら英語を使う... 上手く使えない... もっと不安になる... 不安が邪魔をして英語習得できない... というように、悪循環になってしまいます。

3. 不安の緩和法

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英語習得を目指すなら、習得に悪影響を及ぼす「コミュニケーション不安」、「言語不安」、「異文化に対する不安」は緩和する必要があります。

まず、自分がどのような不安を持っているのかを認識することから始めてみてください。そして、下記の不安の緩和法を参考に、自分の持っている不安を取り除くことを試して頂けたらと思います。

「コミュニケーション不安の緩和法」

1.「人前で話す状況で嫌な体験をしたことがあり、人前で話す度にその嫌な体験が思い起こされる。」

人前で話すという状況を設定し(イメージトレーニングでもいいかもしれません)、音楽などを用いてリラックス感を経験する(その経験を繰り返します)。人前で話すという状況の中でリラックスすることができるようになれば、「人前で話すこと」=「不安」から「人前で話すこと」≠「不安」に変えることができます。

また、このリラックスできる環境の中で人前で話すということで成功体験を作り出し、人前で話す「嫌な体験」を「成功体験」で塗りかえることができます。

2.「話し方、表情、身振りなどの対人関係を円滑にするスキル(ソーシャルスキル)が欠けている。」

想定される場面におけるソーシャルスキルを書き出し、それをイメージトレーニングしてみてはいかがでしょうか?(鏡を見ながら練習してもいいかもしれません。)

自分で書きだすことが難しい場合は、こんな本があります。ご参考までに。

3.「失敗してはいけないと思っている。」

「失敗してはいけない」という間違った認識を「失敗しても人生が終わるわけでもないし、人間なんだから完璧である必要はない」という認識に以下の手順を踏んで改めます(例は私の経験です)。

①失敗したという状況を思い浮かべる

例:プレゼンで頭が真っ白になる

②失敗したとき、どのような状況で、どのような感情になるかを考える

例:指導教員も他の学生も沈黙し、白い目で私のことを見るという状況で、私はパニックになり不安に苛まれる

③失敗したときの感情(不安等)が起こる前、心の中でどのような考えが浮かぶのかを考える

例:最悪や、私のデキの悪さが露呈してしもた

④その考えに直接働きかける

例:そもそも、「プレゼンで頭が真っ白になる」=「デキが悪い」のか?プレゼンが得意な人は場数を踏んでるからやろ。場数を踏んだら私も得意になるんちゃう?しかも、別に失敗しても人生終わるわけちゃうし、AIちゃうねんから完璧なプレゼンできたら気持ち悪いし、人間味ないし面白くないやん。

「言語不安の緩和法」

イングリッシュネームを使用し、日本名とは違う英語話者という新しい人格を作り出します。そして、英語を話しているのは日本名の自分ではなくイングリッシュネームの自分であると自分自身に認知させます。これにより、自由に操れない英語を話していても、自尊心への脅威は軽減されます。

私もイングリッシュネームを持っていますが、イングリッシュネームの自分は違う人格と認知しているので少しアグレッシブな気がします。このおかげで、人前で英語を話す不安が少し軽減されました。

(英語学習におけるイングリッシュネームの効果は「イングリッシュネームは必要?実は英語学習に効果アリな話から命名の仕方まで」で書いています。)

「異文化に対する不安の緩和法」

自分の文化と異文化(相手の文化)の類似点を認知するほど、異文化に対する不安が軽減されると言われています。類似点を認知するためには、異文化自体を理解すること(異質なものを認めること)も大切です。異文化の理解は、異文化に触れることから始めますが、海外に行けない場合などは以下のような異文化を理解するように編集されている書籍を利用します。

文化の表面的な違いに触れるだけでなく、本質的な違いを理解するには相手の文化を学ぶ必要があります。そして、互いの文化の違いを認め、敬意を払い、共感するという姿勢がとれるようになると、異文化に対する不安は緩和されているのではないでしょうか。

ちなみに、異文化に対する不安を持っているけれど、海外留学をしていて英語のスピーキングを練習したいという人は、まずは互いの文化的差異が小さい人と練習を始め、徐々に文化的差異が大きい人との練習に移行していく方法があります。これは異文化に対して段階を踏んで慣れていく練習とスピーキングの練習が組み合わされた練習方法です。

例:東アジア出身者と練習→その他の国の出身者と練習→現地出身者と練習

(文化的差異と英語の練習相手については「留学中は、どこの国の人と仲良くしたらいいの?~留学先での友人関係が留学を成功に終わらせる鍵を握っている~」で書いています。)

4.最後に

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以上、人前で英語を話す時に感じる不安の原因と緩和法について見てきました。

この記事では、自分で行う不安の緩和法について書きましたが、不安を抱えている英語学習者に対して英語を教えている方は、まず学習者が何に不安を感じているのかを特定し、特定された不安にアプローチしてみてください。そして、不安を感じにくい教室作り[教師と学習者の関係、学習者同士の関係、教室内の雰囲気(完璧でなくてもよいということを共通理解させる)]を工夫していただけたらと思います。

人前で英語を話すことに不安を感じなくなると、英語力はメキメキ伸び、新たな自分に出会えるかもしれません。

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