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留学中は、どこの国の人と仲良くしたらいいの?~留学先での友人関係が留学を成功に終わらせる鍵を握っている~

「留学中に日本人の友達を作らない方がいい」

こんな話を聞いたことはありませんか?

語学留学を含む留学中に、日本人と一緒にいることを否定的に捉えている人がいます。おそらくこれは、「語学力を上げるために、日本語を話したくない」や「せっかく海外にいるのに、日本人とつるんでいてはもったいない」という考えがあるからではないでしょうか。

また、ネイティブスピーカー以外の友人は作ろうとしない人もいます(いわゆる、ネイティブスピーカー信仰)。これも「”本物の”語学を身に付けたい」「その土地の文化に触れたい」という考えがあるからだと思います。

これらの考えは間違いではありません。

しかし、留学中は様々な困難に遭遇するものです。そんな困難に遭遇している時に、頑なに日本出身の友人やネイティブスピーカー以外の友人からのサポート(助け)を避けるいうスタンスを貫き通すのも苦しいものです。

また、留学中はネイティブスピーカーではない友人だからこそ、彼らから受けられるサポートもあります。

留学を成功に終わらせることができるか否かは、留学中に一緒に過ごす友人で決まると言っても過言ではありません。

今回は、留学を成功に終わらせるための心構えとして、留学中に友人から受けられるサポート内容を友人の出身地域別に見ていきたいと思います[ちなみに、これは私のイギリス大学院での修士論文のテーマの一部でした。一応、Distinction(優)で通っているので、まあまあ信憑性は高いと思っています笑]。

1. 友人の出身地域

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日本人は文化的差異[言語の違い・人種的なもの・滞在身分(永住か一時滞在かなど)・文化的価値観]の観点から友人を

1. 日本出身の友人
2. 東アジア(例:中国・台湾・韓国など)出身の友人
3. 東アジア以外(例:欧米・南米・アフリカ・中東・南アジアなど)出身の友人
4. 現地出身(例:イギリスに留学していたとしたら英語のネイティブスピーカーであるイギリス人)の友人

に無意識に分類する傾向があります。日本人が感じる文化的差異は上記の1→4の順に大きくなります

2. 友人からのサポート内容

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留学中に友人から受けられるサポートは、主に「語学力の向上」「異文化を学ぶ」「精神的な支え」「アイデンティティの維持」があります。

「語学力の向上」

留学中の語学力[日常会話力・アカデミックランゲージ(大学や大学院で学問をするために必要とされる言語力)]向上のために、留学先で友人が練習相手になってくれたり、教えてくれたりします。

「異文化を学ぶ」

留学先での友人から日本文化とは違う文化を学ぶことがあります。

「精神的な支え」

留学先では、「異文化に適応できない」「友人関係を含む対人関係がうまくいかない」「語学学習・学業・研究につまずく」「経済的問題」などによるストレスを感じる人が大変多いです。

メンタルヘルスは留学中は軽視してはいけません。留学中にストレスから鬱症状が出て、不眠症になったり、蕁麻疹が出たりして外に出られなくなってしまう人もいます。せっかくの留学先で外に出られなくなると、もう留学している意味がありません。

こんな時に留学先での友人が精神的な支えの役割をしてくれることがあります。

「アイデンティティの維持」

留学生活が長くなると、アイデンティティクライシス(自分が何者か分からなくなる状態)に陥りやすくなります。アイデンティティは自分の所属している文化(自文化)によって形成されていますが、留学先では自文化を共有できる人が少ないために起こります。

言語は文化の一部だと言われていますが、日本語よりも留学先の言語を話す機会が多くなる場合も、アイデンティティクライシスが起こりやすくなります。

友人と日本語で話したり、自文化を共有し合うことでアイデンティティを維持することができます。

例:留学先で日本語を話すとホッとする
  留学先で日本のお笑いの話をできると異常に嬉しい

3. 日本出身の友人から受けられるサポート

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日本出身の友人は、「語学力の向上」「精神的な支え」「アイデンティティの維持」という3つのサポートをしていくれます。

「語学力の向上」

日本出身の友人からでも、留学先の言語を教えてもらったり、練習相手になってもらったりすることにより語学力向上のサポートを受けることができます。

ただし、語学留学をしている友人からよりも、大学や大学院留学をしている友人からの方が語学力向上のためのサポートをしてもらいやすいようです(大学や大学院留学の場合は十分な語学力を有していることが多いため)。

「精神的な支え」

日本語で話をすることができ(わざわざ勉強中の言語で悩み事を相談する必要がない)、同じ価値観を共有していたりバックグラウンドが同じであったりするため(1から10まで全てを話す必要がないことが多い)、落ち込んでいる時や悩んでいる時には日本出身の友人は精神的に支えてもらいやすいです。

「アイデンティティの維持」

「精神的な支え」と同じように、日本出身者とは日本語で話すことができたり(言語=文化=アイデンティティ)、同じ価値観を共有していたりします。そのため、日本出身者と日本語で話したり、日本のこと(例えばお笑いの話)を話したりすることで、自分のアイデンティティを維持することができます。

4. 東アジア出身の友人から受けられるサポート

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東アジア出身の友人は「語学力の向上」「異文化を学ぶ」「精神的な支え」「アイデンティティの維持」の4つ全てのサポートをしてくれます。

「語学力の向上」

東アジア出身の友人とは母語が異なるため、留学先の言語を話さざるをえません。それゆえに、結果として語学力向上のための練習相手となってくれます(たとえ語学のレベルが同じだとしても)。

また、日本出身の友人の場合と同じように、語学留学をしている友人からよりも、大学や大学院留学をしている友人からの方が語学力向上のサポートは受けやすいです。

「異文化を学ぶ」

東アジア出身の友人は、(同じ東アジア出身と言えども)日本とは異なる文化を持っているため、彼らの文化を学ぶ機会を提供してくれることがあります(例えば食文化など)。

「精神的な支え」

東アジア出身の友人は、日本と似た文化を持っているため、日本人にとっては他の地域の出身者と接するよりも気持ちが楽なことが多いようです。

また、日本人と東アジア出身者の言語レベルや言語の間違え方は似ていることが多いため、余計に親近感がわくようです。

日本と文化が似ているという点で気持ちは楽ではあるが、留学先では外国人同士のため、お互いの文化(礼儀作法など)を適用する必要はないという点を心地よく感じることもあるようです。

「アイデンティティの維持」

日本と文化が似ているため(例えば味の好みや、お箸を使うことなど)、東アジア出身の友人と触れ合うことはアイデンティティの維持の助けになりやすいです。

5. 東アジア以外出身の友人から受けられるサポート

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東アジア以外出身の友人は、「語学力の向上」「異文化を学ぶ」「精神的な支え」の3つのサポートをしてくれます。

「語学力の向上」

東アジア以外出身の友人は、日本やその他の東アジア出身の友人よりも、(特にスピーキングにおいて)語学力があることが多いため、英語の練習相手になってもらったり、教えてもらったりすることができます。

「異文化を学ぶ」

日本や東アジアとは文化が似ていないことが多いため、東アジア以外出身者からは異文化を学ぶ機会が大変多いです。

また、英語を公用語の1つとして定めている国もあるため、シンガポール英語(シングリッシュ)など、その国の話している英語(英語方言)を教えてもらい学ぶこともできます。

(英語方言については「日本語訛りの英語じゃあかんの?英語方言はどこまでオッケー?」で書いています。)

「精神的な支え」

東アジア以外出身の友人とは文化的に異なる点が多いからこそ、悩んでいる時に同じ文化を共有している友人とは違う視点から斬新な助言をしてくれます。そして、そのことがマインドセットを変えてくれることがあります。

しかし、彼らとは文化的には異なる点が多いですが、立場は同じ留学生ということで、異国の地での辛い経験を共有することもできます。

6. 現地出身の友人から受けられるサポート

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現地出身の友人は、「語学力の向上」「異文化を学ぶ」の2つのサポートをしてくれます。

しかし、現地出身の友人とは、あまり接触する機会がなかったり(語学留学の場合)、授業以外で接触をすることが少なかったり(大学や大学院の場合)するのが現状のようです(ただし、留学生に興味がある現地出身の友人は積極的に留学生と関わりを持とうとしてくれます)。

「語学力の向上」

現地出身の友人からは語学面でのサポートをしてもらうことができます。しかし、留学生である友人とよりも話す機会が少ないようです。

「異文化を学ぶ」

現地出身の友人からは、東アジア出身、東アジア以外出身の友人と同様に異文化を学ぶことができます。

しかし、一緒に遊びに行くなどを通して彼らから異文化を学ぶ機会は少ないようです。

7. 留学中はどこの国の人と仲良くするのがいい?

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答えは、あなたが何を求めていて、どういう状況かによります

そして、留学前に「この国の人と仲良くなろう!」と意気込んでいたとしても、実際は留学中に状況(環境、求めているもの、自分の内面)が変わり、自分が願っていた国の友人を作れない(作らない)ことも多いです。

もし、「語学力を高めたい」「異文化も学びたい」...でも外国人(日本と文化的差異が大きい地域の出身者)と自分のつたない語学力で話すのは不安やし、「友達には精神的に支えになってほしい」「自分のアイデンティティも失いたくない」...という人であれば...

東アジア出身の友人と仲良くすることをおススメします。

「4. 東アジア出身の友人から受けられるサポート」で見たように、東アジア出身の友人は「語学力の向上」「異文化を学ぶ」「精神的な支え」「アイデンティティの維持」の4つ全てのサポート機能を持っています(機能という言い方は無機質な感じですが...)。そして、慣れてきた頃に、他の地域出身の友人と仲良くするように心がけていくのもいいかもしれません。

8. 最後に

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以上、留学中に友人から受けられるサポート内容を友人の出身地域別に見てきました。

留学中は様々な困難に遭遇するものですが、留学中に困難を抱えたまま過ごすと、せっかくの留学も失敗に終わってしまいます。失敗に終わらさないためには、友人に支えてもらいながら困難を解決していくことが必要です。

要するに...

留学先での友人関係が留学を成功に終わらせる鍵を握っています。

困難の種類により必要なサポートも変わるため、ある一定の国出身の友人(例えばネイティブスピーカー)としか仲良くしないと決め込むのではなく、臨機応変に友人関係を築くように心がけてはいかかがでしょうか

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