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音楽のプロと考える音楽活動のカタチ #1 【NY移住/「公開アメリカンドリーム」/アメリカの音楽シーン】

今回は、11月21日(土)に開催した「第1回 MANAB シンポジウム」の模様をお届けします!

記念すべき初回のテーマは「アーティストの自立」ということで、ニューヨーク在住のシンガーソングライター・しほりさんをゲストパネラーとしてお迎えしました。
また、今回のイベントはアーティスト、ミュージシャン、クリエイターなど様々な音楽活動をされているみなさんにオーディエンスとしてご参加いただき、しほりさんと沢井先生の対談を通して、今後の音楽活動について一緒に考えました。

Podcast「アーティストのミカタ」でおなじみの我らが沢井原兒先生としほりさんによる、音楽のプロ同士の熱いトークは必聴必読です!(以下敬称略)

【パネラー紹介】

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沢井原兒(サワイ ゲンジ)
20代より多くのジャズバンドに参加。
アルバムのプロデュースは40枚を超える。
矢沢永吉/RCサクセション/鈴木雅之/加山雄三/今井美樹/米倉利紀/REBECCA/中村雅俊/上田正樹/シーナ&ロケッツ/吉川晃司/小林克也 他、Stage Support / Produceを行う。
インストラクターとしてはヤマハ、音楽学校メーザー・ハウスなどで40年以上。現在は株式会社MOP代表、IRMA役員。

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しほり
21歳より東京でキャリアをスタート。
2002年ゼクシィCMソング「パパパパーンの歌」が話題に。
2007年、TVアニメED主題歌「TSUBASA」でメジャーデビュー。
ももいろクローバーZ「GOUNN」をはじめ、水樹奈々、中川翔子など人気アーティストへ100曲以上を提供。
2018年にNYへ活動拠点を移し活躍中。

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しほりさんは、ご自身のアーティスト活動のほか、数々の人気アーティストへの楽曲提供を手掛けるクリエイターとしても活躍されています。
そのため、当日の対談は【アーティスト編】【クリエイター 編】の2つのパート分けて行いました。
今回のnote記事では【アーティスト編】に絞ってお届けします!

※この記事では、Podcastの内容からポイントをピックアップしまとめていきます。
Podcastではさらに詳しく解説して頂いているのでぜひチェックしてみてください!

1.移住のきっかけ

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沢井:今日オーディエンスとして来ているのは、みんな音楽をやっている人で、そういう人たちからするとしほりの活動の話はとても興味がある話だと思うんだよね。で、まずはなぜニューヨークに行ったのかというところから教えてもらえますか。

しほり:はい。結構いろんな理由が重なっていて、簡単に説明することができるかなという感じなんですけど…。

沢井:うん。

しほり:私がちょうど「ニューヨークに行こう!」って決めたタイミングの2015年っていうのは、業界全体の不安だったりとか、業績不振とかでマーケットがすごく縮小していて伸び代がなくなっているのをみんながジワジワと感じていた時だったんです。

沢井:なるほど。

しほり:私のキャリアとしてはマックスの伸びている時期で、安定もしていたのですが、みんなが保守的になっている中で活動していたら自分も伸びていく感じではなく、緩やかにステイしていく人生になっていくんだろうなと思って、「ここにいてはいけない」と思っていました。

沢井:うんうん。

しほり:それから、その年の紅白歌合戦でももクロちゃんと水樹奈々さんが落選してしまったんです。その前の2 年間はももクロちゃんが私の曲を歌ってくれていて、当選していたらその年に書いた曲を歌ってくれていたかもしれないけど、ゴチャゴチャっとダメになってしまったんですよね。当時私にとってその2組は最大のクライアントさんでもあったので、どうしようと思ったり怒りだったり色々な感情があって。

沢井:うん。

しほり:私の再メジャーデビューの話も納得できない形でポシャってしまったり、色々なことが重なって、「ここにいちゃだめだ」って思って。大きく挽回する方法を一晩考えて、「ニューヨークにいきます!」って決めました!(笑)

沢井:すごいね!衝動的に行こうと思ったんだ!

しほり:そうですね、めちゃくちゃ衝動的でした!

沢井:なかなか考えないよね。ミュージシャンの場合は言葉の壁があまりないので、行こうと思う人がいるかもしれないけど、シンガーがアメリカで活動するっていうのはハードル高いと思うんだよね。そのあたりは考えなかったの?

しほり:もちろん考えたし、先輩たちにも止められたりしました。でも逆に自分が最初の例になったらすごいカッコいいなって思っちゃって(笑)

沢井:うん(笑)

しほり:挑戦してるだけですごいことだし、失敗したらしんどいし恥ずかしいかもしれないけど、それをあえて見せていくのが私らしさだと思っていて。漫画のように最初に果てしない目標を掲げて、それに向かって失敗や挫折を繰り返しながら冒険する様子をオープンにすることで、日本の伸び代がない中で悩んでいる人たちを励ますことができるかもと思ったんです。

沢井:うーん。なるほど。

しほり:そういう意味で「公開アメリカン・ドリーム」っていうのを掲げてこっちに来たんです。

2.猛者の集まる街、ニューヨーク

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沢井:すごいえらいね!(笑)
ただそういった模範になるという考え方もある一方で、やっぱり成功したいという思いもあったと思うんだけど、アメリカは世界中から猛者が集まって来ていて競争が激しいよね。そういう状況の中でやろうと思ったのはなんでなの?

しほり:正直行こうと決意した時、色々飽きていたところがあったんです。作家、アーティスト活動を経て、今後の伸び代をやや想像できるようになってしまったんですよね。

沢井:うん。

しほり:当時はアイドル全盛時代で、歌唱力があまり評価基準として重要視されていなくて、自分的には納得できない部分がたくさんあっても、現場ではOKが出てしまうとか。問題がまるでなかったんですよ。

沢井:うん。

しほり:その時に、「ああこれ以上は求めらないんだな」と悟ったんです。だから、その中でやっていくよりは、もっとレベルの高い人たちと出会い、切磋琢磨しながら新しい自分を見てみたいと思ったんです。

沢井:えらい!実際は行ってみてどうだった?

しほり:実際は、思っていたより難しくて挫折の連続でした。再起できないかもしれないと思うくらい。

沢井:そのレベルの違いとして実感したのは、表現力?技術力?俺がニューヨークに行って感じたのは、最低レベルがものすごく高いっていうことだったんだけど。

しほり:そうですね!基礎レベルがすごく高いと感じました。清掃のおばちゃんが歌ってるのがめちゃくちゃうまいとか!表現力やエナジーとかメッセージの部分は自信があったんですけど、スキル面で挫折しました。

3.ニューヨークで「売れる」基準は実力か?

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沢井:そういう意味で言うと、アメリカは技術力、表現力が高い人が売れているの?日本だとそういうのが高くなくても、例えばビジュアル面で売れたりすることもあると思うんだけど。

しほり:うーん、私たちから見るとやっぱり基礎レベルが違うので、「これくらい上手くないと売れないよね」って思うんですけど、現地の人の話を聞いていると、そこは感覚が似ていると思いますね。

沢井:そうなんだ。

しほり:チャートのトップの人たちはタレント性、ビジュアルやキャラクターが重視されていますね。「大して上手くないのに」とか言われていたり。

沢井:そういうのもあるんだ!

しほり:あります、あります!スタンダードが違うだけでリスナーの考えはあまり変わらないなと思いました。

沢井:でもアメリカではないけど、エド・シーランってそんなにイケメンじゃないけどめちゃくちゃ売れてるよね。だからそのへんは日本と違うかなと思うんだけど、どう?

しほり:えっと、エド・シーランがどうしてそこまでっていうのは、他の人に聞いたことがないのでわからないんですけど…。ただ私が勉強のためにトップ40を聴いていて「この曲いいな!」って思うと決まってエド・シーランだったんですよね。

沢井:なるほど。

しほり:ずば抜けて曲がいい人っていうのは、持っているハートだったりそういうものも良いと思うんです。彼の場合は単純にきっとそういう部分で心を掴んでいるんじゃないかなと思いますね!

沢井:そういう意味で言うとやっぱり売れている人っていのは実力で売れているのかな?

しほり:うーん、わからないですけど圧倒的な何かは持ってますよね。

4.今の日本の音楽業界、どう見る?

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沢井:そういう部分で言うと、なかなか日本のアーティストがフロントに出ていくのは難しい状況だと思うんだよね。ただ、最近は米津玄師とかKing Gnuとかのヒットで傾向が変わって来ている気がするんだけど、ニューヨークからの視点で日本のアーティストの可能性はどう考えていますか?

しほり:めちゃくちゃ変わって来ていますよ!私がニューヨーク行きを決めた2015年くらいは目新しいアーティストがトップに出てこなかったんですけど、ここ2、3年で新しい才能がどんどん出て来ていて衝撃を受けています。
ただ、私、以前からこうなるだろうとは予告していたんです。
歌が歌えなくても、エンジニアさんによって完璧にされた作り物の音楽で溢れていた状態だったから、本物の音楽をリスナーは渇望しているだろうと。

沢井:なるほど。じゃあ、日本の音楽業界はよくなって来ていると思う?

しほり:劇的に良くなっていると思います!第2、第3のJ-POP黄金期がついに来たなという感じですね。

〜クリエイター編に続く〜


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