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大学関係

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大学でやったこと+α。
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記事一覧

英国卒論日記 【終】

英国卒論日記 【終】

気づけば時は経ち、あと1週間で卒業論文の締め切りになって、結局言いたいことを綺麗に言うために試行錯誤していた。2週間寝かせた卒論は(その間に3000単語を2本提出したので)、蓋を開けてみたらぐずぐずに腐っていた。12000を絞って捻って書き直して9990になった。

寝て明日に持ち越そうと思ったが眠れない夜で、ペタペタとサンダルがわりのビーサンをつっかけて談話室に降りた。入寮して初めて行った談話室

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【英国卒論日記】#4

【英国卒論日記】#4

というわけで(どういうわけで?)なんでかわからないけど徹夜して、卒業論文は大枠が終わった。10000単語のところコンクルを除いて10300単語あるけど、まあ徐々に削っていけるだろう。

共同教科書を’study’するにあたって、本当はやりたいことが色々あった。

が、「共同教科書ができるプロセス」を読むことにした。ギリシャの小さい団体のカンファレンスまとめ本を読み、最初のチェアマンの発言を読み(な

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【英国卒論日記】#3

【英国卒論日記】#3

最近何をしているのかというと、書きかけのエッセイを全てほっぽって卒業論文を書いている。

私の記憶が間違っていなければ3000単語4月14日、3000単語4月26日、卒論10000単語4月26日、4500単語5月10日締切である。書きかけの3000と3000と4500をほっぽって、とりあえず卒業論文を書いているわけだ。わたくしはNumericに回答させられるテストが全くないので、その分全部エッセイ

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【今日の論文】The Memory of Politics in Postwar Europe (Lebow 2006)

【今日の論文】The Memory of Politics in Postwar Europe (Lebow 2006)

このチャプターの話をしています:
Lebow, R., N. (2006). ‘The Memory of Politics in Postwar Europe’, in Lwbow, R., N. (Ed.) ‘The Memory of Politics in Postwar Europe’, Durham: Duke University Press.

片方はローマ教皇にヒトラーユーゲント

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【今日の論文】'How Japan matters in the evolving East Asian security order' (Goh 2011)

【今日の論文】'How Japan matters in the evolving East Asian security order' (Goh 2011)

この論文の話をしています:Goh, E. (2011). 'How Japan matters in the evolving East Asian security order', International Affairs, 87 (4), pp. 887-90.

北東アジアの安全保障というのは(東アジアというのは狭義では日中韓・香港台湾あたりだが、広義では南東アジア、ASEAN諸国を含む

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【今日の論文】バルカンの記憶とバルトの記憶とEUの記憶

【今日の論文】バルカンの記憶とバルトの記憶とEUの記憶

この論文について話しています:
Radonić, L. (2017). 'Post-communist invocation of Europe: memorial museums’ narratives and the Europeanization of memory', National Identities, 19 (2), pp. 269-288. DOI: 10.1080/1460

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【大学の話?】いつものように歴史の話をしよう(2) 慰安婦問題判決とか

【大学の話?】いつものように歴史の話をしよう(2) 慰安婦問題判決とか

とても良い学びがあったのに、諸事情で大学のレポートに使えなくなってしまった。クソが!!!!!!ここに供養します(温度差)。最近なんか疲れてるから脳みそからそのまま出てきたみたいな文章しか書けなくなってるんだ。

2018年から2024年にかけて、強制徴用工問題は新たな展開を迎えているように見える。韓国国内法廷で当時徴用を行っていた日本企業に対して賠償命令が出ているのである。また、慰安婦問題に対して

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【大学の話?】いつものように歴史の話をしよう

【大学の話?】いつものように歴史の話をしよう

もうリーディングしたくないな〜の気持ちになってきたので、オフィスアワー巡りに行った。お百度参りじゃないんだぞ。

Complexityの授業は、Formativeを来週だか再来週だかに控えているので、アウトラインを持っていった。セオリーのフレームワークがあるので、それを現実問題にアプライする形だ。Open systemとEmergence、それからLinerality (Causality)につい

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【大学の話?】共同教科書をグローバルにみる

【大学の話?】共同教科書をグローバルにみる

共同教科書を、世界的なコンテクストにおくとめちゃくちゃ面白い。

まず、共同教科書というものについて、皆さんはご存知だろうか。英語だとJoint (history) textbook か Common (history) textbookなのだが、この定義でしばらく語れるので(卒論では実際これでひと段落使っている)、ここでは「戦争とかで対立してた国とか集団が、戦争の後に一緒になって教科書を作って、

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【大学の話】ロシアのエネルギー政策

【大学の話】ロシアのエネルギー政策

国際関係でジレンマといえば、皆さんは何を思い浮かべますか。多くの人が、Security Dilemmaを思い浮かべたのではないでしょうか。安全保障のジレンマというやつです。今回はロシアのエネルギー政策分析と通して、別のジレンマについて考えてみましょう。

私は政治経済学を苦手とする人種なので(シンガポールで開発経済をやった時、それだけでちょっと危なかったので)、せっかく触れたものは書き起こしておこ

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【大学の話】Power and Trust (Niklas Luhmann)

【大学の話】Power and Trust (Niklas Luhmann)

政治思想の授業で、ニコラス・ルーフマンを取り扱った。ドイツの学者で、いわゆるグランド・セオリーと呼ばれる「社会はどのように成り立っているのか?」ということを論じた人である。扱っているテーマがテーマなだけに翻訳文もかなり難解だし私も全部を理解したわけではないと思うのだけれど、面白かったからちょっとだけ書いておこうと思う。

①ソーシャル・システムについて社会を説明する方法として、ルーフマンはSyst

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【英国卒論日記】#2

【英国卒論日記】#2

卒論のスーパーバイザーに会いに行った。

イギリスの学部の卒業論文というのは、10000単語ということになっている。A4で20枚だから、日本よりも緩いのではないだろうか。「いいかお前ら、絶対に10000文字超えるんだから、早く書き始めて早く削れ」と言われ続けている。

もう一つ言うなら、イギリスの大学の卒業論文はゼミに所属するみたいなことがないから、先生がお尻を叩いてくれることがない。実際スーパー

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記憶の政治 今週読んだもの #1

記憶の政治 今週読んだもの #1

Karl Marx Walking Tourってなに?

Memory Politicsのノートを作った。最初から作っとけよ、って感じだけど、パレットジャーナルを参考にして作った。カザフスタンがスターリンによる暗黒期をどのように記憶しているかと、ルワンダが内戦とジェノサイドの後どうやってジェノサイドを記憶したかと、セルビアがユーゴスラブ内戦をどう記憶して教えてきたかとかを読んだ。あと、インドとナン

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【大学の話】日韓協議の代表者になってください

You’ll be divided into two groups, one representing South Korea and the other Japan, and then negotiate on the following, to settle the issue on comfort women.

というのが今回のPolitics of Japanの授業である。リーディングや

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