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「マインドレスネスとマインドフルネス」ETIC.のCafe20thのkeynoteが面白かった。

ETIC.は元々ベンチャー支援をやってきていたが、ここ最近は特に社会起業領域にフォーカスをして活動している団体です。その年一度に開かれるコミュニティイベント。

オープニング
代表の宮城さんから、このイベントの始まりについての説明がありました。「社会起業家」という言葉がまだなかった黎明期とも言える90年代後半に、環境問題などに取り組み奔走していた吉持彰博さんが事故死された後、語り合ったのがCafeの始まりとのことでした。私が昔書いたアントレプレナーシップに関する論文で、「死との向き合い」について書いたことがあったので、それを少し思い出しました。

キーノート
Jeremy Hunter 氏(ドラッカー経営大学院准教授 エグゼクティブ・マインド・リーダーシップ・インスティテュート創設者/ディレクター)さんから、「Facing the Reality of Mindlessness」をテーマにお話がありました。

バズワードになった「マインドフルネス」は2003年ごろから言い始めましたが、その当時からやっていた人もいた人もいます。自分自身が余命宣告をされたようなこともあり、病気とともに生きなければならないということが、自分のマインドをどうコントロールすべきかということに向き合うきっかけになりました。

①自分自身をコントロールできなければ、組織や事業を動かすことはできない。でも、マネジメントはたくさん学ぶのに自分のコントロールの仕方はなかなか学ぶ機会がない。
サービス業の生産性向上ができていないことは技術面で変えることもできるが、一方でマインドを変えていくことによって変えられることもあるはず。製造業は役割もしっかり分かれているし、成果物(プロダクト)も見えやすいからスーツをきっちり着る日本人的な思考には合っている。一方で、サービス業はこれとは異なるので、日本人の良さが発揮できていない。

②変わっていく環境において、生産性・イノベーション・適応をどうしていくかにマインドフルネスを活用出来る。
生産性とは、ものをたくさん作るという話ではなく、自分の人生を精一杯どう表現していけるか。

③じゃあ、マインドフルネスって何なのか、を知るためには反対の状態「Mindelessness」とは、どんなものなのかわかるといいかも。
まず6本指の手のX線を観た後に。

この写真を見ると、何かわからない。

でも、牛の顔を見た後に見ると

ちゃんと牛に見える

(直前に見たものに影響を受けすぎて、文脈を勝手に作ってしまうから全然本来のものが見えないというプチワーク)

つまり、知覚によって得たものからパターンが作られることによって、(過去の経験から持った思い込みによって)目の前のことがしっかり見えていないこがたくさんある。近代の教育においては、「考える」ことを推奨されるが、その手前の「知覚」するということは教えられていない。

日本人は知覚が高いと思う。認知ではなく知覚。なので、他国と違う形で自然とマインドフルネスが埋め込まれている。一方で、自分の中の状態に対する知覚とのバランスがあるわけではない。ので、外に対する知覚に依存しすぎていることもある。

④捉え方によって自分・組織・社会は変わる。
直島でも活躍するJames Turrellさんの言葉

私たち神経システムは一瞬の間にもおぞましい量の情報を受け取っている1秒に1100万ビットくらいという説も。しかし実際は40ビットくらいしか意識的に捉えることができていない。つまり、無意識の中で自分が動いている部分が多い。人間も、組織も同じ。気付いていない部分とも言えるし、習慣化している、デフォルトになっているとも言える部分が多い。これがマインドレスネス。

なので、反対に自分が何に反応し、何が潜在的に隠れているのかを知ったり、知覚を変えていくことがマインドフルネスになっていく。

人は自分が正しいと思いたがるものなので、違いを理解したり自分の考えを変えていくことに拒否反応を起こす。かつ、人はできないことや失敗にフォーカスを当ててしまいがちだが、うまくいっていることに目を向けることが大切。

⑤マインドフルネスプチ体験

自分の人生の中で、これを考えると「幸せになる」「愛されている」「楽しかった」と感じることはなに?

必ず誰にでも何か一つはあるはず。

その何かを考え、3つの描写を考えてみる。

ペットの猫なら、そののどこが?楽しかった出来事のどの部分が?

自分の気分や感情は変わった?

その感情をもたらした3つを頭に浮かべて、今自分がそれとともにあると考えると、何が見える・聞こえる・感じる?

体に変化はありましたか?

呼吸が変わっていたり、筋肉がほぐされたり、体の中に静かなスペースが生まれたりしたかもしれない。そしたら、

その場に留まる。そこで今感じたワードを書き留めておこう。

これは超新幹線バージョンだけど、丁寧にやるのが普段やっているワークとのこと。

まとめ・感想
マインドフルネスって流行っているし大事だけど、なんで必要なのかどう使っていくのかという前後の文脈が抜けていると感じることが多かったですが、

①組織マネジメントは一生懸命取り組むもののその前提の個のマネジメントはなかなか学ぶ機会がない 
②マインドフルネスは個のマネジメントに有効であるとともに、「考える」の手前の「知覚」を広げることができる。
③知覚が広がると目の前のことを捉え直し、向き合うことが必要になる。それはストレスになりうるものでもあるし、ネガティブな部分に注目しがちだが、そこでこそポジティブな部分にフォーカスすることが大事。
④そのポジティブに向き合うことができるのもマインドフルネス。

なんだなと納得というか、腑に落ちるというか、ちょっと理解が進んだ気がしました。

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シビックテックのCode for Japanで働きながら、小児発達領域の大学院生をしながら、たまにデザインチームを組んで遊んでいます。いただいたサポートは研究や開発の費用に充てさせていただきます。