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カンボジアの暮らし方

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10年ほど前にカンボジアの田舎町で暮らした記憶を書いたもの。
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#エッセイ

いーらい、のナゾが解けたとき カンボジアの暮らし方6

いーらい、のナゾが解けたとき カンボジアの暮らし方6

カンボジアで暮らし始めたばかりの頃のこと。"ネアックルー"(先生)と呼ばれるお仕事をしていた職場である日、

「ネアックルー、いーらい?」

と聞かれた。

"いーらい"ってなんだ!?

まだクメール語も聞き取れないことが多かったけれど、初めて聞く言葉だった。

いーらい?とはてないっぱいの顔をする私に、周りにいた人たちが

「いんぐりっ」

と言う。English。

映画で"いーらい"なんてあ

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長距離バスの人情 カンボジアの暮らし方5

長距離バスの人情 カンボジアの暮らし方5

市場の近くに、床屋さんがあった。

入り口には長距離バスの写真が載った看板があり、店の奥さんか娘さんが机の前の椅子に座っている。みんな目がぱっちり二重の美人さんで、どちらかというとふくよかな体型もよく似ている。

机に貼ってある時刻表を見て、「◯日の何時、プノンペン行きのチケットをください。」と言うと、電話で空席を確認してチケットを出してくれる。

チケットを買える場所はバスの会社ごとにいくつかあ

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至福の水浴び カンボジアの暮らし方4

至福の水浴び カンボジアの暮らし方4

お風呂に入ってシャンプーしようとしたら、全然泡立たない。

朝から息子と公園に行って遊び、午後も強い風のなか、ドラッグストアに行った。

砂が髪の全部にまとわりついている。

一日中、身体にぺたっと何かが貼り付いているかんじですっきりしなかったんだよな、と振り返りながら全身きれいに洗ったらすっきりさっぱりした。

この爽快感。

暑くて赤土の砂ぼこり舞うカンボジアでは、水浴びの習慣がある。

昔な

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夕方のタックロロック カンボジアの暮らし方3

夕方のタックロロック カンボジアの暮らし方3

カンボジアにあるもので日本にもあればいいのに、と思うもののひとつが、"ボンアエム屋さん"だ。

午後、おやつの時間になると出てくる、道端の屋台。台の上にふたつきの鍋が並び、ふたを開けると緑や小豆色の甘く煮た豆とか真っ黒な仙草ゼリーやかぼちゃ、ココナッツミルクで煮たタピオカなんかが入っている。

ひとつずつふたを開けてその中から好きなものを選ぶと、お皿に入れてくれる。そして上からがさっとけずった氷を

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