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映画『ひまわり』で気づく日常の幸せ

前から行ってみたかった広島の映画館、八丁座に行って来ました。
デパートの8階にある八丁座。
八丁座は大人マダムの行く映画館だと勝手に憧れていた20代の頃。
それからだいぶ年をとり、「そうだ!」と思い立ち急遽行ってみることに。

憧れの八丁座(劇場案内 | 広島の映画館サロンシネマ、八丁座 (johakyu.co.jp)
ふかふかのソファーシートに感激!!
映画前スクリーンの前にハッピを着たスタッフさんが立つ。上映の注意点も「映画どろぼう」の映像でなく、スタッフさんがマイクを持って直接語りかけてくれる。
「お客さんのことを想っていますよ」という心配りが伝わってくるあったかい雰囲気の館内。
昭和の映画館はこんなだったんかもなぁと、懐かしい気持ちに。。。

今回鑑賞した映画は、1970年公開のイタリア映画。それをデジタル技術で蘇らせたHDレストア版『ひまわり』映画『ひまわり 50周年HDレストア版』公式サイト (himawari-2020.com)

映画の始まりにも広大なひまわり畑が映ります。この撮影はウクライナの首都キエフから南へ500キロほど行ったへルソン州。
映画の中で「このひまわり畑の下には第二次世界対戦で亡くなった沢山の人が埋葬されている」と説明されています。
ただただ美しいひまわり畑。
何もものが言えぬひまわり畑。

第二次世界対戦で離ればなれになった夫婦の戦後が描かれているこの映画。
映画を見終わった後、本当にもやもやしてどんよりと、絵もしれぬ何とも言えぬ無力感。
誰も彼もが幸せになれない戦争。
誰も彼もがその事実に抗えない戦争。

「なんでこんなことになってしまったんだろう?」答えのない問いがずっと繰り返し頭を巡る。戦争の真実。

映画ではイタリアやロシア、ウクライナの日常の生活が映し出されています。
現代とは違いもあるでしょうが、ただ普通に料理や洗濯をする。ただ普通に家族と食事をとる。子ども達の笑い声。そんなロシアやウクライナの『日常』
今この『日常』が失われ、狭い地下室で、身を潜めている人や子どもがいる現実。映画を目で観て実感する。その現実が心に突き刺さる。

映画館で前の方に座られていた白髪のご夫婦。その後ろ頭をぼんやりスクリーンの隅の方で眺めながら、このご夫婦はこの映画に「何を重ね合わせて、観ているんだろう」とふと考える。
戦争の記憶が残っている世代は、戦争にどんな想いを馳せているんだろうか・・・。

子どもの頃、おばあちゃんと「おじいちゃんには内緒ね」と、恋バナをしたことがありました。
おじいちゃんと出会う前の若い頃のおばあちゃんには恋仲になった男性が。でもその男性は、おばあちゃんと出会って暫くして、戦争に徴集されて遠くに行ってしまったそうです。暫く待っていたけれど、音信不通になったその男性が、生きているのか死んでしまったのかもわからない。
「おばあちゃんがその人と結婚してたら、カッコは産まれて来れんかったけん、あぁ~良かった」と笑い合った子どもの頃の私とおばあちゃん。
映画を観ながら、ふと思い出す。おばあちゃんはどんな気持ちで思い出して話してくれていたんだろう。

この地球で起こっている戦争に今苦しんでいる人たちのこと、第二次世界大戦を経験した祖父母の想い、白髪のご夫婦の想い、ひまわり畑の下に埋まっている人の魂。その上でまた繰り返されている戦争。

頭の中がぐるぐるぐるぐる。憧れの八丁座に来れた高揚感はすっかり消え去り、どんよりした重い苦しい心もち。
普段は目を背け、見て見ぬふりをしている大切なことにしっかり目を開いた。この『どんより』は今、とても大切な体験だと、言葉で説明はできないけれどもそう強く感じた。

次の日までしっかり体験したどんより感。。。
夕方、近所の子ども達の声。
「じゃぁね。バイバ~イ。また明日会おうね!」
なんて素敵な別れの挨拶が清々しく響く。
子ども達が「明日も会える」と期待して信じて止まない毎日が送れる平和な日本。

わたし一人で何かをガラリと変えられる訳ではないけれど、おばあちゃんが私にことあるごとに話してくれていた「カッコがした優しい行いはね、世界を巡り巡ってカッコの元に戻ってくるんよ」が本当だと信じて。
目の前の相手に思いやりを持って接する。
目の前の相手からの思いやりにココロから感謝をし伝える。それが世界に広がっていってくれたら。

これしかできない私だけれど、皆さんと一緒にこの感謝を積み重ねていくことがわたし達と、私たちの子ども達の未来を守るために一番重要なこと。

じゃぁね。ばいばい。また来週もnoteの世界で会いましょう!
皆さんそれまでお元気で。
今日も最後まで読んでいただき感謝です。
一緒に考えてくれてありがとう!

素敵な映画館・八丁座での素敵な映画との出会い。
次にどんな映画と出会えるか。

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