見出し画像

インタビューシリーズ#6  元レストランパティシエ発の、未来が広がるお菓子

こんにちは。このnoteでは、主に私が考えていることをコラムに綴っていますが、時々インタビュー記事も投稿しています。
友達や知り合いなど、私が個人的に話を聞きたい人に声をかけて、お喋りした内容を通して、その人の活動を紹介させていただきます。

今回は、井手 藍子さんです。レストランやブライダルの現場などで15年以上のキャリアを持つパティシエさんです。独立して、今年からオンラインでスイーツ販売を始められました。

「ミライオヤツ」コンセプトページの引用
・おいしいだけじゃない、機能美を伴った未来のお菓子をつくりたい。
・香りを調合(デザイン)することで、お菓子を通してほしい効果(機能 = 記憶力や集中力の向上)を手伝うことができます。
・身体に負担をかけないために、白いお砂糖は使わず、小麦粉の代わりに米粉(グルテンフリー)を、バターの量を減らして、代わりに酸化しない良質なオリーブオイルを使っています。自分の未来と向き合う時間の心強いお供になります。

私: ショップ名やコンセプトなどが、独特で印象的なのですが、これらはどのような理由から決めたのでしょうか。

井: 大手には敵わないので、「これを検索したら一番に出てくる」というようなキャッチーなものを作らなければいけないと思いました。
また、私の経歴は、ケーキ屋さんのパティシエではなく、主にブライダルやレストラン出身のパティシエであることが特長です。ケーキ屋さんのお菓子は「持って帰る時に崩れないようにする」考え方なので砂糖をたくさん使って固めるなど、形が崩れないことを基準に作られます。レストランでは料理を食べた後のデザートとして出すので、「お腹に溜まる必要がない」「食後に苦しくならずに見た目や香りを楽しむ」という考え方で作られます。自分の強みとして、その特性を活かそうと考えました。そして、先ず香りに重きを置いたものを作ることにしました。
ペルソナとして、何かを頑張ろうとしている“向上心がある人たち”をイメージした時、勉強などをしている時に手軽に食べやすいものとして、マドレーヌがピッタリでした。その人たちにとっての“秘密道具”みたいなものになればいいなと思い、ドラえもんのイメージで、マークの配色も「ミライオヤツ」という名前も決めました。
夜食べても胃が疲れないよう小麦粉よりも米粉を使ったり、柑橘系の香りは集中力上げますし、鼻から抜けるような印象的な香りを意識して作りました。そういった意味から、“機能美”というものをお菓子に落とし込むことを考えました。

私:とっても納得しました!まさに“機能美のデザイン”というほど、ものすごく考えて作られているんですね。

私: 色んなお菓子の詰め合わせに添付されている、手描きで商品のイラストや説明を書かれているのも素敵ですよね。

井: ちょうどコロナ禍から、iPadで描くことを覚えました。これまでアナログで保管していたレシピをデータ化していかないといけないなと。
結局、人柄がちゃんと伝わるようなものとか、私から買って貰うことの意味なども含めて、誠意を伝えたいなと思ってますね。

結婚式場でパティシエとして勤務していたところから、どのような流れで独立されたのでしょうか。

井: コロナ禍で仕事が減っていた間も、オンラインで社員向けに食材やお菓子についての講座やZoom勉強会など開いていたのですが、やっぱりみんなの指揮が上がらない空気でした。もっと「この人の話なら聴こう」と思われるような影響力や人間力を向上しなければいけない、と感じました。
また、コロナと関係無く、会社を辞めることは決めていました。会社では上の立場の、仕事ができる人ほど、他の所でも仕事できるんだからいつまでも居座らずに後輩のために席を空けていくべきだと思っています。私は現場のパティシエで一番上の立場になって、メニューを考えたり、会社でできる事はやり切ったのもあるし、自分が席を空けないと下の人の席が空かないとも思いました。
でも転職しようとしていた所は、コロナの影響から正社員ではなくアルバイトでの雇用という話になり、これまでのキャリアを考えると、「ここからまたアルバイトで再始動するのは」と思い弟に相談しました。弟に背中を押される形で独立することにしました。

私: 今後やっていきたいことなどを教えてください。

井: まだ何となくのイメージですが三つくらいあります。
オンラインで料理や食べ物の知識などを伝えたいと思っています。「お菓子は健康だから食べられる」ものです。だからこそ、みんなに健康でいて貰って、たまにはお菓子を食べて貰えるように、健康のためになる知識を伝えたいなと。
もう一つは、美容師さんのような働き方に興味があります。美容師さん個人にお客さんがついているように、お店の中の料理人個人のファンやお客さんがつくようにできたら、料理人が独立しやすくなると思います。
それと、Z世代の動きにも興味があります。受け手が作品の価値や楽しみ方を決めるというか、動画をどんどんスキップして行間を読まない、と。今まで私は「こういうふうに受け取って欲しい・こう食べて欲しい」と考えていましたが、受け取り方・楽しみ方を受け手に委ねるようなものも自分の代表作としてできたら良いなとも思っています。

私: 「伝えたい・教えたい・委ねたい」っていう興味があるんですね。経験を積んでいる職人ほど「受け手に委ねる」って勇気がいりますが、その選択肢を持っていることが凄いと思います。未来の可能性が広がっていますね。

今後も、コラムの投稿と並行して、こうしたインタビュー記事の投稿もしていきます。ここまで読んでくださってありがとうございました。


お茶でも奢るような気持ちで応援いただけますと大変喜びます。 そのお気持ちを励みに、今後も更に良い記事を書けるよう頑張って参ります!