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ドラマ The Chosen を観ました、っていう話です。

ステイホーム中にネットで「The Chosen」(2018-2022) を観ている。イエスと弟子たちの姿を描いたドラマだ。クラウドファンディングで制作されているプロジェクトで、映画・ドラマのクラファンとしての獲得資金量は世界最高を更新しているらしい。いま、シーズン1と2は無料で視聴出来て、3は有料。4は現在制作中。クラファンがさらに進むと、いずれ3と4も無料になるだろう。

制作者のダラス・ジェンキンスは福音派のクリスチャンだ。彼の父親は、携挙が起きた後の世界を描いた神学的スリラー小説『レフトビハインド』(1995) をティム・ラヘイと共著で書いたジェリー・B・ジェンキンスだ。その息子である彼自身も米国イリノイのメガチャーチ(巨大教会)「ハーベスト・バイブル・チャペル」の理事を務めているので、経歴的にはガチの福音派(聖書を一語一句誤りのない神の言葉と信じるクリスチャン)だね。

主演のイエスを演じているジョナサン・ルーミーはエジプト人とアイルランド人のハーフだ。俳優としての活躍の場を求めて出て来たロサンゼルスで、仕事をなかなか得られず、財布の中身が尽きかけていた時、彼は自分自身を神に完全に捧げる祈りをしたんだって。それから間もなくイエス役のオファーが来たので、彼的にはこの作品を神の導きと受け止めているとのこと *。ルーミーはカトリック教会で特別侍者を務める熱心なカトリック信者だ。特別侍者とはミサで神父に代わって説教をしたり、聖餐(聖別されたパン)を配ったりできる、教会法で規定された職務のこと。また、信者としてのエンターテイメント界での功績により教皇から大聖グレゴリウス勲章を授与されているし、カトリックの護教家 G.K.チェスタートンの名前を冠した演劇集団の理事も務めている。つまりガチのカトリックだ。

ルーミー演じるイエスというのは、従来の映画やテレビで描かれたイエス像とかなーり違っていて。。。どう表現したらいいんだろう。。。自分的な感覚で言うと、「あたたかいハートを持った優しいおじさんとしてのイエス」という感じだろうか。下手な表現でスミマセン。言葉をかえると、どこにでもいそうな感じ。。。そこらへんの街をほんとうに歩いていそうな感じ。。。でも出会ったら即座に「これはイエスだ!」ってビビッと来るような感じ。。。普通だけど普通じゃない。。。この、普通感と普通じゃない感の絶妙な融合を体現したイエス像は、ちょっと過去に類例がないんじゃないかなー、と思う。

今日の聖書の言葉。

主の栄光がこうして現れるのを
肉なる者は共に見る。
主の口がこう宣言される。
イザヤ書 40:5 新共同訳

今日の聖書の言葉は、主の栄光が現れる~肉なる者たちはそれを見る、と言っている。旧約聖書からそれを引き継いだ新約聖書は、この約束の成就を次のように表現している。

言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた。
ヨハネによる福音書 1:14 新共同訳

神の無限の栄光の輝きを、肉にすぎないわれわれが認識できるようになるためには、神の栄光もまた「肉」となる必要がある、というのが、聖書の主張のいちばんメインじゃないか、と自分は思う。

われわれ人間は肉にすぎない。。。フラジャイルだ。。。もろく、弱く、壊れやすく、神の栄光の重みに耐え得ない。。。だから、神の栄光に直面したら押しつぶされて死んでしまうほかないのに。。。

しかし、永遠・普遍・無限・絶対・遍在・全能・全知である「神」は、ユダヤのベツレヘムの馬小屋の飼い葉おけのワラの上に赤ん坊となって降り立ってくれた。それがイエスだ。

神の栄光が肉となって=イエスとなって来てくれたので、肉に過ぎないわれわれは、神の栄光を受け取ることができる。なので、リアルなイエスには、栄光の分量と、肉の分量とが、混ざり合っていることになる。その分量の具合は、映像作品ではそもそも表現しようがなんじゃないかと思う。だって、超自然と自然の融合だもんね。。。

この無理筋な話を無理やり映像化しようとした過去の映画やテレビは、やっぱり、超自然への引きが強くて、神々しくって近寄りがたいイエス像になってしまうか、あるいは、自然への引きが強くて、線が細くて弱々しいイエス像になってしまうか、そのあいだを行ったり来たりしている感じだったんだけど。。。

でも、ルーミーのイエスは、自然と超自然の配合が絶妙で、ほんと、ちょっと見たことが無い、っていう感じなんだ。そこはたぶん、ガチの福音派とガチのカトリックが作った映像っていう、そこの配合の絶妙に起因しているところがあるのかもしれないねー。

自分はクリスチャンなので、セカイノオワリにおいてイエスが再臨するということを期待もし、待ち望んでもいるんだけど、そのイエスの顔を見るときに、いったい、過去のどの作品のイエス像が一番近いか、答え合わせをしようと思って楽しみにしている。いまの自分的にはルーミーのイエスは最有力候補だけど、こればっかりは、その日が来ないとわからないよね。

註)
*  "Jonathan Roumie: I First Portrayed Jesus in My Long Island Backyard", Christianitytoday, Ekstasis Magazine, December 2021.

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