人員不足に悩む中小企業が大切にしたいこと

先日、診断に入った会社のトップインタビューで製造業の社長が仰っていた言葉。

「人員が足りなくて、多能工化できないんだよ。」
「人が定着しなくてねぇ。」
「採用がうまくいかないんだよ。」
「育児休暇とったら、みんなそのまま退職しちゃうんだよ。」

この会社に限ったことではなく、よく聞く話しです。

中小企業では大企業に比べて資源が限られています。
当然「人」という資源も十分にあることは少ないと思います。

中小企業が事業に「人」を活かそうとするとき、様々な業務をこなしてほしい、多くの業務をこなしてほしいと考えます。

製造業では多くの機械を使用する場合、1人でも多くの機械を使える作業員の多能工化をします。

人が足りなければ採用すれば良いと言ってしまえば簡単なことですが、中小企業では知名度、待遇面、採用費用やノウハウがなど大企業に劣ることが多く採用に苦戦を強いられています。

仮に採用がうまく行ってもすぐに人がやめてしまうのではお金も時間も無駄ですよね。

ということで、今回は採用をどうするかということではなく、今いる人たちに会社に残ってもらえるにどうしたら良いかをお話ししたいと思います。

エンゲージメント(Engagement)とロイヤルティ(Loyalty)

エンゲージメント(Engagement)には「約束する」「契約する」「従事する」といった意味があります。

エンゲージリングといば「婚約指輪」のことですが、エンゲージメントには「婚約する」という意味もあります。

ビジネスにおいては組織に関与することや従業員が会社に愛着心をもつことなどを意味し、エンゲージメントを高めれば、会社と従業員が一体となり、同じ方向に向かって進んでいけるようになります。

ロイヤルティ(Loyalty)という言葉には「忠実」「忠誠」「誠実」「愛着」といった意味合いがあります。

ビジネスにおいては、従業員が会社に対して抱く帰属意識や忠誠心のことをロイヤルティと呼ぶのが一般的です。

「愛着」という意味も含まれることから「エンゲージメント」と同じように使われやすいですが、厳密には別の意味です。

ちなみに「Royalty」は、印税や特許使用料など権利に関する意味をもつ言葉であり、従業員ロイヤルティとは意味合いが異なります。

エンゲージメントとロイヤルティとの違い①

エンゲージメントとロイヤルティでは、企業と従業員の立場の見方が異なります。

エンゲージメントは、企業に対する従業員の「愛着心」です。

そのため、企業と従業員の立場は対等といえます。横のつながりが強く、企業と従業員が助け合いながら成長するような関係です。

一方でロイヤルティは、従業員の「忠誠心」であるため、エンゲージメントよりも主従関係が強く会社の方が強い立場にあるといえます。

エンゲージメントとロイヤルティとの違い②

エンゲージメントとロイヤルティでは、高める方法にも違いがあります。

エンゲージメントを高める方法として、

  • 会社の目指す方向を定めて共有

  • 部下にあわせてリーダーシップの取り方を工夫する

  • ライフワークバランスのとれた環境を作る

  • 従業員が成長機会を創出する

やはり、会社と従業員が一体となり、同じ方向に向かって進んでいくイメージですね。

ロイヤリティを高める方法として、

  • 理念や強みを共有する

  • 会社の歴史や貢献した人物について学ぶ

  • 経営陣とのコミュニケーションを増やす

  • レクリエーションや交流会など従業員同士が打ち解ける機会を設ける

  • 評価制度を見直す

  • 貢献に応じた賞与制度を作る

必ずしもこれらに限られたものではありません。

また、例えばエンゲージメントを高めるための会社の目指す方向を定めて共有することと、ロイヤリティを高める方法である理念や強みを共有することは同じような内容となっており、1つの似たような施策をうまく活用ことで、エンゲージメントもロイヤルティも高めることができます。

日々、業務をこなさなくてはいけない社長にエンゲージメントやロイヤルティを高める施策を全部やってください!

とは言えませんので、第一歩としてまずは従業員の皆さまとコミュニケーションを取って本音を聞いてあげてください。



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