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『ニンジャさまの御一行がぁ』


「またか」

「誠に申し訳が…」

「よい、次を探せ」

「御意」


--


おらぁがムラへぇ

ニンジャさまの御一行がぁ

やってぇくるだぁもんで

いっしょけんめぇ

おむかえのじゅんびをしたった


ほしたらなぁ


長老さんからぁよ

おらぁ叱られただぁ

なぁーんでだべ


ニンジャさまってぇのはぁ

カンジで書きゃぁ

シノブと書くもんで

そうそう目立っちゃだめだぁて


そういうもんでなぁ


だぁーからかしらねぇけど


ニンジャさまたち

やっぱ来ねぇって


なぁーんだべ


--


「え何またダメなの?」

「申し訳が立ちませぬ!」

「あーいいからいいから!」

「拙者この身を以って!」

「そういうのいいから!」

「でもでもだって!」

「そんなことより次探そ!」

「見つかりませんてば!」

「なことないって!」

「だってすぐ噂が広…」

「諦めないで!」

「ぐすん…」


旧くより

忍の者の集団は

里から里へ

城下町から城下町へ

雇うものあれば

どこへでも出かけた


そして隠密のうちに

多大なる功績を遺した

といっても

その特性ゆえ

記録すら定かではなくて


「もうさぁ誰かに頼めない?」

「え、どういうことっすか?」

「そういう会社とかさ」

「か、会社ですか?」

「旅行代理店よ」

「そんなところに頼んだら…」

「隠密にやってくれるとこ」

「あぁーなるほど!」


何より苦労したのは

その旅先の潜伏先だとか


あるときは旅芸人の一座

またあるときは商人

あるいは僧侶の集団を模して

その身を隠して渡ったという


ところが人の噂とは

たいそう不思議なもので

なぜか忍びの者であると

バレてその都度

居場所がなくなるというから

不思議なものである


「いい会社あった?」

「とりあえず」

「なんつってた?」

「あ、問い合わせフォームっす」

「あそぉ」

「なんとかなるといいですね」

「だね」

「うす」


なんていう

忍者の上司と部下の会話が

あったかもしれない


--


こんどはおらぁがムラへぇ

旅芸人の一座ぁちゅうもんがぁ

やってくるらしいで


芝居とやらで

笑わせてくれたぁり

めずらしぃもんを

見せてくれたぁりするってよぉ


まぁーったくもう

たのしみぁだなぁ


おぅそうだ飾り付けせねばなぁ

酒やら飯やらもたぁんと























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