見出し画像

『内容にインテリジェンスそのものが欠けている』


やっと日記帳を手にすることができた


しかし綴られているのは

ほんの60時間

悪い癖だ

2日と半日分だけ


---------------


A月1日

疲れが残っていたから昼近くまで眠っていた

食欲もさほど沸かなかったから

コーヒーを啜るだけにしておいた

暫く閉めっきりだった部屋のいくつかを全開にする

風が心地良い

友人へ電話をかける

急に何の用だと問われ答えに詰まった


A月2日

読みかけていた小説を開く

前半のあらすじがすっかり頭から飛んでいて

読む気が失せる

料理は嫌いではないけど得意でもない

デリバリーを頼む

かといってこれもあまり旨くない

近所を散歩する

あいもかわらない風景

もう少し刺激があってもいいだろう


A月3日

早めに起床し

スーツケースに荷造りをする

呼びつけておいた車に乗り込む



---------------



結果

私のこの日記は

「スパイのオフ日記コンテスト」で

今年の銀賞を受賞した


副賞には

「今よりちょっとだけ危険なミッション一日体験」チケット

やったね

うれしい



<審査員長による寸評>

よくも悪くも平凡な日常が描かれている。普段の私たちの職務のような刺激的な日々とは無縁な様子が心地良い。一方で、スパイたるプライドゆえか必然か、長期間、自宅を留守にしていること、リラックスをしたかと思えばすぐにまた旅立つことを示唆している点も評価できる。惜しむらくは内容にインテリジェンスそのものが欠けている点である。今後に期待したい。



たしかに金賞のやつは

もうちょっと読み応えがあって

面白かった

来年またがんばろう









この記事が参加している募集

スキしてみて

私のコーヒー時間