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一人旅で身に付く最強アイテム (一人旅と仲間旅・その1)


旅を語るうえで、最初に考える問題があった。
それは「誰と行くのか」それとも「一人で行くのか」。

君はどちらで考えているのだろうか。
もう誰かと一緒に行く約束をしている人もいるだろう。もしかすると長期旅行の場合、誰かと一緒に行くってなかなか難しいかもしれない。学生の長期休暇ならいざ知らず、社会人になったらぐっとその機会は減るからね。

私は断然「一人旅」派だったけれど、もちろん友人やパートナーとも旅をしたことはある。どれもオススメ。どっちも一長一短。だけれども、たった一人で行くのと、ほかに一人でも随行者がいるのとでは、まったく別物と言っていいほど旅の内容は違ってくる。


一人旅のいいところは、現地の人々がいろいろと声をかけてくれるということ。困っているとき、ぼーっとしているとき、食べているとき、ただ歩いているとき、あれは何だ? という顔をしているとき、みんな頻繁に声をかけてくれた。
まぁ、話しかけられやすい雰囲気だとか、女性とか、若さとか、多少は個人差はあるかもしれないけれど、決してそれだけではないと思う。
第一、いいおばさんの今でも、海外でぼーっと一人でいると何やら声をかけられるし、家族といると滅多に声をかけられない。私の旦那さんも一人旅のときはいろいろと話しかけられていたようだが、私が一緒にといるとその機会はぐっと減っているそうだ。まぁ、そういうものだよね。
やっぱり、単純に一人だったから声をかけられていたのだなぁと思う。

先述のようにそもそも海外では、知らない人同志でもすれ違うときに挨拶をする国というのは意外に多い。その挨拶ついでに、踏み込んでいろいろと質問されたりと話が深まりやすいのだ、一人旅は。

想像してみてほしい。自分の街に一人の外国人が、地図を広げながら途方に暮れて空を仰いでいたら、相手の男女や若さ問わず「大丈夫? 道、わかる?」と声をかけたくなるのが人情だろう(英語問題とかイロイロあり、実際にかけるかどうかは別として)。

だがしかし、その外国人が複数だった場合。集団で地図を指差して「ああだこうだ」と小首をかしげながら「う〜ん」といった風情で話し合っているようだったらどうだろう。その集団の中にズイッと割って入って「大丈夫? 道、わかる?」なんて言う人は、お節介界でもかなりの猛者だ。

どちらにせよ、集団というのはそれがたったの二人であったとしても、もう一つの組織だ。人数が多ければ多いほど、それだけで目には見えない「組織」というバリアが周囲に張られている。
しかしそれが一人ぽっちだとすると、どうだ。なんたる無防備。ノーガード。現地人のこちらが断然優位に立つ。その余裕からだけではないが、いろいろと気になったり心配したりと、親ゴコロすら生まれちゃう。
だから複数人で旅するよりも、断然一人旅のほうが、現地や他の旅人たちとのコミュニケーションの機会が増えるのだ。


コミュニケーションを取りやすいというメリットには、思わぬ副作用だってついてくる。
こちらの英語や現地語のスキルが上がってしまうのは言わずもがなとして、もう一ついいことがある。それは、ジャーン! 最強アイテムの「愛嬌」を手に入れ、標準装備することができるのだ。

普段は日本でクールを気取っていた人が、長い旅路を経て「可愛いヤツ」になって帰ってきた例を私はいくつも見てきた(特に男性)。

機会があったら観察してみてほしい。見知らぬ、それも言葉がうまく通じない相手と話しているときは、誰しも知らずしらず微笑んでいるだろう。なぜなら、まず最初に自分が敵ではないことを相手に伝えるには、笑顔しか手段がないからだ。少しでも印象よくしようと満面の笑みを浮かべる。フレンドリーな態度じゃないと周囲の協力を得られないし、人懐っこさがないと会話が続かない。そしてその結果、「愛嬌」というものが、否応もなく身についてしまうのだ。
愛嬌とは、生きるためのスキルだ。人が思わず手を差し出したくなるような空気を、どこか身に纏ったということなのだ。

だからクールを決め込みたい人、さらにはせっかく培ったそのスカしたイメージを壊したくない人は、一人旅はおすすめしません。誰か同伴者を付けてください。そしてコミュニケーション部門はその旅の相棒に任せて、一人孤高を決めこんでください。

でもね。おまえの好みだと言われればそれまでかもしれないけれども、やっぱり旅から帰ってきて愛嬌がついたほうが断然カッコいいよね。
「旅に行って一皮むけたね」って言われる場合は、たくさん人と触れ合って、異文化や他人、あるいはあらゆる状況にに対する「寛容さ」が身に付いてきたということだ。素敵な人の特徴の一つにも挙げられる「寛容さ」。
つまり、どんな状況であっても他人を丸ごと受け入れる懐の広さがあり、余裕があり、器が大きい人というわけだ。

一人旅をしている君を、面白いことにみんなが放っておかない。いろいろな出会いが生まれるし、思いもしなかった楽しい旅の思い出や友だちもできてしまう。文化というものは人々が築き上げてきたものなのだから、それを理解するためには物言わぬ建造物や遺跡を見るよりも、実際にそこにいる人たちに触れるのが一番の近道だろう。
名所を観る、自然を感じる。そんな旅の感動は写真やガイドブックでも載っているし、これを言ってしまうと身も蓋もないが、なんとなくどんなものか事前に想像がつくことが多い。が、人との出会いはいつもイキナリ想定外。だからこそ、その意外性と感動が味わえるのだ。この刺激こそ、旅の醍醐味だといっていい。

 

(その2へ続く!)


ここまで読んでくれただけで、うれしいです! ありがとうございました❤️