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ニューヨーク在住の建築家です。出世街道からは遠く離れた私だけれど、BIGをはじめ黒川紀…

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ニューヨーク在住の建築家です。出世街道からは遠く離れた私だけれど、BIGをはじめ黒川紀章、スティーブンホールと建築事務所を渡り歩き、そこでの興味深く貴重な経験が私の最大の財産だと思っています。

最近の記事

建築事務所のいろいろ_Olson Kundig

Olson Kundigに転職して早1年と数か月。黒川紀章事務所から始まった建築家としての職歴も20年ほどになるが、まだまだ新たな発見や学びがたくさんあり驚きだ。投稿のタイトルでもある「建築事務所のいろいろ」、本当にいろいろなのだ! まずは日本ではあまり知られていないOlson Kundig事務所を紹介したい。1966年にJim Olsonによって創設され、後にTom Kundigがパートナーとして参加、去年までは二人の故郷であるシアトルのみを拠点として活動してきた建築事務

    • 建築事務所のいろいろ_転職 その時が来た!⑤ Olson Kundig

      OMAでの面接を皮切りに転職活動が一気に忙しくなった。と言うのもできれば、他の数社にも応募し面接にこぎつき、願わくばオファーをもらってあらゆる角度からオファー内容を比較する必要があるからだ。給料はもちろん、有給や通勤時間、そして今は在宅がどれぐらい許可されるかも重要な点だ。そしてアメリカでは健康保険も会社によって自己負担額がかなり違うこともあるので、比較するには重要だ。相場を理解し本命との交渉に役立たせるのだ。(「給料の交渉」) そんな折、友人から驚くニュースが入った。「O

      • 建築事務所のいろいろ_転職 その時が来た!④ OMAからメールが来た

        ポートフォリオも大体できた。と思った矢先!OMAからメールが来た。なんで?恐る恐る開けてみると。。。。「面接に来てください。」え?「○○さんから転職活動していると聞きました。」とのことおおお。どうやら元BIG同僚で最近OMAに転職した友人が私のことを事務所に宣伝してくれていたらしい。なんとありがたや。転職するならまずは知り合いにそのことを言いふらすに限る。特に年を重ねてからの転職は、今まで築いてきたネットワークがキーになるからだ。何人かのリクルーターにも連絡を取ってみたが、最

        • 建築事務所のいろいろ_転職 その時が来た!③ ポートフォリオ

          転職活動に一番重要なのがポートフォリオ。学生のころから何度もつくってきたけれど最近大事にするのはストーリー性だ。どんなプロジェクトに携わって、建築家としてどんな影響を受け、何に興味をもち、これからどんな仕事をしたいのか、まるで物語を語るように構成する。前回書いたように規模は小さくても丁寧にディテイルをデザインしたい。この原点となったのはアメリカの大学を卒業後就職した黒川紀章設計事務所での経験だった。アメリカの大学では技術的なことよりもデザインのコンセプトが中心だったため、当時

        建築事務所のいろいろ_Olson Kundig

        • 建築事務所のいろいろ_転職 その時が来た!⑤ Olson Kundig

        • 建築事務所のいろいろ_転職 その時が来た!④ OMAからメールが来た

        • 建築事務所のいろいろ_転職 その時が来た!③ ポートフォリオ

          建築事務所のいろいろ_転職 その時が来た!②

          BIGを去ることを決めた私。さて、次はどこで何をしようか。まずは思いつくまま書き出してみた。 いきなり「日本に帰りたい。5年ぐらい先?」とでた。アメリカ生活25年。大学で建築を学ぶため渡米し、自分や親の老後など深く考えず、就職や結婚などを経てすっかり根を下ろしてしまった。でもどうもこの地に骨を埋めることにピンとこない。5年先に帰国して日本で就職なんて現実味のない話だけど、せめて退職後は日本に住むっていうのもいいなあ、と妄想してしまう。次の仕事はその下準備ができること。色々な

          建築事務所のいろいろ_転職 その時が来た!②

          建築事務所のいろいろ_転職 その時が来た!①

          BIGに移籍して早7年あまり。良いチャンスがいつやってきてもすぐに動けるよう、ある程度の準備は日ごろからしていた。アメリカでは転職は日常茶飯事でBIGでもコロナ禍、社員の入れ替わりが激しかった。私の場合、年も年だしもしかしたら定年までいるか?とも思ったが、その時は予想より早くやって来た。 ちなみに前回の移籍、スティーブン・ホール事務所からBIGの理由は給料とそれからこことここに書いた通りだが、今回はもう少しシビアな理由だった。 それは、自分の仕事を公平に評価してもらえない

          建築事務所のいろいろ_転職 その時が来た!①

          建築事務所のいろいろ_近況

          最後の投稿から随分と時間が経ってしまった。書きたいことはたくさん起こったのだけど、どうもうまく頭がまとまらなかった。 ニューヨーク市では、パンデミック以前のように毎日出社している人はたった28%だそうだ。建築事務所も同じで、友人は今年いっぱいはリモートになりそうだと言っている。オミクロンの登場でさらにリモートが長びくのでは。 一方BIGでは、どの建築事務所より先に全員出社が始まった。7月、ワクチンが広まり陽性率が1%を切ったころから徐々に人が事務所に戻り始め、11月からは

          建築事務所のいろいろ_近況

          建築事務所のいろいろ_ニューヨーク!

          年月にして人生のアメリカ生活が日本生活を追い抜いた。日本生まれの日本育ち。海外旅行は愚か、飛行機にすら乗ったことのなかった19歳の私の初飛行機・初海外旅行は、大学に進学するための渡米であった。いきなり。。。今思うと「若い=無知」ということはある意味最大の武器だった。もちろん渡米のアイデアは無知なティーンエージャーから出たのではなく、英語を話す、留学するということを果たせなかった戦時中生まれの父が娘に託した願いだった。 大学、大学院とアメリカで建築を勉強し、自然な成り行きでア

          建築事務所のいろいろ_ニューヨーク!

          建築事務所のいろいろ_3人のビッグスター、海を渡る

          やはり、、、いい建築をつくるには人と人が顔を合わせてやらなきゃいけないんだ。鍋の中でぐつぐつと一緒に煮込まれる具材のように、建築家も施主もそれに係る人たちがぐちゃ~っとならないといけないんだ。これを実感した2020年だった。 トヨタウーブンシティは「富士山」にかけて来月2月23日に鍬入れ式が行われる予定である。コロナ禍、正直最初はプロジェクト自体が止まってしまうのではないかと勝手に心配したが、そんな様子は微塵もなくものすごい熱量で進行中だ。ただ3月以降予定されていたBIGチ

          建築事務所のいろいろ_3人のビッグスター、海を渡る

          建築事務所のいろいろ_コロナ疲れ

          テレワークが始まってあっという間に半年も経ってしまった。3月中旬、事務所からお達しが出た時は「3週間の間」と言っていたのに。。。なんとなくは分かっていたけれど、長い戦いになった。ニューヨークは6月下旬から建築事務所などが条件付きで再開して良いことになったが、BIGは8月末までは所員の判断に任せてテレワークを続行したい人はしてよい、という方針となり、それも先月には「年内まで」延長となった。 このところどうも気分が上がらない。睡眠の質もなんだか悪い。友人によるとそれは「コロナ疲

          建築事務所のいろいろ_コロナ疲れ

          建築事務所のいろいろ_働く場のデザイン2

          ちょうど一年前「建築事務所のいろいろ_働く場のデザイン」の中で、働く場のデザインが変わりつつある、と書いたが、今コロナ禍の影響で全業種と言わないまでも、確実にその概念が変わろうとしている。それも今までとは違った方向に。 私たちは気付いてしまったのだ。「テレワークでも仕事ができる。」と。 例えばグーグル。グーグルはいち早くテレワークを開始。そして今年いっぱいは出社しなくてOKという通達を出した。きっと思った以上にテレワークがスムーズに出来ているだけではなく、毎日1時間多い人で

          建築事務所のいろいろ_働く場のデザイン2

          建築事務所のいろいろ_乗り越える

          コペンハーゲン、ロンドン、バルセロナ、ニューヨーク、BIG全事務所がシャットダウン、そしてテレワーク/引きこもり生活に突入して2週間半が経った。ニューヨークの状況は誰もがニュースで知るように、すさまじい状況である。家から出るのは毎朝の犬の散歩と週1回のスーパーへの買い出しのみ。外出の時は、すれ違う人達と2メートルの距離を開ける「Social Distancing」が欠かせない。 近所に総合病院があり、そこに向かう救急車のサイレンが一日何度も聞こえる。その度に、そんな中で仕事

          建築事務所のいろいろ_乗り越える

          建築事務所のいろいろ_黒川紀章

          この世の中にはオーラのある人がいる。カリスマと呼ばれる人がいる。今までのボスや出会った有名建築家にもそんな人がたくさんいる。ビアルケも体内からビリビリと出てくる何かがものすごい。 でも、私にとってのその一番は、やはり黒川紀章をおいて他にはいない。アメリカの大学を卒業して帰国し、黒川紀章建築都市設計事務所に就職が決まった。彼は私にとっての最初のボスだった。とにかく彼のオーラ、カリスマ性はものすごかった。 所員は彼のことを「先生」と呼んだ。最初は「社長」だったのに、ある日「社

          建築事務所のいろいろ_黒川紀章

          建築事務所のいろいろ_豊田スタジアムからトヨタウォーブン・シティへ

          1月6日、トヨタ自動車はラスベガスで行われたデジタル技術見本市CESで、自動運転技術や支援ロボットなど、未来の生活に欠かせない技術の実証実験を行う未来都市「ウォーブン・シティ」の建設計画を発表した。BIGがマスタープランを担当した。このプロジェクトはBIGにとって日本での初めての仕事であり、今本格的な設計段階に入ろうとしている。 そして豊田スタジアムからトヨタウォーブン・シティへ。これについては最後に書くとしよう。 私はとにかくうれしいのだ!夜も寝られないほどうれしい。ア

          建築事務所のいろいろ_豊田スタジアムからトヨタウォーブン・シティへ

          建築事務所のいろいろ_忘年会

          近頃、時間がすさまじく早く過ぎてしまう!あっという間に年末。。。そう、季節はすっかり忘年会シーズン。 それぞれの事務所ではその事務所独特の忘年会があるだろう。私は黒川紀章事務所の忘年会が好きだった。と言っても別に何か特別なことがあるわけでなく、ただどこかの居酒屋を予約しての宴会。飲みたいだけ飲んで食べたいだけ食べた後は、お決まりのカラオケ。そんなどこにでもありそうな宴会が大好きだった。と言うのも、私は日本で高校を卒業してアメリカの大学に進学した。アメリカでは勉強の嵐。日本の

          建築事務所のいろいろ_忘年会

          建築事務所のいろいろ_BIG U_マンハッタンを水害から守れ!

          台風19号は川を中心に多くの水害をもたらした。東京に住む友人からも「荒川と多摩川と神田川と目黒川が氾濫危険水域になって、これが全部氾濫したら東京はどうなるのかと思って緊張した。」とメールが届いた。 今の異常気象では水防が追いつかない、とニュースでもあった。これはニューヨークも他人事ではない。 2012年のハリケーンサンディはマンハッタンの南先端が浸水し、広い範囲で電力が止まり2000億円もの損害をもたらした。特に水辺に多く集中した低所得者たちが被害を被った。 当時勤めていた

          建築事務所のいろいろ_BIG U_マンハッタンを水害から守れ!